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隣の席の銀髪美少女ギャルは毎日俺の家に遊びに来ていることをクラスの皆には知られたくないらしい  作者: 二十四
一章

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8/15

進研ゼミは続かないものと古来より言われている

 ピザパーティーというか、星羅さんお疲れ様会を終え、数日がたったある日。


 そろそろ春も終わり、初夏に差し掛かったことで、ちりちりと前髪を焼くような熱気に顔をしかめていると、教卓の前に立った我がクラスの担任が口を開く。


「あと、今から球技大会の種目振り分けやるから」


 普段は退屈なはずの、ホームルームの時間に担任の先生が放った言葉でクラス中がざわりと騒がしくなる。


 正確には、クラスの中で立場のある人々が、だが。


 運動部に所属していて、運動が得意な生徒はやる気に燃え、負けん気が強く、イベント事には本気を出したい女子たちは各々の知り合いたちと作戦会議を始める。


 ちなみに俺はと言うと、運動の得意ではない女子や方向性の違いによりあまり絡みのないオタクグループ達と一緒にちんまりとした表情を浮かべている。



 残念ながら今回は見送らせてもらいたく……


「当然だけど、全員参加だからなー。…⋯じゃあ、後委員長よろしく」


 担任はそう言って後のことをクラス委員長に丸投げし、教室の入口付近に置かれた椅子に座って何やらノートパソコンで作業を始める。


 きっと球技大会という言葉を聞いて、ちんまりとした顔を浮かべた俺達を意欲なしとして内申点を下げているに違いない。この悪魔め!


 俺がどんなに担任の先生に恨めしい目線を送ろうが、担任の代わりに黒板にチーム分けを始める委員長を見てしまうと流石に諦めざるを得ない。


 めんどくせぇなあ……俺の担当球拾いとかじゃダメかな?


 隠れてため息を付いてちょっと横を見てみると、まあ予想通りっちゃ予想通りだが、星羅さんは少し遠い席に座る莉々愛さんとメラメラと熱意に燃えた瞳でアイコンタクトを交わしながらぐっと拳を握り込んでいた。


 なんとなく星羅さんはこういうイベント事は本気でやりそうだなーとは思っていたが、その通りだった。


 クラス委員長の女子生徒、通称いんちょがバレーボール、バドミントン、ドッジボールと、球技大会の種目を黒板に書き連ねて行く。


「それじゃあ、参加する種目を決めたいと思います」


 三つの種目を書き終え、カッとチョークを黒板に叩きつけ、いんちょがやる気に満ち溢れた様子で言った。


 くいと上げられた眼鏡はキラリと光を反射していて、


 いんちょ……お前もか……


 どちらかと言うと地味よりのいんちょはちんまり組だと思っていたのに、なんだか裏切られたような気持だ。


 そして、いんちょの言葉を聞いたやる気のある組の雰囲気が変わるのは当然だった。


 黒板に書かれた種目はバレーボール、バドミントンのダブルス、ドッジボールの3つで、男女で種目に違いは無い。


「とりあえず、高山と檜山はバレー確定っしょ!」


 クラスのムードメーカーであり、今名前の上がった高山君の友人でもある石川君が大きな声で言った。


 高山君は180cm後半の高身長に一年生にしてバレー部のレギュラー入りを果たしているらしいし、檜山さんもまた、女子バレー部でかなりの活躍をしていると聞いたことがある。


