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泥人形と呼ばれた令嬢、隣国の冷徹皇帝に「世界の至宝」として攫われる ~「無能」と捨てられた私が、実は世界を守る唯一の浄化術師だった件。~  作者: 西園寺ミオ


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第44話:新帝国の夜明け、あるいは騒がしき極彩色の日常

「……ちょっと、いい加減になさいな。このバカ兄夫婦!」


 再構築された皇城の、薔薇が咲き乱れる空中庭園に、シルヴィアの絶叫が響き渡った。

 彼女の目の前では、朝の光を浴びながら、漆黒の皇帝と虹色の神妃が、これ以上ないほど絵画的な、そしてこれ以上なく「暑苦しい」密着ぶりを披露していた。


「朝から喧しいな、姉上。……せっかくエルセが、私に口付けで目覚めを与えてくれたというのに」


「陛下の寝顔が、あまりに優しそうでしたので……つい」


 レオンハルトは、エルセの腰を抱き寄せ、その白い首筋に当然のように顔を埋めている。

 エルセは赤らめた頬を彼の手のひらに寄せ、宝石のように輝く瞳を細めていた。


「『つい』で済むレベルじゃないわよ! 貴方たちがそうやって愛を囁き合うたびに、帝都中の花が一斉に開花して、蜜が溢れすぎて養蜂家が悲鳴を上げているのよ!? 季節感なんてどこかへ消え去って、今やこの国は一年中『春の絶頂』だわ!」


 シルヴィアが指し示す先、帝都の街並みは以前の重厚な石造りから、二人の魔力が編み上げた「生きた宝石」のような街へと変貌していた。

 かつての白き虚無の影など微塵もない。

 人々は、触れるだけで病が治るという虹色の風に吹かれ、史上かつてない繁栄を謳歌している。


「いいではないか。民が潤い、エルセが笑う。それ以上の統治など必要あるまい」


「政治を『ノロケ』で解決するんじゃないわよ……。……まあ、いいわ。それよりも、これを見てちょうだい」


 シルヴィアが差し出したのは、小さな、真珠のように輝く「光の塊」だった。

 それは手のひらの上で羽ばたき、小さな笑い声を上げている。


「……? 精霊、でしょうか?」


 エルセが不思議そうに指を伸ばすと、その光の塊は嬉しそうに彼女の指先に止まった。

 その瞬間、エルセの魔力と共鳴するように、光の塊は小さな、レオンハルトの翼に似た漆黒の羽を持つ「小鳥」の姿へと変化した。


「貴方たちが神を殺し、世界を愛で塗り替えた結果よ。……二人の魔力が混じり合って、新しい『命』が自然発生し始めているわ。……これ、どう見ても貴方たちの子供のなり損ない……いえ、愛の結晶じゃない」


「私の……そして、陛下の、愛の形……」


 エルセの瞳が、感動に潤む。

 レオンハルトはその「小鳥」を鋭い目で見つめていたが、それがエルセに懐く様子を見て、不遜な笑みを浮かべた。


「フン……。私のエルセを母と慕うなら、生かしておいてやろう。……だが、私の場所を奪うようなら、たとえ愛の結晶だろうと容赦はせんぞ」


「陛下、そんな嫉妬なさらないでくださいませ」


 レオンハルトは、エルセの言葉を唇で塞いだ。

 深い、深い、朝の誓いの接吻。


 その瞬間、帝都全域に虹色の雨が降り注ぎ、人々の食卓に「愛の味がする」という不思議な果実が次々と実った。

 

 神となった二人の、世界を巻き込んだ贅沢な新婚生活。

 それは、もはや誰にも邪魔できない、絶対的な幸福の独裁だった。

第44話をお読みいただき、ありがとうございます!

神となった二人の日常は、もはや「歩くパワースポット」状態ですわね!

イチャつけば花が咲き、口付ければ果実が実る……。

シルヴィア様のツッコミも虚しく響くほど、二人の愛は物理的に世界を幸せにしています。


そして現れた、二人の魔力の結晶である「小さな命」。

これが新世界の新たな住人となり、二人の「パパ・ママ」としての側面(?)も引き出していくことになりそうですわ。


「陛下、小鳥にまで嫉妬するなんて重すぎる!w」「帝都の住人が羨ましすぎる……」

そんな風に、この幸せな新世界に浸っていただけましたら、ぜひ【ブックマーク】と【ポイント評価(★★★★★)】をお願いいたします!

皆様の応援が、新世界のさらなる繁栄の糧となりますわ。


次回、第45話。

『欠落した「初めての言葉」』。

幸せの絶頂の中、レオンハルト陛下がふと気づく「ある違和感」。

取り戻したはずの記憶の奥に、まだ隠された「母アリアの罠」が……?

どうぞ、お楽しみに。

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