急いで、エリーちゃん!
少女は手に黒くヒビ割れた玉を持って急いで階段を駆け上がる。
しかし、急いでいた為か最後の一段で躓いて大きく体勢を崩す。
「ほわっ!?」
ゴト!
何かが落ちる鈍い音が鳴った。
少女は変な声を上げつつ必死に手をバタバタと動かして倒れる事に抗う。
抵抗の成果か倒れずに体勢を整える事が出来た。
「ふぅー」
少女は倒れまいと必死になるあまり呼吸をする事も忘れていたようだ。
どこかやり遂げたような顔をして倒れずに済んで思わず安堵の溜息を吐いた。
「何をしているんですか?
エリーさん」
「ほわ!?」
エリーと呼ばれた少女は突然の声に驚き、またもや変な声を上げた。
少女に声をかけたのは目付きが鋭い若く痩せた男だった。
「ぎ、ギルド長!?
いえ、なんでもありません!
じゃなくて出たんですよ!
これが証拠の………あれ、無い。
え、あれ?
もしかして、落としちゃった?」
エリーはギルド長と呼んだ男に何かを見せようとしたがその何かが手元に無かったらしい。
「このステータスオーブの事ですか?
ふむ、見事に黒く染まっていますね。」
「はい!
って、えぇ!?」
ギルド長と呼ばれた男はエリーが渡そうとしたステータスオーブと言われている物を既に持っていた。
そうエリーが持っていた黒い玉。
それは異形が触り黒く染まったあの透明の玉である。
(黒く染められたステータスオーブですか。
これは忙しくなりそうですね)
「エリーさん、このステータスオーブを黒く染めた方はまだ居られますか?」
「あ!
い、いえ、ハントマンさんと一緒に来られたので領主様の館へ向かっていると思います!
女性の方で栗毛の男の子と一緒に来られました!
明日にはカードを受け取りに来ると思います!」
「なるほど、そうですか。
では明日、その方々がカードの受け取りに来られたら私の所に通して下さい。
では、カードは私が責任を持って作成しましょう」
「はい、分かりました!
では失礼します!」
ギルド長とのやり取りが終わったのかエリーは階段を降りていった。
ギルド長と呼ばれた男はエリーが階段を降りて姿が見えなくなった事を確認し静かに奥の方へと歩いて行った。
その手で黒く染まったステータスオーブを弄びながら。




