第六話 ルミナス伯爵②
昼食を持ってくるようメイドに伝えたゲイルは、昼食を持ったメイドとともに修練場にもどってきた。
修練場の横には複数木でできたベンチと机があり、そこで昼食を取ることにした。
皆はベンチに座り、昼食が入ったバスケットを手に取る。中には、トマトとチーズ、サラダが挟まれた美味しそうなサンドイッチが並んでいた。
(最近知ったんだけど、食べ物の名前はすべて前世と同じなんだよなあ、)
この世界の食べ物は見た目は違うが、名前が同じものが多い。例えば、名前はポテトだが皮の色が青い色をしている。前の世界と違う色、大きさ、形はあれど、すべて味は、前世と同じである。
皆はサンドイッチを手に取り、食べ始めた。だがハルと女の子はまだ赤ちゃんのため別でメイドが後からご飯を持ってきた。ゲイルは伯爵に問う。
「ルミナス伯爵よ、お主の子の名前は何と言う?」
「まだ言っていなかったな。わしの娘、ステラじゃ。歳は1年と2ヶ月じゃな。」
「同い年ではないか!なら模擬戦をしている間うちの息子と遊ばせては見ないか?」
「いい案じゃな、儂らはまた模擬戦をするのお。」
(え?!模擬戦まだ見たいんだけど。)
ゲイルはメイドを呼び、ステラとハルは屋敷の中へと戻った。
(まだ剣術スキル見たかったのに!!)
そう思っている間に自分の部屋に戻ってきて、ステラとハルはベッドに降ろされ、メイドはドアの前に立っている。
(まあいっか。しょうがない魔力訓練するか)
ハルはベッドから降り、魔力を練り始め、ステラは横で遊んでいる。
魔力を練っているとステラがハルの服の裾を掴み、見てくる。
(何見てんだ?)
魔力を練るとわずかながら光るため、その光が気になるのかじっと見つめてくる。そんなステラを楽しませようと、ハルは部屋中に魔力の欠片を放出し、星のようにキラキラと輝く光で満たす。
「きゃはは!パチパチパチ」
ステラは何度も手をたたき喜びを表現する。その声の様子にドアの向こう側にいるメイドはクスッと笑っていた。
ピコンッ
魔力を練っていると、ステータスボードが念じていないのに開いた。そこには、
「「魔力操作の熟練度が1上がりました。魔力操作スキルを獲得しました。魔法スキルを獲得しました。」」
(やっと、熟練度が上がった。しかも魔力操作スキルを獲得した瞬間、魔法スキルも獲得したぞ。)
ステータスボードは許可していない人には見えていない。ステータスの漏洩を防ぐためだという。
(このタイミングで魔法スキルが解放されたということは、魔法を使う為には魔力操作スキルが必要みたいだな。 だから今まで使えなかったのか。先に知っておけば、あんな恥をさらさずに済んだのに。)
ハルは生後1年ぐらいの頃、異世界転生といえば魔法が使えると思った為、様々なポーズを取りながら恥ずかしい詠唱を心のなかで唱えていた。
((我が魂に眠りし炎よ!求めし我の前に顕現せよ!灼熱の炎をこの手のひらに!))
ハルは心のなかで唱えながら体が不自由ながらも、手を前に出し、もう片方の手を厨二病らしく顔を隠していた。だが、魔法が発動するわけもなくただ黒歴史を作っただけで終わった。
(無駄な詠唱はもうやらん!ちゃんとした詠唱で魔法を今度こそ使ってやる。さて、魔法適性はどんなものか、)
魔法適性: 火(中:)、水(無)、風(低)、岩(低)、雷(中)、無(高)、聖(中)、光(低)、闇(無)、神聖(無)、氷(低)、木(無)、特殊(中)
適正ランク
・無:その魔法を使えない
・低:使用できるのは初級。
・中:使用できるのは初級から中級。
・高:使用できるのは初級から上級。
・超:使用できるのは初級から超級。
(なんか、微妙だな。使える属性は多いが、適正ランクが低いな。ランクを上げる方法はあるんだろうか。)
(この中に知らない属性が何個かあるぞ?無、神聖、特殊?神聖属性は多分聖属性魔法の上位互換かな?けど、無属性と特殊属性はまじでわからん。まあとりあえず魔法を使ってみるか、まず安全そうな風かな。)
魔法を使おうと魔力を練り始めると、またステータスボードが鳴った。
「「魔力が足りません。レベルを上げるか、魔力操作スキルのレベルを上げてから再挑戦してください。」」
(嘘でしょ?!せっかく楽しみにしてた魔法なのに、)
落ち込んでいると、ステラがハルの隣りに座り頭を撫でた。小さな女の子に慰められているということに、ハルは涙を流した。
泣き終え魔法スキルのことを小数時間考えてると、大きな笑い声が聞こえてきた。そしてドアに目を向けると、ルミナス伯爵とゲイルが入ってきた。
「おーい!ステラよ、帰るぞ!」
どうやら帰る時間のようだ。ステラはルミナス伯爵の従者に抱えられ、玄関へ赴いた。ハルも同様メイドに抱えられ、お見送りすることになった。屋敷の前には、豪華な馬車が待っており二人は馬車の中へ。
「シックザース伯爵よ、また来るぞ!」
そう言い残し、ルミナス伯爵は帰っていった。
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