少年は館に泊まる。
男の前には栗毛の幼い少年が椅子に座っていた。
そしてその少年の身体に絡むように形容し難い女が抱き付いていた。
「お前らが騎士団を助けたって奴か」
男は少年や女の顔の様子を見ながら聞いてきた。
その眼の奥には疑念が渦巻いている。
(少年は兎も角、女は人じゃないな。
獣人とも亜人とも違う。
なら妖精か?)
「はい!」
少年は自慢げに大きく頷いた。
その後ろで女の表情は変わらない。
(嘘は吐いてないようだな。
あのバタンダ大森林を抜けて来たらしいからな。
能力の方は疑いが無ぇか)
「俺はこの一帯の土地、バタンダの領主、カリバンジャル・ドム・フランディル・カルバッハだ。
『バタンダ領騎士団』を助けてくれた事に感謝するぞ」
男は感謝の言葉を伝えた。
しかし、頭は下げない。
領主という身分の高さから軽々と頭を下げる事が出来ないのだ。
身分が無くとも疑念を持つ彼が頭を下げなかっただろう。
「それでお前達は何の目的で大森林に居たんだ?」
魔物が跋扈する森に幼い少年と女だけで行動する。
それは異常な事なのである。
領主であれば疑いを持つ方が正しい姿なのだ。
「あのね!
かみさまに、おくられたの!」
「は?」
男は少年の話を聞いてまるで鳩に豆鉄砲のような顔に成った。
(おいおい、こっちは魔王騒ぎで大変だってのに。
今度は神様の贈り物かよ。
あ〜、厄介にも程があるぞ。
く、手元で管理した方が良さそうだな)
「おい、まだ宿は見つけて無ぇだろ?
今日は俺の館に泊まれ」
「ほんとぉに、いいの?
やった、おとまりだ!」
(少年の方は常識が無ぇのか?
領主に対する態度じゃねぇだろ)




