分からんのじゃい!
男子のドッジボールが負けた後、同じ会場で行われていた女子の方のドッジボールを三人で観戦していたが、結局二回戦目で負けてしまった。
「オタクくん私たちバレーの方見に行くけど一緒に行く?」
星羅さんと莉々愛さんは女子のドッジボールに参加していた子達と話しに行ってしまったので、端っこで座ってぼーっとしていると、星羅さんが一人だけ戻ってきて言う。
「話すのはもう平気なの?」
まだこちらに来ていない莉々愛さんのほうを見てみれば、まだまだ話し込んでいて戻ってきそうはない。
しかし、星羅さんはふるふると顔を振って言う。
「私は軽く皆と話せたから大丈夫」
「……ん、そっか」
俺が頷きながら言うと、星羅さんも頷き返してきた。
「……まあ、ドッジ両方負けちゃったし、ここ居てもやることない、か……」
言うと、星羅さんは、男女両方が負けてしまった事に残念そうにハの字に眉を下げた。
「……負けちゃったのは残念だけどねぇ」
男子の方は、もう少し頑張れば勝てなくもない試合だったような気がするし、ここまで落ち込まれると少し申し訳無く思えてくる。
……まあでも、そもそもあそこまで集まり悪かったら、勝てるものも勝てないか……
「あ、ごめんね?オタクくんが悪いって言いたい訳じゃないからね?」
俺が申し訳なさそうにしているのに気がついたのか、星羅さんは顔の前でパタパタと左右に手を振りながら言う。
「……あぶねー、そう思われてたらどうしようかと思ったよ」
「え、逆に私そんなこと思うように見えてるの?」
星羅さんは少し拗ねたように、胸の前で腕を組んで、頬を膨らませる。
「いんや?もちろん冗談だって」
拗ねている星羅さんは、とても可愛らしいが、そのままにしているのは可哀想なので、俺も左右にひらひらと手を振って言った。
「そう?……よかった」
納得してくれたようで、星羅さんはほっと息を吐いてからぽそりと呟いた。
そんな星羅さんに俺も首肯し、バレーボールの応援に行くため、2人で今居る体育館を後にした。
×××
男女のバレーボールが行われている、第一体育館に星羅さんと一緒に足を踏み入れると、あまりの応援の声量にたじろいでしまった。
なぜなら、現在試合中のうちのクラスの高山君への、他クラス、他学年を含む女子の黄色い声援と、男子の野太い声援が入り交じり、相乗効果でとんでもない熱気が渦巻いていたからだ。
……ほんと、顔がいいのと背が高い、気さくな明るい性格って……誰が考えた最強の主人公だよ……
「今、準決らしいよ?女子は負けちゃったみたい」
高山君の応援団から仕入れて来たのか星羅さんが言った。
「あぁ…どうりで……」
俺たちがまったり話している間にも、高山君達は順調に駒を進めていたようで、準決勝ともなれば、この体育館の熱気にも納得がいってしまう。
「……ほら、こっち座って、一緒に見よ?」
言って、星羅さんは俺のジャージの袖をちゃんと摘んで空いているスペースに俺を誘う。
「……あー…おす」
少し広いスペースとはいえ、2人が並んで座れば膝がくっついてしまう程度のスペースに、俺はどうしようかと二の足を踏んでしまう。
しかし、そこで高山君の応援をするのは、星羅さんの中で決定事項みたいだ。
繰り返しくいくいと袖を引っ張られては、俺も大人しく星羅さんの隣に腰を下ろす以外の選択肢は取れなかった。
「ほら、やっぱ見やすいじゃん?」
なんて、星羅さんは自信満々に言うが、結局どちらかが身じろぎすると、膝がくっついてしまう距離で気にせず普段通りで居られるほど、俺は人間が出来て居なかった。
「ソウデスネ……ハイ」
「……?……変なの」
変なの、じゃないねん。こちとら膝がコツコツ当たるわ、なんか隣からいい匂いするわで、どうすればいいのか自分でも分からんのじゃい!
ぶつぶつと心の中で星羅さんに文句を重ねた所で、星羅さんどこ吹く風で気にしている様子は皆無だった。、
俺がドギマギしている間も、星羅さんは高山君達が点を取ったり取られたりのシーソーゲームの度に上がる声援に楽しそうにぺちぺちと拍手している。
「……そろそろ準備しようかな」
丁度、バレーボールの試合の終わりを決める笛が吹かれる中、星羅さんは言う。
「おう、頑張ってな」
残念ながらうちのクラスのバレーボールは僅差で負けてしまった。
「ちょっと莉々愛探してくるね」
「はいよ」
「オタクくん、私頑張るね」
ほかの種目も結果は振るわなかったので、もう総合優勝は厳しそうだったが、そんな事を1ミリも感じさせない、気合いの入った表情をしていた。
仕事が始まって、思いのほか執筆の時間が取れてなくて、更新が3日に一回とかになりそうです……申し訳ない。
続きが気になる!待ってやるぞ!と思って頂けたら下の☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けるとやる気が倍増します。




