照れるなら言わなきゃ良いのに
サイトを二人で見ているとクーポンの一つに、二枚一緒に買うと少し安くなるというものがあったので、星羅さんが食べたいと行っていたマヨネーズとじゃがいものピザと、マルゲリータ。それとサイドメニューに二リットルのコーラを頼むことにした。
三十分ほどで届けてくれるそうなので、漫画を読むには少し短いし、俺達はリビングのダイニングチェアに腰掛けながら、ピザが届くまでは各々携帯をいじったりして時間を潰していた。
すると、てしてしと携帯をいじっていた星羅さんが唐突に嫌そうに顔をしかめた。
「げ、うわ〜めんどくさいなぁ」
「……どしたの」
「カラオケの時にいた先輩にインスタフォローされてDM来た」
よっぽど今日のカラオケの件が堪えたのか、星羅さんは大きなため息を漏らしながら言う。
気怠げに星羅さんが見せてくれた携帯の画面には、その先輩とのDM画面が開かれており、そこには「今度二人で遊ぼ」というメッセージがしっかりと星羅さんに届いていた。
こりゃまた面倒そうな……
「遊ぶの?」
「いや無しだね。流石にグループであれだったのに、二人だけは私死んじゃうよ?いいの?」
自信満々に言うことでもないようなことを誇らしげに言う星羅さんに、俺も肩の力が抜けてしまう。
「じゃあ、やめといたほうが良いな」
「……なに?嫉妬してるの?」
にやにやとからかうように言う星羅さん。
「そういう関係じゃないでしょ、俺らって」
「ちぇ、つまんないの」
「まあ、大変そうだなとは思うけど」
だって、知らない人と話すだけでも俺だったら疲れてしまうから。
星羅さんは知らない人というよりは知り合いが多すぎて、必然的に避けられない人付き合いが多いのだから、それこそ今日の出来事のように楽しいことばかりではないというのは俺にも分かる。
「オタクくんはそういうのあんまり好きじゃなさそうだしね」
言って、星羅さんは机の下のその足でツンツンと俺の足をつついて、いたずらっぽい笑みを湛えている。
「そうだな」
俺は友人関係は狭く深く行きたいタイプだ。
あえて狭く深くというより、広くできないだけだろといわれたらそれはそうなんだけど。
あと狭くっていっても、今のところ星羅さんぐらいしか学校に知り合いは居ない。……泣いて良いか?
そんな事を話していると、インターホンが鳴り、待ちに待った晩御飯の時間がやってくる。
×××
「ね、早く、早く」
俺が玄関で配達員さんからピザを受け取り、リビングに戻ってくると星羅さんは、ピザが楽しみでしょうがないのか、うきうきとした様子で急かすように言う。
「ちょいと待ちなされ、コップとか持ってくるから」
「うん!なるはやだよ!」
言って、待ちきれなそうな星羅さんの声を聞きながら、ピザの入った箱をダイニングテーブルの上において、食器棚の方へと向かう。
「…開けて良い?」
2人分のコップを持って戻ってくると、星羅さんはいよいよこらえきれないようで、俺がなにか言う前にピザの箱に手をかけている。
なんだかその姿が子供らしくて、少し可愛いなと思ってしまう。
プシュという音を立てて開けたペットボトルの中身をコップに入れながら俺が頷きを返す。
二人分のコーラを注ぎ終わると、ぎゅっと小さくガッツポーズをして星羅さんが言う。
「やた!2つとも開けちゃうよ?大丈夫?」
「どうぞ開けてくださいな」
「じゃあ、おーぷんっ!」
可愛らしい星羅さんの掛け声と共に、箱が開かれ、リビングに非常に食欲をそそる香りが立ち込める。
ぺちぺちと手を叩く星羅さんと同じように、なんとなく俺も自然と手を叩いてしまう。
普段一人でご飯を食べていると、こうしたピザを頼むことは無いし、これもまた星羅さんと一緒にいるからこその事なのかもしれないと思う。
「……早く食べよっ!」
「ん、そうだな」
星羅さんの言う通り、このまま手を叩いて居てもピザが冷めてしまうだろう。
俺達二人は手を合わせて、
「「いただきます」」
言った。
自然と声が重なったことに俺と星羅さんは顔を見合わせて、くすりと笑いピザに手を伸ばした。
「……みへ、みへ」
もぐもぐと俺がピザを食べていると、星羅さんがピザを口にしているせいで少しはっきりとしない言葉を俺にかけてくる。
星羅さんを見てみると、口からみょーんと白いチーズの架け橋が伸びていた。
なんかCMで見るやつみたいだな
「おいしい?」
「ん、おいひい!」
そう言った星羅さんは先程までの疲れたような様子なんて少しも無くて、ただただ幸せそうな顔をして居たので、それを見るとこうしてピザを頼んだ甲斐があるというものだ。
相変わらずぱくぱくとピザを口に運んでいる星羅さんを見ながらそんな事を思った。
×××
ピザを食べ終えた俺達はふきふきと手を拭きながら、残りのコーラを飲みながら少しまったりとしていた。
「はあ〜美味しかった!」
星羅さんは満足したようで、お腹を撫でながら言う。
「ピザ久々食べたけど、やっぱり美味しいな」
「そうだね〜」
星羅さんはウンウンと頷いて続ける。
「本当に今日は色々あって疲れたけど、オタクくんのお陰で全部どうでもよくなちゃった」
そう言われても別に俺がなにかした訳でも無いので、なんだかなんとも言えない感情が湧いてくる。
「まあ元気になったなら良かったよ」
「……やっぱりオタクくんと一緒にいると安心する」
星羅さんは頬杖をついて、俺の目をじっと見つめながら覗きこみながら言う。
じっと目を見つめられてしまうと、どうしても星羅さんの整った顔が視界いっぱいに入ってきてしまって、頬に熱が集まってしまう。
「オタクくんはさ、私にそんなに興味ないのが良いよね」
「……それは褒め言葉になるのか?」
別に全く興味がないわけではないが、確かめちゃくちゃに興味があるかと言われるとそういうわけでもない。
せいぜい毎日俺の部屋を満喫代わりにしている美少女の知り合いって感じだ。
星羅さんの褒め言葉なのかよくわからない言葉に曖昧な笑みを返して返す言葉に困って居ると、星羅さんは柔和な笑みを浮かべて、
「私、結構オタクくんのこと好きだぜ」
「……どうも」
自分で言ったくせに、星羅さんは顔を真っ赤にして照れている。
俺はいきなりそんな事を言われると思っていなかったので、誤魔化すようにそっぽを向いてしまった星羅さんのことを見つめ返してしまう。
そんなに照れるなら、そんな冗談言わなければいいのに……
なんて呆れてしまうが、そんなことを思っている俺も、きっと顔は真っ赤に染まっていた。
皆様の応援のお陰で本作「隣の席の銀髪美少女ギャルは毎日俺の家に遊びに来ていることをクラスの皆には知られたくないらしい」が日間現実恋愛7位、週間は14位を取ることが出来ました。
本当にありがとうございます!
気分がいいので隔日更新の予定でしたが、一話だけ更新しました。
本作を「面白い!」「二人の関係がどうなるのか気になる!」等々思っていただけたら、数秒でポチッとブックマーク登録や、下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしてくださると、作者のやる気が上がります。
すごい上がります。
また、作者Xにて本作の更新の報告や作者の独り言を見ることができるので、興味のある方は是非
@nishi_pillbug
二十四




