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隣の席の銀髪美少女ギャルは毎日俺の家に遊びに来ていることをクラスの皆には知られたくないらしい  作者: 二十四
一章

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14/15

だっておてて痛かったんだもん

「オタクくん頑張れー!」


「勝てるよ〜!」


 俺のそんな気持ちなんて知る由もない、星羅さんと莉々愛さんは、2−bのチームと整列している俺達に脳天気な応援をしてくれていた。


 二人は手のひらでメガホンを作って元気に応援してくれるが、二人の声が俺に掛かるたびに、向かって斜め前にいるカラオケ先輩から向けられる目線がきつくなっていく。


 ……怖いなー


 整列したまま、カラオケ先輩に睨みつけられていると、今までルールの説明をしていた先生が口に咥えた笛を鳴らした。


 そうして俺達のクラスと2−bのクラスの面々は握手を交わしていく。俺もその流れに従って握手していくが、問題のカラオケ先輩に手を差し出したが彼は握手をしてくれなかった。


「……ちょっと星羅と仲いいからって、調子のんなよ」


 言って、カラオケ先輩は不機嫌さを隠そうともせずに後ろを向いてしまう。


「あのー握手……」


 いやほら、ね?俺日本人の鑑だから、皆がやってることはちゃんとやっておかないと、ムズムズするっていうか……


 別に、俺だってカラオケ先輩と仲良くしたいわけではない。


「チッ……」


 カラオケ先輩は相変わらず不機嫌そうに顔を歪めて舌打ちをしたが、一応俺の手を取ってくれた。


 ……って、痛い、いや、イッタ!


 なんて人だ、俺はちゃんとスポーツマンシップに則って握手を交わそうとしたのにも関わらず、力いっぱい俺の手を握りしめやがった。


 俺が痛そうに顔を歪めた事に満足したのか、カラオケ先輩はぱっと俺の手を離して2−b側のコートに戻っていった。


 ……ふむ、オタクくんちょっと頑張っちゃおうかな


 地味に嫌なことをしてくれたカラオケ先輩に、どうやって意趣返ししてやろうと考えていると、再度先生が笛を鳴らした。


 試合開始だ。


 ×××


 高校生男子達のガチドッジボールが始まってから数分が経った。


 向こうのチームにはカラオケ先輩を筆頭にそこそこ運動が出来そうな人が居るのに対し、こちらはほぼ全員がインドア文化系男子、しかも練習なんて一度もしていない。


 そのため、すでに俺達のクラスの面子はほとんど外野に追いやられており、外野からボールを投げたところで避けられてしまって、内野には戻れそうもない。


 まあ俺も別に勝てるとは思ってなかったし、それは良い。


 俺はさっさと勝つのを諦めて、ちょうど投げられたボールをキャッチすることが出来たので、カラオケ先輩にだけ嫌がらせをすることに決める。


 俺は手にしたボールを思い切り振りかぶって、カラオケ先輩の顔面に投げつけた。


 案の定カラオケ先輩はまさか顔面めがけてボールが飛んでくるとは思っていなかったのか、投げつけられたボールをキャッチすることは出来ずに、モロに顔面で食らった。


「あ、スイマセン!」


 俺はカラオケ先輩が顔面にボールを食らったのを確認して、直ぐにわざとじゃありませんよーと審判の先生にアピールしながら言う。


 当然顔面はセーフなので、カラオケ先輩が外野に移動することはないし、別に使っているボールもソフトバレーボールなので、カラオケ先輩が怪我することもない。


 本当にただの嫌がらせでしか無い。


「大丈夫ですか?怪我とかしてないですか」


 俺はカラオケ先輩に寄ってそう言うが、直ぐに振り払われてしまった。


 なんだよ、俺は心配しているだけなのに(棒)


 審判の先生も軽くカラオケ先輩の様子をみて怪我は無いことを確認したのか試合は再開する。


 試合が再開しても、俺にボールが回ってきたときは毎回カラオケ先輩の顔に投げていたら、いい加減先生にコイツわざとやってんな……みたいな目で見られ始めたので、流石にそれ以降は普通に体を狙うようにしておいた。


 無論、カラオケ先輩一点集中でだ。


 性格が悪いのは百も承知だが、俺にも思うところがあるので辞めるという選択肢は無い。


 ……だって、おてて痛かったんだもん


 結果?負けたよ。当たり前だろ。


「はー疲れた」


「お疲れー、いやーグッドゲームだよ、ほんと。…にひ」


 俺がタオルで汗を拭きながら、星羅さんと莉々愛さんの方へ戻ると、莉々愛さんがニタニタ笑いながら言った。

 試合中もケタケタと莉々愛さんが笑う声が聞こえてきたので、カラオケ先輩の顔面にボールを当て続けたのがよっぽど気に入ったらしい。


「女子の方はどう?」


「勝ったよ、次の試合までもうちょっと間開くみたいだけど」


 同じ体育館で行われている女子ドッジボールの結果が気になったので聞くと、星羅さんが呆れた様子で教えてくれた。


「おお、そりゃいい」


「そりゃいい……じゃないよ、もうっ。何くだらないことしてんの」


 星羅さんはそう言って手に持ったタオルで俺の頭を叩く。


 ぱすっと気の抜けた音とともに、星羅さん家のお花のような柔軟剤の匂いがふわりと香る。


 この匂い最近俺のベッドからもするようになってきたんだよな……まったくけしからん。


「いやあ、正味勝てると思ってなかったからさ、手痛かったし、嫌がらせだけでもって思って」


「うわ、オタクくん性格悪っ」


 莉々愛さんがそう言って少し俺から距離を取る。


「いや、莉々愛さんが一番笑ってたでしょ、お嬢様のくせに一番性格悪いって」


「……あれは笑うでしょ!」


 星羅さんは俺の言葉を聞いて、相変わらず呆れた様子で大きなため息を付いて言う。


「……まあ、正直ちょっと面白かったし、すっとしたけど……なんだかなあ」


普通にドッジボールは負けてるし、当然俺がしたことは褒められたことではないので、星羅さんは素直に褒めれないことに微妙な顔をしていた。




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