ユウちゃんはどうしちゃったの? 〜前編〜
「んにゃんにゃ」
またユウちゃんがンニャンニャ鳴いている。
おじいちゃんが神奈川から何かを伝えようとしているのかな?
「んにゃんにゃ」
また鳴いた。
こんなに短い間隔で鳴くなんて初めてだよ……
「人面猫はずっと鳴いてるなぁ」
私が抱いているぬいぐるみのユウちゃんを見ながら、隣を歩く小犬丸さんが話しかけてきたけど……
人面猫……か。
やっぱりそう見えるよね。
「……そうだね。どうしたんだろう」
「スマホでさえ圏外だからなぁ。神奈川から動かしてるんだろ? 電波の調子が悪いんかもしれねぇなぁ」
「うーん……圏外なら何も話さなくなると思うんだけど……それにおじいちゃんの力は携帯会社の電波を使わないんじゃないかな?」
「それもそうだなぁ……ワイファイで動いてるわけじゃねぇだろうしなぁ」
「んにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃ……」
「うわ……今度は途切れる事なく鳴き続けているよ」
「どうしちまったんだこりゃ。とりあえずうるせぇからこの風呂敷でも被せておくか」
小犬丸さんがポケットから唐草模様の布を取り出して頭に被せている。
「んにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃ……」
うわ……
首から上だけを緑色の唐草模様の布で包んだけど、声が聞こえ続けている。
犯罪に巻き込まれた猫みたいになっちゃった……
「頭にすっぽり被せたけど……おじいちゃんは苦しくならないよね? 息ができなくなっていたらどうしよう……」
色々な意味で怖いよ……
「んん? 大丈夫だろ。それにしても……なんか怖いなぁ……」
「……うん。どっちにしろ声が聞こえているならこの布は、いらないんじゃないかな?」
「それもそうだなぁ。……でも……唐草模様が似合ってるから『ほっかむり』でもさせとくか」
今度はユウちゃんの鼻の下の辺りで布を結び始めた。
この状況なのに明らかに遊んでいる……
……!?
唐草模様の布でほっかむりをしている人面猫……
どうしてこんなに似合っているの!?
「ぷっ! ふはは! こりゃいいや!」
「堪らねぇなぁ! こりゃいいおもちゃだ!」
小犬丸さんと里のおじいさんが面白そうに笑い始めた……
緊張感なんて微塵もないけど大丈夫なの?
今から駿河の脳を奪った黒ずくめの奴らの所に行くっていうのに。
「んにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃ……」
ほっかむりをしたユウちゃんがずっと鳴き続けている。
おじいちゃんが何か大切な事を伝えようとしているのかな?
もしかして最高傑作のぬいぐるみで遊ぶなって怒っているのかも……




