少年はハントマンと出会う。
壁の上から男は少年と化け物の様子を観察した。
一見、化け物に幼い少年が背後から襲われているように見える。
その黒く異様に大きい手で捕まえられ今にも頭から貪り喰われるようだ。
しかし、現実は少し違うようだ。
先ほど、化け物がこちらの静止の声を聞いて止まった。
その後、背後の毛玉から『バタンダ領騎士団』の面々が出されて驚いた。
どうやら、化け物は言葉が理解出来るらしい。
魔物特有の殺意は感じないから魔物でも無いだろう。
少年は森で倒れた騎士を助けたいと言っていた。
もし、ガキの言葉が本当なら騎士達は助けられた事になる。
しかし、年端も行かぬ少年が森に行ってた事になる。
あの森には魔物が居る。
そんな中で子供が入って無事に帰って来れるか?
しかも人数は二人だけで丸腰状態。
当然、無理な話だろ。
(あいつらは亜人種か?)
亜人なら素手で魔物を倒せる奴が居ると聞いたが………
そしたら、まず間違いなく化け物の方は亜人だろう。
どの種族までは分からねぇけどよ。
取り敢えず、接触してみるか。
「救護団!
これから『バタンダ領騎士団』の救護を任せた!
俺は一緒に行ってあの少年達に探りを入れる。
お前達は騎士団を町に運び手当してくれ!」
「「「「「はい!」」」」」
そして、俺と救護団は町の外に出た。
先に釘を刺しておくか。
「今からそちらに向かう!!!
危害を与えなければこちらも手出しをしない事を誓おう!!!」
化け物、言葉が分かるんだろ?
理解もしてくれよ?
「はやくーーーっ!
きしのひとがーーーっ!
たいへんなのーーーっ!」
ガキの方は………見た目の歳相応なのかもな。
さっきも会話になっちゃいなかったし。
ガキと化け物に近付くにつれ、細かい容姿も分かった。
ガキはこの辺りでは見ない顔付きだ。
ラムファール人って訳じゃないのか。
いや、痩せてるから見えないのか?
子供にしては肉付きが悪く血色も悪いからな。
しかし、この辺りに黒い瞳の人間は居ない筈だしな。
栗毛にふわっとした髪は触り心地が良さそうで服も質素ながら綺麗だ。
平民なら多少は泥や垢で薄汚れている物なんだがな。
どっかの坊ちゃん、にしては痩せ過ぎだろうしな。
逃げた奴隷、にしては小綺麗過ぎるし。
化け物の方はもっと分からねぇ。
顔は恐ろしいがこっちに悪意は感じねぇのは分かってたけど、警戒はしてるようだな。
胴体は人の女に似ているな。
………裸だ。
あと、髪長ぇな。
しかも凄ぇ良い身体してんな。
顔と手足は怖ぇけどこのままの格好じゃ男に襲われるぞ。
デカイ胸がガキの頭で形が変わってやがるな。
めっちゃ羨ましいぞ、おい。
こいつらはどんな関係なんだ?
少なくとも親しい間柄なんだろうってのは想像が付くけどよ。
「よぉ、坊主。
俺はハントマンだ。
騎士団を助けてくれてありがとよ。
それで坊主の名前は?」
「はい!
ぼくのなまえは、おそれがみ、みたま、です!
よんさい、です!
よろしく、おねがいします!」
笑顔で答えられた。
やっぱりこの辺りじゃ聞かねぇ名前だな。
しかも苗字持ちときたか。
厄介事の匂いがプンプンするぜ。
ガキは本当に見た目通りの幼いガキみてぇだな。
「そうか。
んで、後ろのねーちゃんは?
服はどうした?」
「?
ハントマンさん、ぼくのうしろに、だれかいるの?」
は?
居るじゃねーか、真後ろによ。
化け物が奴隷、って首輪が無ぇからそんな訳でもなさそうだしな。
それに、化け物はガキを愛おしそうに撫でるのに夢中みたいだな。
ガキはされるがままだしよ。
何なんだよ、こいつら。
「あ〜、何処の国から来た?」
「にほん!」
ニホンって何処だよ。
聞いたことがねぇぞ?
後で爺に聞いてみるか。
「んじゃ、カードはあるか?」
「かーど?」
あ、こりゃ持って無ぇな。
ガキはまだ、『神の選定』を受けてなさそうだしな。
化け物は………裸の奴がカードを隠せねぇだろうから持って無ぇよな。
「よし、俺が領主様の所に連れてってやるよ。
ミタマ、付いて来いよ。」
領主様も騎士団を助けたというこいつらに興味を持つだろうし。
早いか遅いかの違いだろ。
「と、その前にねーちゃんの格好をどうにかしねぇとな。
裸で町に入れるのは無理だからな。」
「?
ハントマンさん、ぼく、ちゃんとふくをきてるよ?」
ガキじゃねぇ………おぉ?
いつの間にか化け物が服を着てるし。
その、なんだ?
いつ着たのか知りたいがよ。
その身体付きが分かるような服で良いのか?
それ、服の意味無くねぇか?




