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隣の席の銀髪美少女ギャルは毎日俺の家に遊びに来ていることをクラスの皆には知られたくないらしい  作者: 二十四
一章

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9/15

ぬるりとね

 星羅さんと莉々愛さんのそんな一幕もあったが、それ以降の種目に付いては特に問題もなく、するりと決まっていった。


 男女共通して、バレーボールは背が高く運動神経が良い順に、男子のバドミントンは同じ運動部の仲のいい二人。男子のドッジボールはその他余りのそこまで運動神経が良くない生徒たち。


 女子のドッジボールは男とは違い、案外バランスの取れたメンバーな気がする。


 なんか男子のドッジボールの扱い酷くない……?


 俺はと言うと、別にクラスの中で突出して身長が高いわけでもないし、運動もそこまで得意ではないので、勿論その他余りとして、ぬるっとドッジボールに選出された。


 ほら、あれだ、小学校の時に、地味な子がドッジボールでめっちゃ避けまくって最後まで残る的なやつ。


 多分そんな感じで俺達ちんまり組が選ばれたに違いない、俺達は捨て種目なんかじゃないはずだ。


 ……なんとなく、男子のドッジボールの欄に書かれた名前を見たクラス全員が、あー男のドッジは捨てだな……みたいな顔してる気がするけど、きっと気の所為だ。


 俺は、女子のドッジボールのメンバーのバランスの良さから目を逸らして、一人言い訳を重ねていた。


 うんうんと俺が一人で唸っていると側頭部になにかが当たる感触を感じて横を向くと、星羅さんが消しゴムを小指の爪ぐらいのサイズにもぎって投げつけてきていた。


 せめて消しカスを投げなさいよ……消しゴムがトムとジェリーに出てくるチーズみたいになってますよ……


 無惨な姿担った星羅さんの消しゴムを可哀想に思っていると、星羅さんは胸元付近で握りこぶしを作って小さな声で言う。


「(頑張ろ!)」


 球技大会の種目決めの余韻で騒がしい教室の中では、星羅さんの小さな囁きは俺以外には聞こえずに、すぐに喧騒の中に溶けていく。


 せっかく星羅さんに応援してもらえても、自分で見ても捨て種目にしか見えない男子ドッジボールのメンバーに、俺は肩を竦めることしか出来なかった。


「後、球技大会にあたって、保険委員は後日委員会が開かれるそうなので、小宅くん、その時はお願いしますね」


「はーい」


 いんちょは忘れかけていたのか、少し早口でそう言った。


 さすがに、高校生にもなって学校で変に怪我をしたりする人なんて対して居ないだろう、と高をくくって入学後すぐのホームルームで保健委員に立候補した事をまさか今後悔することになるとは……


 いんちょにも聞こえるように軽く返事を返して、先程までは竦めていた肩を今度は落とす羽目になった。


 ×××


 その日の放課後。


 よっぽどの用事がなければ、ほぼ毎日俺の部屋で漫画を読んでいる事もあって、星羅さんは進撃のタイタン全巻合わせても半分ほどまで読み進めている。


 そんな星羅さんは相変わらず、ベッドにうつ伏せで寝転がってパタパタとバタ足しながら進撃のタイタン二十巻を読みながら口を開いた。


「てかさー、男子のドッジ酷くない?」


「……まあ、あんなもんじゃない?全種目勝ちを狙うって難しいと思うし」


 むしろ変に戦力を分散して全種目で結果を残せないよりは、他の二種目に比べ、運動神経や経験が対して関係無いドッジボールを捨て種目にするのはある意味合理的とも思える。


「それはそうだけど……そしたら、オタクくんとか、他のドッジの男子が楽しめないじゃん!せっかくの球技大会なのにさ!」


 星羅さんも本気で勝ちに行くのならばそこまで悪い采配ではないと分かっているが、感情的には許せないようでぷりぷりと怒っている。


 というか、星羅さんが俺達余りもの達のことを思って、そう言ってくれるのは嬉しいが、俺ことオタクくんも、ドッジボールに振り分けられたその他のオタクくんも残念ながら、そこまで球技大会を楽しみたいとは思ってないと思う。


