ジルバの野望
ジルバは精霊石が枯渇していた。
使い魔を数百体従えているが自分の利益を優先させ、ジルバの為と言うより己の為と言う連中ばかり。
この私に忠誠を誓う者以外はいらん!
ジルバはいつしかこう考えるようになった。
用済みな使い魔は他の使い魔の餌食にするか、売ってしまう。
至極残虐な独裁体制を使い魔間で繰り広げていた。
ジルバはマァムの剣を贄とし、強大で従順な使い魔を眷属としようとしていた。
そんなところで『コンコン』とドアをノックする音がする。
ジルバは取り寛い、「なんだ?」と紡いだ。
なお今はドア越し。
「実は忘れ物をしてしまって…マァムの剣の残留思念を辿ってきたのですが…」
「君は夢でも見ていたのではないのかね?残念ながらここには無い」
ジルバはこう返答。
(ちっあいつのものだったのか…)
ジルバは心内で舌打ちした。
ロロイはスンスンと匂いを嗅ぐ。
「おかしいですな?部屋の奥にマァムの剣らしい匂いがしますぞ?」
ジルバは血相を変えて凄みだした。
「私を疑っているのか!?無いと言ったら無いんだ!さっさと帰りたまえ!!」
マスターはビクッと跳ねてロロイを諌めた。
「ロロイ他を当たろうよ。この人を怒らせたら駄目だよ」
「マァムの剣を匂いで感じたのだ。そこにいるのは確実ですぞ」
ロロイはキッとドアの奥を睨んでいた。
「君達は私を揶揄っているのかね?」
「揶揄っているのでは無い。あれはマスターの大事な剣だ。返してもらおう」
アワアワとするマスターに反してロロイはあくまで毅然とした対応で向かい合っている。
「クク…凄んでも引かぬとは流石はロロイ…いや、ロイ・ハーゼンライゼン…」
ロロイの眉間の皺が深くなった。
ドアが開き出す。
「「!!!」」ジルバは薄く笑いながら目の周りに影を作り、二人を見下ろしていた。
「私と戦うのかね?戦いなら買ってやろう」
ジルバは歩みだす。
「やめようよここで喧嘩なんて」
「マァムが捕えられているのですぞ!」
ロロイは剣を抜いて臨戦態勢を取った。
一方でマスターはやり合うのを恐れまくっている。
「大した胆力だ。流石前世が騎士だっただけのことはある」
「マァムは其方には渡さん!」
「ふふふ図星だ剣は私が持っている!」
ジルバは手を真上に突きかざした。
するとマスターの持っていたマァムの剣が現れる。
「やはり持っていたか…」
「貴様達は私を怒らせた。この剣のサビとなってもらおう!」
ジルバは剣を振りかぶった。
そんな時『やめて!!』と甲高い声がした。
「「マァムか!?」」とジルバにロロイ。
『私の剣で傷つけないで。そしてそして、ジルバ様は賢者の会があるはずでしょ!?人を傷つけたらそれこそ不味いと思うけどっ』
「ふっふっふよく聞いていたな。アイツらもうるさいものだ…」
ジルバはクククと笑った。
ロロイも剣を収めた。目の前の剣がマァムである以上相手と傷つけ合う様子は見せたくないのは男心と言うもの。
「次の週に549のイベントが開催される。それで数多く稼いだ方がマァムの剣を手に入れられる。それならどうだ?」
『はい。それで構いません』
マスターはそれはそれで緊張が走るが、その時にマァムから声をかけられた。
『大丈夫よマスター。今、奴の精霊石は枯渇している。すぐには特典使い魔を使えないはずよ』
「うん…」マスターは気を引き締めた。
マァムの為にも頑張らなきゃ…奴の手に渡るのだけは避けなきゃならないっ!
ーーーそしてそして喫茶店メルベイユでは乙女達が心配そうにしていた。
「マスター無事に剣を見つけられたかしら…」
「ロロイがいるから大丈夫だと思うけどやっぱり心配よね…」
カランコロン♪知らせの鐘の音と共に噂の二人が姿を現した。
「おかえりマスター、剣は見つけられた?」
「いや、ジルバが持っていた。それで、次のイベントでマァムを賭けて戦う事になったんだ」
「「ええぇ!?」」魔法乙女達から驚きの声が上がる。
「それってマァムの剣をアイツが持ってたって事!?」
「そうなのです。マァムの剣は奴にとっても有用なものらしい」とロロイ。
マスター達には重い空気が張り詰められた。
ギルド内でも「ジルバは油断ならない相手だ。マスター気を抜くな」と発破をかけられた。
「わかってる。必ずマァムの剣は取り返す。元々僕のものだからなっ」
マスターは自分にも言い聞かせ心内の緊張をぶっ放すように放った。




