おじいさん達のお孫さんは優しいんだね
「あ……うーん……話してはみるけど……今はそれどころじゃないっていうか……」
今お父さんは泊まり込みで駿河の里の忍びと揉めているんだよね……
「それどころじゃない? 孫の前科よりも大事なのか!?」
「まぁ、待て。何かあったのか?」
忍び装束のおじいさんが尋ねてきたけど……
詳しくは話さない方がいいよね?
「あぁ……なんて言うか……揉め事に巻き込まれていてね……生きるか死ぬか……みたいな感じ? 上手く言えないけど……」
「生きるか死ぬかの揉め事?」
「詳しく話せない事情があるようだな」
「あ……うん。身内? の揉め事……みたいな……感じかな」
さすがに駿河の脳を消滅させたくない忍びと揉めているなんて話せないよ。
「なるほど。あれだけの土地と建物なら相続関係か……」
「まさか父親に隠し子がいて生前贈与で揉めているとか……いや……義母から遺産を一円も分けるつもりがないと言われたとか?」
麦多が喜びそうな話だね……
「お父さんに隠し子はいないよ。ママの事が好き過ぎて浮気なんてできないから。ちなみにママは継母じゃなくて本当の母親だよ。最近まで離れて暮らしていたけどまた一緒に住み始めたの。もうすぐ弟か妹が生まれるから皆ですごく楽しみにしているんだよ」
「そうか。ずいぶん年の離れた弟か妹ができるんだな」
「なるほど。家族仲は良さそうだ。相続問題じゃないのか」
「皆が前に進む為に解決しなければいけない問題……かな」
「前に進む為に?」
「……なぁ。自首しないか? 真司と真央の事は話さずに俺達がやったと言えばなんとかなるはずだ」
お孫さんだけでも助けようとしているんだね。
でも……
「うーん……無理じゃないかな。警察は防犯カメラを調べるだろうから」
「防犯カメラ……そうか……あれだけの建物なら当然あるか……」
「俺達が浅はかだったせいで孫達が犯罪者に……」
「お父さんに話してみるよ。事情を話せば被害届を出さないでくれるかもしれないし」
「本当か!?」
「……亡くなったじいさんが聞かせてくれた昔話……あれは全部嘘だったのか」
「嘘? どんな話?」
「俺達の先祖はそれはすごい忍びだった……七十年前……膝に座る俺達兄弟にそれは嬉しそうに話してくれたんだ」
「こんな話……聞いてくれるのか?」
「もちろん。おじいさんが聞かせてくれた話を教えて欲しいよ」
「……孫達はバカバカしいと思いながらも、駿河様の脳を盗む手伝いをしてくれた。俺達が無理をしないように……怪我をしないように……」
「駿河様の名は、じいさんから聞いていた。それはすごい忍びで徳川の力になっていたと……」
得川?
それとも徳川かな?
このおじいさん達は真実をどこまで知っているんだろう。