 部活でバレーボールに取り組んでいる二人がバレーボールの種目を担当するのはクラス中の誰もが納得しているようだ。


「そりゃ俺と檜山がバレーやるのは良いけど、いんちょー?部活やってるやつが同じ種目出ても良いのか?」


「そうそう、ウチもそれ言おうと思ってた」


 石川君に名指しされた二人から疑問の声が上がる。


 二人に詰められたいんちょはそれも予想していたように、眼鏡を光らせる。


 いんちょは一体いつまで眼鏡をかけた強キャラのマネをするんだろうか……


「……問題ありません。規則では球技大会の同じ種目の部活動に所属している生徒は全種目合わせて一人までであれば参加が許されています。そうですよね?先生?」


 いんちょが相変わらずカタカタとパソコンを弄っている担任に向かって言う。


「……ん?おおそうだな」


 自分たちの担任ながら本当にやる気ねえな……とクラスの皆から白い目を向けられている先生は、そんなことは気にもせずにすぐに作業に戻ってしまった。


 さすがのいんちょもそんな先生に少し思うところがあるのか、小さなため息を漏らして、俺達生徒へと振り返る。


 ルール上で問題がないと知った高山くんと檜山さんの二人は納得したような表情になる。


「そういうことなら、俺はバレーボールでも大丈夫です」


「ウチも」


「じゃあとりあえず、二人は確定ということで」


 いんちょは納得した二人に頷きを返して、バレーボールの男子と女子の欄に二人の名前を綺麗な字で書く。


「他に自薦や他薦はありますか?」


 黒板に書き終わったいんちょがそう言うが、二人以外にバレーボール部はこのクラスには居ないし、バドミントン部はもとよりうちの高校には存在しない。ドッジボールに至っては言わずもがなである。


「はいはい!私と星羅バドミントンやりたい!」


「ちょっと!莉々愛私バドミントンそんな上手くないんだけど!?」


 特にこれ以上の推薦は無いかと思っていると、莉々愛さんがぴしっと真っ直ぐ天井に向かって手を挙げて言った。


 まさかいきなりバドミントンダブルスに莉々愛さんが自分を含めて自薦をするとは思っていなかったのか、困惑したような声が隣の席から聞こえて来る。


 星羅さんの運動神経が割と良いのは普段の体育の授業で知っていたし、身長も女子にしてはかなり高い160後半なので俺はてっきりバレーボールをやるものとばかり思っていた。


 星羅さんの困惑ぶりを見るに、星羅さんもバレーボールをやるつもりだったに違いない。


「でえじょうぶだ!私達ならやれる!」


 そんな困惑する星羅さんを置き去りにして、莉々愛さんは謎の自信を持ってはっきりと言い切る。


「いや、莉々愛そんなに運動得意じゃないじゃん!」


 だめじゃねえか


「違うよ星羅、何も分かってない。……ダブルスに必要なのは、運動神経じゃなく、コンビネーション!……知らんけど!」


 バーン!とでも効果音がつきそうなほど、自信有りげにその豊満な胸を張って言った莉々愛さんに、星羅さんは完全に呆れた様子で頭痛を抑えるようにこめかみを揉んでいる。


「……ちゃんと練習する?」


 一応は親友の意見を尊重したいのか、星羅さんは莉々愛さんに向かってそう確認する。


「する!めっちゃする!」


 なんというか元気に言う莉々愛さんを見て、小学生の時母親に進研ゼミをやりたいと頼んだ時の事を思い出してしまった。


 普通に二ヶ月ぐらいで飽きてやらなくなったな、進研ゼミ……すまんな母よ


 懐かしい記憶を思い出していると、星羅さんは完全に覚悟を決めた莉々愛さんを説得するのは諦めたのか、どこか遠い目をして、


「じゃあ、私と莉々愛がバドミントンで……」


 言った。


 いんちょは一応他のクラスメイトにもバドミントンをやりたい人が居ないか確認を取るが、わざわざ星羅さんと莉々愛さんに対抗したくもないのか、誰も二人がバドミントンのダブルスをやることに対して反対意見は出なかった。


「よおし練習頑張るぞー!」


 星羅さんの心労を知ってか知らずか莉々愛さんはぐっとガッツポーズをして朗らかに言う。


 二人の様子を眺めていると、たまたま星羅さんと目があったので、頑張れと口パクを送ると、星羅さんはがくっと肩を落として大きなため息を付いた。






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