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リクルーター  作者: 海星
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四十九話

 「お帰りなさいませ、ご主人様!

 ・・・ホラ、山田ちゃんも言って!」

 「やだよ」

 「ほら!新しいご主人様よ!」

 「なんだ、角栄か。

 帰れ、帰れ」

 「山田ちゃん!」

 「良いんですよ。

 これが山田様のキャラ付けなんですから」と角栄。

 「いや、心の底から思ってるぞ?

 『今すぐ帰って欲しい』って」と俺。

 「昨日、あれからどうなったか聞きたくないんですか?」

 「いや、特に?」

 「ウチの教団に出入りしてて、追い出せない母親が招き入れたヤクザの事が気にならないんですか!?」

 「あれ?

 まだ来たのか?」

 全員、異世界に行かせたつもりだったけど。

 「いや、二人のヤクザが昨日教団へ来たんですよ。

 『仲間をどうした!?』って」

 何人かは異世界に連れて行けなかったのか。

 全員連れて行ったつもりだったのに。

 どうやら建物の外にもヤクザの仲間はいたらしい。

 「何で山田様がヤクザ達がいなくなった事を知ってるんですか?」

 そりゃ知ってるさ。

 ヤクザ達を異世界にワープさせたのは俺なんだから。

 「あぁなんとなく、だ」俺はボヤかす。

 「『なんとなく』・・・って。

 それより昨日連れてた外国人は何なんですか?

 アイツの連れていた鷲は正に"バケモノ"ですよね!?」

 「あの子・・・あぁ、よくわからん技能実習生だよ」

 「技能実習生!?

 彼女、アジア人なんですか!?」

 「どうしてアジア人?」

 「技能実習生ってほとんどがアジアの人でしょう?

 ベトナムとか、カンボジアとか・・・。

 欧米人にしか見えなかったんですが」

 「どこの国の人かは解らないよ。

 英語で話すからな。

 あ、フィリピンの人じゃないか?」

 「そのフィリピンの技能実習生とどうやって知り合って、ウチの教団に連れて来たんですか?」

 「ラーメン食ってたら、たまたま隣に座ったんだよ。

 『ついて行きたい』って言うから連れて来た。

 『ペットも連れて行きたい』って言うから鷲も連れて来た」

 「アレってペットってレベルじゃないと思うんですが・・・。

 それにアレだけ大きな鷲、どこに行かせたんですか?

 室内には入れないし、いつの間にかいなくなってたじゃないですか」

 「それは『乙女の秘密』だよ。

 聞ける訳ねーじゃねーか」

 「『乙女の秘密』ならしょうがないですね・・・」角栄は渋々納得したようだ。

 良かった、バカで。


 「それはともかくテメー、何しにきやがった?」と俺。

 「約束だったじゃありませんか。

 『何でも好きな文字をケチャップでオムライスに書く』って!」

 微妙に約束が変わってる気がするが、約束した事は事実だ。

 「しょうがねー。

 男に二言はねーよ。

 ホラ、書いて欲しい『単語』を言いな」

 「男って・・・。

 っていうか、単語なんですか!?」

 「当たり前だろう?

 『オムライスにケチャップで純文学を書け』って言われても、それは無理だ。

 長さには限界がある。

 単語、しかも五文字以内だ」

 「『五文字』!?

 ・・・話せば話すほど、制約が増えていく事がわかりました。

 これ以上制約を加えられたら敵いません。

 それでは『ご主人様(ハート)』と・・・」

 「断る」

 「何で!?」

 「『ハート』は環境依存文字だ。

 バグる可能性がある」

 「意味がわかりません!」

 「角栄の分際で口ごたえをするな!」

 「わ、わかりました。

 では『ダーリン』と・・・」

 「何故そう呼ばせたいのかは不明だが承った」

 「いや、男の夢でしょう!」

 そういうモノなんだろうか?

 俺はテーブルの上に置かれたオムライスにケチャップで『ダーウィン』と書いた。

 角栄が『進化論』にそこまで憧れがあるとは思わなかった。

 まぁ、憧れは人それぞれ。

 どうこうは言うまい。

 角栄はオムライスを見て固まっている。

 あまりの達筆さに言葉を失っているのだろう。

 ケチャップ文字で俺より達筆な人間はこのメイド喫茶には存在しない。


 「テメーの願いは確かに聞き届けた。

 これで貸し借り0だ。

 さぁ帰れ。

 ここに居られると邪魔だ」

 「ま、待って下さい!

