おじいさん達は純粋過ぎるから簡単に利用されたんだね
「……はぁ。お前らが妙な事ばかりするから群馬に来るんを止める為に孫が大袈裟に言ったんだろ」
小犬丸さんが呆れながら話しているけど……
私も同じ意見だよ。
「妙な事?」
「妙な事ではない!」
忍び装束のおじいさん二人は孫の言葉を信じているから認めたくないんだね。
「お前ら……どっかの誰かにこう言われたんじゃねぇか? 『駿河様の脳を盗んで儀式をしたら忍びの力が手に入る』」
「どうしてそれを!?」
「まさかあいつは俺達以外にもその話を!?」
「そりゃ違うなぁ。いいか? よぉく聞け。お前らは騙されたんだ」
「え?」
「騙された?」
「そうだ。お前らは忍びの末裔なんだろ?」
「……!?」
「どうしてそれを!?」
「そりゃ、俺も忍びの末裔だからだ」
小犬丸さんはそれを話して大丈夫なの?
おじいさん達は忍びに憧れているんだよね?
面倒な事になるんじゃないかな……
「お前も!?」
「……まさか……お前は忍びの力が使えるのか?」
「んん? 忍びの力? そりゃ何だ?」
「空を飛んだり指から火を出したりする力だ!」
「他にも水の上を走ったりできるんだ!」
「はあ? なんだそりゃ? 物語に出てくるような忍術だなぁ」
「そうか……お前にも忍びの力は無いのか……」
「じゃあ、駿河様の脳を使って力を得ようとしているのか?」
「はぁ……お前らは騙されたんだ。俺らは小犬丸の里で忍びの末裔として暮らし続けてるけどなぁ……空を飛んだり指から火を出したりするなんて一度も見た事がねぇ」
「そんな事を言って脳を奪おうとしているんだろう!」
「この脳は渡さない!」
「まぁ、落ち着け。俺はそんな力は、いらねぇんだ。それに儀式なんてもんをしても忍びの力は手に入らねぇ。元々そんな力は存在しねぇんだ。なぁ、真葵ちゃん」
「え!? 私!?」
そういえば話を合わせろって言われていたんだっけ……
「なぁ? 真葵ちゃん」
うぅ……
上手くできるかな?
「あ……うん。私も空を飛ぶとか指から火を出すなんて……聞いた事がないよ」
これでいいのかな?
「……お前ら……詐欺師に騙されたんだなぁ。かわいそうに……」
「は!? 詐欺!? そんなはずは……」
「そうだ! 俺達は崇高な忍びの末裔なんだ!」
「……崇高な忍びの末裔? そりゃ誰から聞いたんだ?」
「俺達のじいさんからだ」
「幼い頃から何度も聞かされてきた」
「……そうか。で? 脳の話はそのじいさんから聞いたんか?」
「え?」
「それは脳の存在を教えてくれた男から……あれは十日ほど前だった。突然まんじゅう屋に来て『忍びの力が欲しくないか』……と」
「十日前? まさか金を要求されたりしてねぇだろうなぁ」
「そんな事は無い!」
「そうだ! あの男は俺達に色々教えてくれただけだ!」
「あぁ……そういう事か。お前らが孫に盗みをさせた防犯カメラ映像を使って脅迫するつもりなんだ」
小犬丸さん……
さすがにそれは無理があるよ。
「脅迫!?」
「そんな……」
え!?
簡単に騙された!?
あぁ……
純粋過ぎるところを利用されて、脳を盗むように仕向けられたんだね……
「いいように騙されたんだなぁ……かわいそうな孫だ。まだ若いんだろ? 前科がついちまうなぁ」
「前科!?」
「ダメだ! それだけはダメだ!」
このおじいさん達がお孫さんを大切に想っているのは分かったけど……
脳の存在を教えた男がいたんだよね?
お父さんが施設にいない時にこんな事をさせたなら施設関係者なのかな?




