七話
「なぁベガ」
「何よ?」
「何でベガがついて来るのさ?」
「ナオミはこの世界の言葉話せないんだからしょうがないでしょ?」
「ベガはナオミと会話出来ないし通訳出来ないじゃん!」
「通訳は貴女に任せるわよ。
でも貴女、この世界の一般常識も知らないでしょ?
ましてや『ネクロマンサー』になる手段も」
「確かに・・・。
でもベガはこの世界でお尋ね者なんじゃなかったの?」
「正確には『お尋ね者だった』ね。
私は火災に巻き込まれて死体も残らず焼け死んだ・・・事になってるはずよ?
だからちょっと姿を変えておけば絶対に正体はバレないわ」
「『姿を変える』?」
「薬の中には『アンチエイジング薬』っていうモノがあるのよ」
「あぁ化粧品なんかであるね、『アンチエイジング』の効果があるヤツ。
でも若く見える必要なんてないんじゃない?
ベガは実際に若いし、年頃でしょ?」
「フフフ、ありがとう。
でもね『アンチエイジング薬』の効果は『現年齢マイナス15歳』なのよ。
つまり私が飲んだら・・・」
ベガはそう言うと試験管に入っている緑色の液体を飲み干した。
するとベガは幼女へと姿を変えた。
「見ての通り、4歳の女の子に変わる訳よ。
でも『アンチエイジング薬』の弱点は時間制限があることよ。
時間が経つと元の年齢に戻っちゃうワケ」
4+15=19
ベガって19歳だったのか。
何だよ、お姉さんぶってたけど俺と2歳しか違わないじゃんか。
「なるほど。
その見た目ならまさか『お尋ね者のベガ』とは思われないか」
「それにもう一つ。
貴女は『ステータスオープン』のスキルを覚えるべきよ。
私みたいに『診察』で使う訳じゃないから、そんな細かいところまで人のステータスは見れなくて良いけど、最低限自分のステータスは見れるくらいにならないとね」
「それって難しいんじゃない?」
「『ステータスオープン』にもレベルがあるのよ。
『ステータスオープンレベル1』なら子供でも使えるスキルよ?
ユニークスキルは習得は難しいけど、普通の『一般スキル』なら数時間の座学だけで習得可能よ」
「原チャリの免許みたいだ」
「何か言った?」
「ううん、何でも」
「それじゃ、冒険者ギルドへ行きましょうか?」
「え?
何で冒険者ギルド?
ネクロマンサーになるんでしょ?」
「冒険者ギルドに依頼を出すのよ。
依頼のほとんどは冒険者ギルド経由ね。
薬草採取からドブ掃除まで。
そして剣のレッスン、魔法のレッスンを頼むのも冒険者ギルドへの依頼ね。
でも今回は依頼を出すんじゃないのよ。
冒険者ギルドに登録して依頼を受けるのよ」
「『依頼を受ける』!?
何で!?」
「私達はこの世界のお金をほとんど持っていないでしょ?
私は少しはアイテムボックスの中に蓄えはあるけれど。
でもこれからいくらお金が必要になるかわからない。
宿泊費も服代も冒険者ギルドへの登録料も食費も・・・。
これからの事を考えたらお金は使いきって良い訳がない。
それに世俗から離れて森の中で生活していた私をそんなに頼られても困る。
そんなには蓄えはない。
元々ネクロマンサーのレッスン料が払える程のお金はないのよ。
だったらそのお金は稼がないとね」
「・・・しかしモンスター退治を俺がやることになるとは・・・」
「冒険者ってモノを貴女は勘違いしてるみたいね?
別にモンスター退治なんてやらないわよ?
冒険者って言い換えれば『便利屋』なのよ。
だから『ネクロマンサーの先生になってくれ』何てワケのわからない依頼が出せるのよ」
「つまり俺達が受ける依頼は・・・」
「『草刈り』よ。
ついでに『薬草採取』して『ポーション』を作って小銭を稼ぐわよ」
「『薬師は衰退した』んじゃなかったの?」
「『薬師』って仕事は成り立たなくなったわ。
でも一部『薬師』の初期スキルは必要とされて残っているわ。
今じゃ『ポーション作り』は子供の小遣い稼ぎになってるわよ。
それで生活していくのは無理だけどね」
なるほど。
闘わなくて良いなら、冒険者登録しようか。
「アレ?みんな冒険者登録しないの?」
「登録するのは貴女だけよ」
「何でだよ!?」
「私は既に登録済みだからよ。
二重に登録は出来ない。
だから登録カードをここで出してしまったら、お尋ね者だって事がバレちゃうわ。
ナオミが登録しない理由は『言葉がしゃべれないから』。
ナオミは目立ち過ぎちゃうのよ。
依頼を貴女一人にやらせたりはしないわよ。
貴女が代表で登録料カードを作って、代表で依頼を受ける。
仕事を受けるのは私達全員よ?」
「そういう事なら・・・」
俺は渋々冒険者ギルドの受付に話し掛けた。




