絶望と希望と
ブォーーーーッとその時、一位決定のサイレンが轟いた。
ガシャリと力強く剣を握る男が頂上に立っていた。
それはジルバだ、ジルバだ〜ジルバだ〜〜!!
「やはり勝者は賢者ジルバ様だ…」
「また一層強くなっておられる…勝てないはずだよ…」
多くのプレイヤーはジルバになら勝てっこないと納得する。
「ふはははは!我はジルバ。世界を制する者なり!!」
ジルバの轟き。それはマァムやマスターの絶望を意味していた。
「そんな…マァムがジルバの手に…」
マスターの目に光が無くなる。
「マァム…くっ!」
ロロイも悔しがり、地面にうずくまりながら大地に当たる。
そしてジルバはマァムの剣を地底の奥に放り込んだ。
その地底にジルバが眷属としようとしている魔物がいて、その持ち主に忠誠を誓うと言われる。
『誰だ私を眷属としようとしている者は…?』
ジルバの前に巨大な悪魔が姿を現した。
「あれはジャバウォック…」「なんでおぞましい…」
プレイヤー達は現れた大悪魔の姿に息を呑んだ。
「私だ!ジャバウォックよ!私の眷属となれ!!」
ジルバは叫んだ。
ジャバウォックは品定めするようにジルバを見る。
固唾を飲み込むプレイヤー達。
「あれはジャバウォックだぞ…」
「使い魔の中で最も扱いが難しいと言われる…」
「あの怪物を使い魔にしようとしているのかっ!?」
「しかししかし、ジルバ様ならジャバウォックをも従えていてもおかしくないよな…」
とこうヒソヒソと話し合いながら…。
マスターはマァムを救えなかった罪悪感と、自分不信に苛まれる。
あの際に課金してでも特典使い魔を手に入れ、ジルバと張り合っていればこんなことにはならなかったのに…と。
(なんてことだマァムがジルバの元に…更に最悪な事にマァムの剣が贄に利用されるなんて…。
誠さん僕の事を笑ってください。
マァムを救えなかった僕の事を…っ!)
マスターは自分を責め、誠にその事を責められたいと思うほど気持ちが追い込まれていた。
ところがジャバウォックはそんなジルバの事を鼻で笑う。
「何がおかしい!?」
『おかしいぞ。財産の無いお前が私を眷属にだと?片腹痛い』
「財産だと…『貴様の銀行の残高をよく見ろ』
ジルバは自分の銀行残高を見て茫然自失とした。
「わ、私の銀行の残高がマイナスにっ!!!」
ジルバはわかりやすいほどに顔面蒼白となった。
勝負のために自身の銀行通帳を見る余裕もなく、計画も立てずに課金を続け過ぎたのだ。
『ふん、計画も立てずにたかが我欲の為に課金を続け、私を眷属にしようとした不届者め!地獄で反省するが良い!!』
ジャバウォックはジルバの頭上に文字通り稲妻を降らせた。
「シビレビレ〜!!」
ジルバは稲妻に降り注がれて黒焦げになり、地面に真っ逆様に落ちていった。
「マスタ〜!!」
そしてその後、少女の明るい声がマスターの耳に入ってきた。
少女の声は誰だ?誰だ?誰だ?
マスターは少女の声を耳にし、顔を上げた。
向こうから、ブレザー姿の少女が手を振りながらマスターの元に走ってきた。
「マァム!しかも人間に!?」
奇跡でも起こったのか?なんとマァムが人間の姿に戻り、自らマスターの元に走ってきたと言うのだ。
「一体何故…」
そしてその後から、モョモトとアイランがやって来た。
「モョモトにアイランさんっ…てアイランさんなんかやつれてないですか?」
よく見るとアイランがいつにもなく肌にツヤがなくやつれていたのだ。
「やつれてるわよアンタのせいでね…」
アイランはぶっきらぼうにそう言った。
「あはは…僕の方から説明しよう…」
モョモトは説明を始めた。




