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隣の席の銀髪美少女ギャルは毎日俺の家に遊びに来ていることをクラスの皆には知られたくないらしい  作者: 二十四
一章

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2/15

ミスチンプンカンプン星羅さん

 放課後。


 俺はいつものように、自室の人を駄目にするソファの上で、今日はお尻様のおかげでほとんど読み進めることが出来なかったライトノベルを読んでいた。


 ずぶずぶとビーズに埋もれ、ぺらりとページをめくっていると呼び出しチャイムが甲高い音を立てて俺に来客を知らせる。


 ネットで買い物は特にしてないし、ここ最近もはや来客と言えば一人しか居ない事は俺も分かっていた。

 よっこいしょと声を出しながら立ち上がってインターホンの画面を見てみれば予想通りの来客だった。


「オタクくん入れてー」


「あいよー」


 俺が解錠のボタンを押すと、インターホンのカメラに額がくっつくんじゃないか、と思うほどその整った顔を近づけていた彼女……星羅さんはマンションのエントランスのドアが空いたことに気が付いてひらひらとカメラに向かって手を振って離れていく。


 彼女が無事エントランスに入れたことを確認して、とてちてと自分の部屋に戻り再度ビーズに埋もれて、しばし時間が経つと、自宅のドアががちゃりと空いた。


 ここ最近毎日来ているせいで、小宅家の勝手を完全に理解した彼女はぱたぱたとスリッパの音を立てながら俺の部屋の扉を開ける。


「あのさオタクくん、お迎えは?」


「……最近毎日来てるし、なんかいいかなって」


「ほんと適当だわー」


 普段と変わらない、少し着崩した制服姿の星羅さんはため息をつきながら、俺のベッドにスクールバッグを放り投げてそのままベッドに倒れ込む。


 あーやっぱり、俺のベッドが定位置なんすね……


 最初こそ普段自分が寝ているベッドにスクールカーストトップオブトップである星羅さんが寝転がることに、どぎまぎしていたが、それが一週間、二週間と経つうちに別に気にならなくなった。


 とはいえ、健全な男子高校生であるからして、着崩した制服からすらっと伸びる生足は少し問題が起きれば、隠された付け根まで見えてしまいそうで。


 けれど、どこぞのお尻様の時と違い、俺の自室かつ密室。親は基本的に家に居ない。となると流石にガン見することは俺には出来なかった。


「オタクくん、昨日の続き、とって?」


「星羅さん、見えそうっす」


 星羅さんの整った顔でちょいと上目遣いで言われ、俺は太ももの眩しさに目を眩ませながらそう言う事しかできなかった。


「んあ?見えてないならいいよー」


 俺の指摘にあんまりな返答を返す星羅さんに、この人は警戒心と言う物がないのか。と聞きたくなるが一先ず、言われた通り、昨日彼女が読んでいた進撃のタイタンという漫画の続きの本棚から五巻ほどを纏めて抜き取り、彼女の顔の横当たりに置く。


「あいがとー」


 適当な舌足らずの感謝を受けながら、俺もビーズに体を埋めた。


 特に俺と星羅さんの間に会話は無く、俺はライトノベル、星羅さんは漫画と多少の違いは有れど、ペラペラとページをめくる音に違いは無かった。


 カチカチと時を刻む時計の音と紙が擦れる音だけが流れていたが、漫画を読んだままの星羅さんが不意に口を開いた。


「……てか、今日オタクくん莉々愛のお尻ガン見してたの莉々愛気付いてたよ」


「げ……まじか」


「まーじ。普通にあの後、オタクくんめっちゃお尻見てて笑ったってライン来てたし」


「モロバレやん」


「モロバレやなぁ」


 ごめんね莉々愛さん、俺の男子高校生の部分の所為なんだ。俺は悪くない。


「マジな話、目線ってめっちゃ分かるから、気を付けなよ」


「……いや、でもさぁ、あれに関しては莉々愛さんにも責任があると思うわ」


「まーね?でも、あれはガン見しすぎでしょ」


「……男子高校生だもの」


「男子高校生関係なしに、オタクくんがむっつりなだけだろー」


 そう言って星羅さんは少し足を延ばして俺の頭をぱたぱたと叩く。


 ご褒美です。ありがとう。……本当にありがとう。


 しょうがないじゃないか、だって筆箱に入った定規ぐらいの距離に美少女のお尻があるんだもの。


 ちらとベッドに寝転がる星羅さんの呼んでいる漫画を見ると十巻。


 おいおい、一番初見の反応が面白いとこじゃねえかよ……


 何故俺が自宅を星羅さんに満喫のように使われている事を許容しているかと聞かれたら、星羅さんと居ることに不快感を感じないというのもあるが、一番は初見の反応を一番近くで見れる愉悦の為だ。


 ラノベを呼んでいる場合じゃない。俺は一旦呼んでいたページに栞を漁んで、今もなおぺらぺらとページをめくっていく星羅さんの事を盗み見る。


「…………は?……え?ん?」


 皆さんご存じ、いきなり登場人物の一人が自分がこれまで主人公たちが戦っていたタイタンである、と唐突に告白するシーンで、星羅さんは間の抜けた声をこぼして、今自分が見たコマが間違えなんじゃないか、とそのシーンの前後のページにを確認している。


 あぁなんという愉悦。……星羅さん……分かるよ、その気持ち。


「ねえ、オタクくん。これって印刷ミス?」


 にやにやと自然と浮かび上がってくる笑みを嚙み殺していると、チンプンカンプン大賞があるのならば、グランプリを獲得できるほど困惑した表情の星羅さんが、さっきまで転がっていたベッドからずりずりと俺の方へと近づいて、問題のページを俺に見せてくる。


 うーんこれが見たかった。


「いや?ミスじゃないけど」


「いや?……じゃなくて!は?じゃあなに?こいつ裏切り者じゃん」


 ピシィと漫画の登場人物に指を指しながら、俺の欲しかったリアクションそのままを見せてくれる星羅さんに噛み殺していた笑みがこぼれてしまう。


「ふふふ……いやぁ、裏切り者なのかなぁ?わかんないなぁ」


「だるっ!え、まじか、これからどうなるの?」


「そりゃ、続き読んでもろて」


「いや、読むけど!めっちゃ続き気になるし!」


 初見の楽しみを奪うのは俺のポリシーに反するし、バタバタと足を暴れさせて、これまで以上に真剣に開いた漫画本を真剣な表情で読み込む星羅さんに感じる愉悦の大きい事、大きい事。


 これだから、サブカルチャーに疎い星羅さんと過ごすこの時間が、俺は好きでしょうがないのだ。


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