表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意  作者: やきいもほくほく
四章 悪女の罠

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/50

46


その後、教皇にアナベルの失態が伝えられた。

教皇はすべての予定をキャンセルして、帝国城へとやってきた。

シャルレーヌはその様子をカラスを通じて見つめていた。


彼は大金を注ぎ込んでアナベルを正妃候補として押し上げていたからだ。

それもすべて教会が力を持つため。彼の悲願だったらしい。


その候補が取り消しになるということは、アナベルが正妃に選ばれることはなくなるということだ。

それだけは阻止しようとすぐに動いたのだろう。


『アナベルは彼女のことを放っておけずに治療しようとしただけです……! それを断られて取り乱しただけで、こんなことをするつもりはなかったはずだ』


アナベルから、何をするつもりなのかは伝えられていたのだろう。

ヴィクトールに今までのアナベルの功績やこの魔法がいかに帝国の発展に役立っているかを必死に話しているではないか。

そのようにして乗り切ろうと考えていたが、問題はテネブルを通じてヴィクトールがやり取りをすべて聞いていたということだ。


彼女が嘘をついてシャルレーヌを咎めようとしたこと。 

侍女たちが嘘をついてもそれを正すどころか、そのままにしたこと。

感情に任せて手を上げたことも正妃になるには幼稚すぎると非難した。

それでも教皇は引き下がることはなかった。


(すごい執念ですわねぇ……ここまでしがみつくなんて。権力はここまで人を醜くみせるのですね)


そもそも長年敵対していたサンドラクト王国の人間で、魔法を使えない妃に対して、そのような気持ちを抱くのは当然ではないかと主張した。



『魔法の恩恵をそこまで受けていない帝国民から支持を得ている教会の言葉とは思えないな』


『…………っ!』


『あなたのその考えがアナベルに伝わったのではないか?』



ヴィクトールの言葉に教皇は押し黙るしかなかった。

アナベルを庇おうとした結果、墓穴を掘ってしまったようだ。

どうやら帝国でも格差はあるようで、魔法の力次第では成り上がれるが、力がなければ地位も下がるようだ。

そんな彼らが縋っているのが教会らしい。


(そう思うと力がすべてのサンドラクト王国と近いものは感じますわね。ここは魔法がすべて、ということ)


ナリニーユ帝国とサンドラクト王国は互いに魔法と力の素晴らしさを分かち合うことをしなかった。

ある意味、同族嫌悪なのかもしれない。



『彼女を正妃にするには幼稚すぎる。今後の行い次第だがこれ以上、問題を起こせば側妃の地位すら危ういだろう』



ヴィクトールの言葉に、教皇は項垂れていた。

その手は怒りで震えていたが。


(まだ諦めていないようですわね……)


正妃が決まれば、他の三人は自動的に側妃になるそうだ。

もっとも皇帝の寵愛を受けたものが正妃となる場合が多いのだが、側妃になったとしてもその地位は高い。


それは帝国のバランスをとるための制度だ。

アナベルは正妃にはなれないものの、側妃としてここにいることはできる。

ヴィクトールも教会から完全に手を離すのは得策ではないと考えたのだろう。


決定打となったのはアナベルのそばにいた侍女たちの裏切りだった。

彼女たちはアナベルを慕っていたわけではない。

アナベルが己のプライドを誇示するために雇っていた高位貴族の令嬢たち。

彼女の立場が悪くなった途端に手のひらを返した。

なんとアナベルのしてきたことをヴィクトールに暴露し始めたのだ。


(それだけ彼女たちにとっては不満だったのかしら)


恐らく情報を提示することで己の立場を守ろうとしたのだろう。

侍女たちの中にはシャルレーヌの侍女になることを申し出る者まででてきた。

リリーを羨む者まで現れて、泣き落とししてくる者までいた。

もちろんロミが丁重に断っていたが。


ヴィクトールもトドメを刺すかのごとくそれを積極的に聞き入れた。

アナベルの悪事は侍女を虐げることをさりげなく指示したり、他の妃たちへの嫌がらせも繰り返し行っていたこと。

それから教皇が貴族たちに治療の代わりに大金を要求していたこともペラペラと話していたらしい。

それから平民には怪我ばかりで病を治していないことも……。


アナベルだけではなく、教皇のあくどい方法ですら暴露されてしまった。

教皇はもう何も言い訳ができなくなってしまったようだ。


貴族たちから治療の代わりに多額の寄付金を貰っていたが、それも貴族たちの怒りを買い、彼は追い詰められることになる。

彼らの悪事は大きなものから小さなものまでかなりの数があった。


もっとも正妃に近いアナベルの失脚は瞬く間に帝国中に知れ渡ることとなる。

聖女と呼ばれた彼女の裏の顔。

もう何が真実なのか何が嘘なのかわからないほどだった。


やはり平民出身だからと貴族たちからは『正妃に相応しくない』と、評価が一変した。

積み上げていくのは大変だが、転落するのは一瞬だ。

特にイメージが一番よかっただけあり、大打撃となった。


だからこそシャルレーヌがヴィクトールと一緒にパーティーに出席するという事実はほとんど話題になることがなかった。

一部の帝国貴族たちからリスクを考慮するべきだと反発を受けたらしいが、サンドラクト王国との和平の証だと解釈する者もいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