 むしろ、はあ、早く終わんねえかなぁ。と俺とは方向性が違うオタクくんはこの時ばかりは意見を一緒にしているとすら言える。


「まあ、怪我しない程度に皆頑張るでしょ」


「なんでそんな他人事なのさ」


 星羅さんはむっと少し眉頭にしわを作って言う。


「え、いや、まあなるようにしかならんかなって」


「やるなら勝ちたいじゃん!」


「そうはいってもなあ……」



 星羅さんの言いたいことは分かるが、俺達オタクにとっての勝ち負けって球技大会とかで決めるんじゃなくて、何処も売り切れだったアニメイトの特典を自分だけ手に入れたとか、ゲームの人権キャラを持ってるとかで決めるから……


「……オタクくんのそういうところあんまり好きくないなー」


「い、いや俺は精一杯頑張るよ!うん!やっぱやるからには勝ちたいしね」



 むすっとした星羅さんにそう言われ、俺は急いで取ってつけたような言い訳を重ねてしまう。


 美少女に嫌われるのは悲しいからね、しょうがないね。


「なんか嘘くさーい」


「いや結構ガチですよ?オタク嘘つかない」


 当然、俺のその取ってつけたような言い訳なんて星羅さんにはお見通しのようで、疑いを目線が向けられるのをひしひしと感じる。


 別に今から運動をするわけでもないのに、くるくると肩を回して見たりしている俺を見て、これ以上何も言わないことにしたのか、星羅さんは俺から目を離して、また漫画の続きに戻った。


 ペラペラと紙がめくられる音を聞きながら、俺もライトノベルを読んでいると、星羅さんが進撃のタイタンを読みながらポツリと呟いた。


「おー団長かっこいい」


「いいキャラだよね」


 その呟きを聞いて、そう言えば今二十巻か、と星羅さんが読んでいるところがどの辺りなのか予想できた。


「……やられちゃった……まあ正直負けるっぽかったしなあ」


 最近星羅さんが漫画を読むのに慣れてきたのか、薄っすらと先を予想できるようになって来ているせいで、いまいち愉悦が足りない。


「やられるねえ」


 スれてきてしまった星羅さんに勝手な不満を抱きそうになるが、元々は俺の愉悦のためとは言え、おすすめした漫画を素直に楽しみながら読んでくれている星羅さんにまず感謝すべきだろう。


 しかし、愉悦が足りないのも確かだった。


 ……もうちょっと驚いてくれても良いんだよ?……くそ……先にアニメから見せたほうが良かったか……?


「あ、そう言えば、莉々愛と球技大会までバドミントンの練習するから、あんまり来れなくなるかも……」


 心の何処かでそんな事を考えていると、パタンと音を立てて、星羅さんが読んでいた二十巻を枕元に置いて、次の二十一巻に手を伸ばしながら言う。


「あー、確かにホームルームで言ってたね」


 進研ゼミをやりたいと親に頼むような莉々愛さんの姿が思い浮かぶ。


「そうなんだよー……もう莉々愛、運動苦手なのにさ」


 ぶつぶつと莉々愛さんに文句を言いつつも、練習に付き合ってあげるのだから、星羅さんはやっぱり友達想いのいい人だと思う。


「でも莉々愛さんが上達したら、星羅さんは運動得意だし、それこそコンビネーションはもう問題ないわけだし、結構良いところまで行くんじゃない?」


「だといいけどねー莉々愛も本気っぽいし」


「へえそりゃまた」


 どうしても莉々愛さんには色々と抜けている印象しか無いので、星羅さんの言った言葉に少し驚いてしまう。


「せっかく私と組むんだし、全員ボコボコにしてやる!って息巻いてたもん」


 けらけらと笑って言う星羅さんに、俺も莉々愛さんがボコボコにしてやる!と息巻いている姿があまりにも容易に想像出来てしまって、笑いをこらえることが出来ずに吹き出してしまった。



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