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ユウちゃんはどうしちゃったの? 〜後編〜

「うにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃ……」


 緑色の唐草模様の布でほっかむりされたユウちゃんが止まる事なく鳴き続けている。

 

「んん? 人面猫はずっと鳴いてるなぁ」


 小犬丸さんが私に抱っこされているユウちゃんを見ながら足を止めた。


「……困ったね。こんなに鳴いていたら黒ずくめの奴らにバレちゃうよ」


 どうしたら鳴き止むんだろう。


「そうだなぁ……ほっかむりじゃ声を止められなかったし……うーん……電池で動いてんなら抜けばいいんだけどなぁ……どういう仕組みで動いてんだ?」


「うにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃ……」


「おじいちゃんの力らしいけど……もしかして神奈川で何かあったのかも……」


「だとしたら駿河様の脳を取り戻したらすぐ神奈川に向かわねぇと! すぐにっ! できるだけ長くっ!」


「うにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃ……」


「……小犬丸の里に帰ったら奥さんに怒られそうだから先延ばしにしたい……とかじゃないよね?」


「……バレたか」


 やっぱりそうか……


「神奈川に麦多を連れて行くって約束していたけど……大丈夫なの?」


「うにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃ……」


「駿河の里じゃ殺し合いなんて起こらねぇさ」


「……そうなの?」


「せいぜい小競り合いくれぇだろうなぁ」


「……力がある人の小競り合いなんて危ないよ」


「うにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃ……」


「ははは! 皆鍛錬してるんだ。多少の事じゃ死なねぇさ。それと麦多も忍びとして育ったからなぁ。他の普通の小学生と同じだと思わねぇ方がいい」


「……? それって?」


「うにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃ……」


「小犬丸は桐の箱の化け物を見張る忍び……他の忍びがどう育つんかは知らねぇが麦多は腕の化け物にやられねぇように鍛錬を積んできた。って言っても腕に引きずり込まれそうになっちまったがなぁ……まぁ、数人の大人でもなんともならなかったんだから当然っちゃ当然だが……」


「でも残酷なものは見せたくないよ……」


「……その優しさは毒だ」


「……毒?」


「うにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃ……」


「ゆっくりゆっくり身体に蓄積して……気づかねぇうちに真葵ちゃんを蝕んでいく」


「……え?」


「感情が戻った真葵ちゃんは他人を思いやる事ができるようになった。それは良い事にも思えるが、それだけじゃねぇ。滅びの力を使える完全体の駿河様として生きていく事になったんだ。これからはもう普通には暮らせねぇだろう。残酷な死を何度も目にするはずだ」


「……うん」


「優しさは捨てた方がいい……優し過ぎる奴は心が壊れちまう……」


「……小犬丸さん」


「うにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃ……」


「……それにしても人面猫はうるせぇなぁ……だんだん声がでかくなってねぇか?」


 小犬丸さんの言う通りだ。

 ママが『ユウちゃんから一秒も離れるな』って言ったらしいけど……

 もしかしたら危険な所に近づくと鳴き続けるように作られているのかな?

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