 父親の『預言の書』の通り、『歌姫』が現れたのです。

 その後の話だってしなきゃなりません!」

 「そんな事、俺に言われても困る。

 だって俺は歌姫じゃねーし。

 お前が『歌姫』と今後の事を話せよ。

 凛火さんに害を与えないなら、俺はノータッチだ。

 関わる気はないね」

 「『歌姫』は『凛火さん』って名前なんですね!

 我々は『歌姫』について何も知りません!

 教えていただけないでしょうか!?」

 「だからノータッチだってば」

 「そこを何とか!」

 「しょうがねーな。

 少しだけだぞ?

 俺が教えたって言うなよ?」

 「それは勿論!」

 「好物はカレーだ。

 カレーには目がない」

 「・・・・・」

 「以上だ」

 「それだけ!?」

 「これだけでも人から情報を引き出そうとするなよ。

 お前、ストーカー呼ばわりされても文句言えねーぞ」

 「そ、そんな・・・」角栄は引き下がる気はないようだ。

 俺の身の回りを探られても迷惑だな。

 「わかったよ。

 一度だけ凛火さんと角栄を引き合わせる。

 一度だけだぞ!

 もし凛火さんに『歌姫』としてやっていく気がないならそれ以上凛火さんにつきまとうなよ?」

 「約束します!」

 かくして教団は解散する。

 そして、これが芸能事務所『敏腕社長』の誕生の瞬間だ。

 イマイチの人気だった凛火は角栄の芸能事務所でしばらく鳴かず飛ばずの芸能生活を送る。

 凛火に泣きつかれた俺は異世界から三人の少女を連れて行く。

 「ビザないけど良いの?」という俺の質問に角栄は「ビザがないから不法滞在という訳じゃない。日本には不法滞在の人が産んだビザのない人もいるし、ビザなしで逃げて来た亡命希望者もいる」と言った。

 つまり『ビザはない。でも不法滞在じゃない。事情さえでっち上げられれば、コネで日本国籍を取得出来る』と言う訳だ。

 最大の問題がある。

 コネがない。

 「大丈夫、教団時代の信者に入国管理局の信者がいますから。

 父親が残した『預言の書』の『歌姫』を世に広めるためだ、と言えば喜んで日本国籍くらいはもらえますから」

 あー、イヤだイヤだ。

 権力との癒着。

 こうはなりたくないね。

 まぁしょうがない。

 俺は異世界から『歌姫』のスキルを持っている女の子を一人と、『踊り子』のスキルを持っている女の子を二人連れて来た。

 元々山賊達に襲われて天涯孤独だった少女達だ。

 何故4人なのか?

 スピード編成は二人の『歌手』と二人の『ダンサー』から成ってるモノだろう?

 逆に聞きたい。

 『何故、凛火は鳴かず飛ばずなのか?』

 俺の中で答えは明確に出ている。

 もうピンのアイドルが流行る時代じゃないのだ。

 ハシカンですらグループに所属している。

 どれだけ歌が上手かろうが、どれだけ可愛かろうが、グループに所属していないと注目されない。

 「そのグループを作ろう」という話だ。

 『日本語が話せない』というのが最大のネックだった。

 日本語を勉強させるか?

 外国の女の子が喋るカタコトの日本語、萌えるよね。

 ・・・でも問題がある。

 俺が持っている『翻訳スキル』のせいだ。

 彼女達が喋っている『異世界語』が勝手に『日本語』に変換される。

 つまり俺は異世界語ってモノがよくわかっていないのだ。

 わからんものは教えられない。

 どうしようか?

 俺の出した結論は一つ。

 『ユニットの女の子達が『翻訳スキル』を獲得するまで、モンスターを倒してレベルを上げる』

 女の子達は戦士としては並だった。

 当たり前だ。

 ただの村娘なんだから。

 でも翻訳スキルを覚えるまでレベルを上げまくった。

 いくら資質がなくても、圧倒的なレベルだから人間の社会では無双の強さを誇った。

 ついでに料理人志望の女の子も戦闘には連れて行った。

 理由?

 だって暇そうなんだもん。

 俺が異世界で何かしてる間異世界の時間が進んじゃうじゃん?

 つまり俺がレベル上げしてる間、ルイは暇じゃん?

 『一緒に来る』って聞いたら『うん』って。

 何かさせたかった訳じゃない。


 レベルアップと共に戦闘に参加していた少女達の『美しさ』のパラメーターもアップする。

 いつの間にか、ちょっとした美人集団だな。 

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