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隣の席の銀髪美少女ギャルは毎日俺の家に遊びに来ていることをクラスの皆には知られたくないらしい  作者: 二十四
一章

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13/15

お前ら練習してないくせに

 気がつけば早いもので、俺は今ジャージ姿で、だらだらと堅苦しい口調の生徒会長の球技大会の開会式の挨拶を聞きながらあくびを噛み殺していた。


 そう、今日は球技大会本番である。


 うちの高校の球技大会は全学年合同で行われるので、今生徒会長の挨拶を聞いて居るのは俺達一年生だけではなく、上級生も居るが、みんな早く練習の成果を見せたいのか、誰も生徒会長の挨拶なんて聞いていない。


 問題の星羅さん莉々愛さんのダブルスだが、昨日他のクラスのバドミントン担当と昼休みに練習試合を行った結果、かなりの大差をつけて勝利したとクラスで話題になっていたので、もう心配はしなくてもいいだろう。


「それでは、球技大会皆さん怪我がないよう気をつけてください」


 そう言って生徒会長が挨拶を締めると、全学年がぞろぞろとクラスごとにまとまり始める。


 例に漏れず俺達もいんちょを中心に集まった。


「まず、各種目が行われる場所ですが、ドッジボールが第二体育館、バレーボールが第一体育館、バドミントンはバレーボールが終わった後に第一体育館になります。なので、望月さんと志摩さんは出番が少し後なので、出番までにはしっかりと準備をしておいてください」


 いんちょはつらつらと業務連絡のように、長い言葉を噛まずに言い切った。


 ちなみに志摩さんというのは莉々愛さんの苗字である。莉々愛さんが星羅さん以上に人付き合いが得意ということもあって、苗字で呼ぶのは先生かいんちょぐらいしか居ないが……


 いんちょに名指しされた二人はコクリと真剣な表情で頷いた。


「目指すは総合優勝です。頑張りましょう!」


「「「おーーーー!!」」」


 珍しくいんちょが大きな声で言った掛け声に皆も大きな声で掛け声を上げる。


 この時ばかりは結局球技大会本番までに一度も集まってない男子のドッジボールの奴らと俺もなんというか空気に飲まれて、元気に声を上げていた。


 他のクラスでも同じような円陣は行われていて、いよいよ球技大会が始まるのだと、少しワクワクしている自分が居た。


 円陣を済ませて、星羅さんと莉々愛さん以外の生徒たちは各々の種目が行われる体育館に移動を始めていた。


「小宅君、ちょっと良いですか」


「……どした」


 俺もドッジボールが行われる第二体育館に移動しようと、ぽてぽて歩いていると、いんちょに呼び止められる。


「怪我人が出た場合、そのクラスの保健委員が種目に参加している場合は、同学年の他のクラスの保健委員が対応する。で、良いんですよね?」


「みたいだよ」


 何を聞かれるのかと恐怖していると、なんてことはない、ただの確認だった。

 俺は安心してほっと胸を撫で下ろして、昨日の放課後行われた委員会で保健委員長が言っていたことを思い出し頷く。


「わかりました、ありがとうございます。……その、男子のドッジボール大変だと思いますけど、頑張ってください」


 いんちょも流石に男子ドッジボールの惨状を思い出しているのか、少し気まずそうに言った。


 とはいえ、いんちょは俺と違ってわざわざ男子ドッジボールの面子に一人一人声を掛けて練習をするように呼びかけていたので、いんちょはちゃんと仕事はしてくれていた。


 まあ、結果は現状を見て察してほしい。


 いんちょにひらひらと手を降って離れると、後ろから何かに突撃されてつんのめった。


「どーん!応援いくぜ!」


「ちょっと莉々愛!オタクくんが怪我したらどうすんの!」


「あ、やば!膝の爆弾が!」


 それなりの衝撃が走った背中をさすりながら振り向くと、声で分かっては居たが星羅さんと莉々愛さんの二人だった。


 星羅さんがなんの気なしに言った言葉に、莉々愛さんは俺の中学時代の古傷(嘘)のことを思い出したのか、申し訳なさそうにしていた。


「二人は当分暇そうだね」


「流石に出番近づいてきたらアップするけどね」


「それまでは暇だから、皆の応援係!」


 二人は頷いて言った。


 うちのクラスの皆は俺が莉々愛さんの手助けをしてからというものの、ちょこちょこ二人と話している光景を見ているので、俺と二人が離していても何も驚きはしない。


 けれど、他のクラスや上級生にとっては、美少女の二人と冴えない俺みたいなオタクが並んで歩いているのは奇異なものに映るのだろう。


 三人で並びながら歩いていると、俺以外の二人が生徒の視線を集めること集めること。


「てか、初戦の相手ってどこ?」


 向けられる視線から逃れるようにできるだけ気配を消していると、星羅さんが俺の持っている試合の組み合わせと各クラスのメンバーの名前が書かれたプリントを覗き込んでくる。星羅さんに続いて、莉々愛さんも気になったのか同じようにして覗き込んで、直ぐに顔を歪めた。


「げ、2−bじゃん、しかもカラオケの時の先輩もいるし」


「は、マジ?……うわ、マジじゃん」


「あー、星羅さんにDM送ってきた先輩か」


 嫌そうに言った二人に最初はなんのことを言っているのか分からなかったが、莉々愛さんの言ったカラオケ、という単語でやっと思い出した。


「あれ、そのことオタクくんに話したっけ?」


 俺の言葉に莉々愛さんはキョトンと首を傾げた。


 そう言えばその時の話は俺の家で行われたもので、莉々愛さんは星羅さんが俺の家に遊びに来ていることを知らないのだった。


「あーいや、ほら席となりだから、この前ちょっとその話したんだよね」


「あーね」


 あぶね〜


 じとと星羅さんに見られて慌てて、適当な言い訳をならべると、莉々愛さんも対して気にしての居なかったのか、直ぐに納得してくれた。


 気をつけろと言わんばかりにビシビシと背中を星羅さんに突かれながら第二体育館に足を踏み入れると、話しながら歩いてきたせいか、すでにうちのクラスのドッジボールのメンバーが気怠げな様子で立っていた。

 そして、クラスメイトと2−bの生徒両方から、両手に花の様相で近づいて来る俺に嫉妬や興味等様々なものが入り混じった視線が向けられる。


「なんかやな感じー」


「ねー」


 ねー


 そんな視線を向けられて星羅さんもため息を付いて小さく呟く。

 莉々愛さんも星羅さんの呟きが聞こえたのかほんの少しだけ顔を歪めた。


 俺も莉々愛さんのように内心同意していると、本当にびっくりするぐらい分かりやすい敵意のこもった視線を感じてそちらを向くと、相手チームの中に一人だけ俺を睨みつける生徒がいた。


 ……絶対あれカラオケ先輩じゃーん


 正直ただでさえなかったやる気が、早々になくなっていく。


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