少年と異形はカードを作る。
少年は異形を引き摺りながらハントマンの後を追って町への門を通り中へと入っていった。
「まずはギルドに行くぞ。
今からカードを作れば明日にでもできるだろうからな。」
「はい!」
少年は返事を返したがよく分かっていない事は確かだろう。
取り敢えずハントマンの言葉に元気に返事を返しただけなのだ。
(ガキ、化け物を引き摺れるぐらいは力があるって事か?)
ハントマンはそんな疑問が浮かんだ。
門から少し進むと活気のある声が聞こえ出した。
「らっしゃい!
新鮮な薬草だよ!」
「オークの串焼き!
1本10ゼノム!」
「唄、唄を聞きたい方はいらっしゃいますか〜?」
「おい、あの女、良さそうじゃね?」
「おぅ、むしゃぶりつきたくなるな〜。
キヒッ」
「宿をお探しの方ー。
部屋が空いてるぞー」
・
・
・
少年の目に飛び込んできたのは店が立ち並ぶ活気のある風景だった。
しかし、商人や売り子はともかく、客の格好が場違いなようだった。
まるで今から戦いに行くかのような格好なのだから。
「こっちだぜ。
今は昼時だから人が多いんだ。
はぐれるなよ」
ハントマンは少年に注意を促しながら歩いて行く。
少年も異形を引き摺りながら付いて行った。
ハントマンは何かの絵が描かれた看板のある建物で立ち止まった。
「着いたぜ。
ここがこの町のギルドだ。
場所をよく覚えてろよ」
「ここがギルド」
ハントマンはギルドの入り口へと入って行った。
少年も異形を引き摺りながら付いて行った。
ギルドの中は閑散としていた。
何名かは壁の方で固まっていてギルドの奥には何名かの人がカウンターで待ち受けていた。
ハントマンはその一つのカウンター、10代くらいの可愛い女の子が居る所に向かった。
驚いた事にその女の子は普通の人では無いらしい。
その証拠に頭の上にピコピコ動く三角の獣耳が付いているのだ。
「よぉ、エリーちゃん。
会いに来たぜ。」
「こんにちは、ハントマンさん!
今日はどの様な事で来られたのでしょうか!」
女の子はハキハキとした物言いでハントマンの用事を聞いた。
少し声が大きいようにも思えるが。
「今日はこいつらのカードの申請に来たんだ。
カードの作成費用は領主様に付けといてくれ」
「分かりました!
では、えっと、そちらの2名様のカードの申請でよろしいですか?」
「あぁ、頼む」
すると女の子は少し屈んで何か透明な玉を取り出した。
「分かりました!
君、それとお姉さん?
このオーブを触って貰ってもいいですか?
光が出るけど驚かないでね!
光が収まるまで手を離しちゃダメだよ」
女の子はカウンターから身を乗り出して少年が透明の玉を触れるように目の前に持ってきたのだ。
「はい!」
少年はペタっと玉に触れる。
すると透明な玉が淡く光り数秒で収まった。
少年が手を離すと異形がその黒く異様に大きな手を少年の身体から離し人差し指で少年の触った所に触れた。
するとどうした事か透明の玉はどす黒く染まり全体にヒビ割れが出来た。
「くろーい!」
少年は目の前の異形の手が見えない。
自分が触った後に黒く染まったオーブを見て自分が染めたと思ったのだろう。
嬉しそうに言った。
「へ?
黒く染まった?
あれ、ヒビも出来てる?
え?」
その光景に対して女の子は見る見るうちに顔の血の気が引いているのか真っ青になっていく。
「出来たか?
………なんかオーブが黒くねぇか?」
「い、いえ、だ、大丈夫、です。
あ、明日には、でで、出来ます、よ」
「おい、エリーちゃん、ヤバイくらいに顔色が悪いぞ。
本当に大丈夫なのか?」
「わ、私、カードを作成してきます!
ハントマンさん、失礼します!」
そう言って女の子は黒く染まったオーブを持って急いでカウンターから離れてしまった。
「………どう見ても大丈夫そうじゃなかっただろ」
ハントマンはポツリと言った




