表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リクルーター  作者: 海星
40/94

四十話

 ケイと凛火を連れて森深くに入る。

 ・・・と言っても凛火はパーティに入っているだけで『お味噌』も良いところだ。

 むしろ「戦闘に加わるな」と念を押している。

 ゴブリンやスライムなど地球にはいない魔物を見て凛火が言う。

 「本当にここは地球じゃないんだ・・・」

 そりゃ『ここは異世界だ』とか言われても信じられないよな。


 「で、私は何をすれば良いの?」と凛火。

 「だから『何にもしちゃダメ』って言ってるじゃん」

 「そんな私だけ・・・」

 「俺も何もしないから。

 戦闘はケイのテイムビーストに任せておこうよ」

 「わかったよ・・・」頷いたが凛火は納得していないみたいだ。

 だから本当は俺が戦闘に加わっても良いけど「戦闘に加わっていないのは凛火さんだけじゃないんだよ」という事を暗に言うために俺は凛火と一緒にゾウの背中に乗っていた。

 『何もしていない』というのは凛火を納得させるための方便だ。

 俺は凛火専属のボディガードだ。


 獣達が魔物達を倒しまくる。

 獣達が仕留め損ねた魔物を俺が仕留める・・・つもりだったが、魔物は俺のところまでは回って来なかった。

 森にはネクロマンサー達が結界を張って弱い魔物が出ない。

 つまりモンスターが出てくる、という事は森深くの強いモンスターが沢山出てくる所だ。

 全く闘わないが凛火はレベルが爆上がりする。

 レベル1だったレベルはレベル32まで上がる。

 『歌姫レベル5』までレベルアップする。

 そして『翻訳スキル』をゲットする。

 凛火はもう、異世界の言葉がわかる。

 証拠に凛火はケイと普通に話せている。

 『歌姫』のレベルが上がったと言うことはついでに『鳥集め』のスキルレベルも上がった、という事だ。

 本当は一週間、レベリングをするつもりだった。

 でも3日森で野宿したところで凛火が先に音を上げた。

 『お風呂に入りたい』と。

 まあ、このくらいレベルが上がれば大丈夫か。

 ホビットが俺達の家を建てる予定地にワープする。

 最初にワープした時は大騒ぎだった凛火も今は慣れたモノだ。

 ワープを『こんなモノだ』と受け入れる前は「カレーまでに帰るんだ!」とやかましかったが。

 どれだけカレー食いたいんだよ?

 

 これはどういう事だ?

 小屋がもう建っている。

 小屋なんてモンじゃない。

 どこのお貴族様の屋敷だよ?

 作業を終えようとしているホビット達を呼び止めて話を聞く。

 「こんな大きな屋敷を建ててもらっても、それに見合う報酬はもう支払えないと思うよ?」

 「報酬も材料費も既に受け取っとる」

 「渡した覚えないけど?」

 「余ったトレントの枝、もらって良いんじゃろ?」

 そりゃ好きなだけあげるけど。

 あってもしょうがないし。

 『トレントの枝』も『トレントの幹』も俺が思っている以上に高額らしい。

 「ここが新しい俺の家か!

 それじゃ日本に戻ろうか・・・」

 「ちょっと待てい!」と凛火。

 「なんだよ?

 『早く日本に戻りたい』んじゃなかったのかよ?」

 「どうせ日本じゃ時間が止まってるんでしょ?

 だったら急いで戻る必要ないじゃない!」

 「俺がそう言ってたのを理解せずに騒いでた人がそれを言うか!」

 「今は何回も説明されてわかったのよ!

 それより、この邸宅でのんびりさせなさいよ!

 せめて風呂くらい入らせなさいよ!」

 「凛火さんは『異世界』というモノをイマイチ理解していない。

 風呂は入れるだけでエラい時間がかかるんだ。

 むしろ風呂がある家の方が珍しい。

 庶民の家にはまず風呂はない。

 職人が家に風呂を作ってくれただけでビックリしてるのに。

 風呂に入るなら日本に戻ってからだね」

 「じゃあ風呂に入りに日本に戻るんだ!」

 「いや、直ぐに(わし)を捕まえに行く」

 「そんなの今すぐじゃなくて良いじゃない!」

 「日本に戻ったら時間が流れ始めるんだよ。

 だから次の日は朝からバイトに行かなくちゃいけない。

 いつ(わし)を捕まえに行くか?

 今でしょ!」

 「ネタが古いのよ!

 ・・・だったら(わし)を捕まえたら風呂に・・・」

 「鷲を捕まえてテイムしたら異世界で鷲のレベル上げを・・・」

 「それが終わったら風呂に入れるのよね!?」

 「そんな訳ないでしょ?

 何のために鷲を捕まえに行くのさ?

 その後は教団を襲撃するよ」

 「・・・思ったんだけど、それって私、関係なくない?

 鷲のところまでワープするのは貴女。

 鷲をテイムするのはケイさん。

 私は鷲を呼び寄せるところで

お役御免よね?

 その後は家に帰っても問題ないわよね?」

 「絶対ダメ。

 凛火さんには『鷲の化身』を演じてもらうから」

 「『鷲の化身』?

 何それ?」

 「新興宗教を信じてる人って、病的なまでに狂信してる人がたまにいるんだよ。

 だから、『殺人』とか『誘拐』なんて事が平気でおこなわれる」

 「それは痛いほど身にしみてるわよ・・・。

 誘拐されたからね」

 「でも信心の対象には畏れ多くて手を出せない」

 「あ、そういう事か!」

 「そう。

 凛火さんが教団の護り神『(ガルーダ)の化身』と信徒達が思えば、今後凛火さんが教団に狙われる事はない。

 そして、護り神を攻撃しようとした現在の教団執行部は信徒達から総スカンを食らう。

 凛火さんは晴れて今まで通り、過ごして行けば良い」

 「・・・わかったわ。

 そうと決まればチャッチャと終わらせちゃいましょう!

 風呂にも入りたいし、カレーも食べたいし!」

 凛火はカレーに拘り過ぎなんだよなー。

 キレンジャーか?

 因みに俺はカレーにはコーンをトッピングする。

 騙されたと思ってやってみな?

 飛ぶから。


 屋敷の奥から女の子がゾロゾロ出てくる。

 あぁ、そういやこの娘達の落ち着き先も見つけなきゃいけないんだった。

 忘れそうになっていたが、俺はこの娘らのリクルート先を見つけている最中だった。

 それで『ナツメグ』を手に入れるために日本に戻ったんだった。

 ちょっと寄り道してるけど、忘れた訳じゃないからね。

 一人一人ちゃんと進路を決めていくから。

 女の子達のステータスをなんとなく覗く。

 な、なんだと!

 女の子達の一人の適職がレアスキルのはずの『歌姫』だ。

 そして二人の女の子の適職が同じだ。

 『ダンサー』

 『歌姫』が二人、『ダンサー』が二人・・・。

 「『スピード編成』だと!?」

 「あ、何かロクでもない事考えてるっぽい」

 「ちょっと静かにして『絵里子』!

 ヒロが見つかったんだから!」

 「誰が『絵里子』よ!」

 「『絵里子』は政治に興味ある?

 国会議員になりたい?」

 「なりたくないわよ!

 訳がわからない!」

 「って事は二人が『ヒトエ』と『タカコ』って訳か・・・」

 「いいえ、違います。

 私はエミリです」

 「ソフィアです」

 「どっちも可愛いな。

 どっちも『タカコ』だな」

 「何を言ってるかわかんないけど、何か凄い失礼な事を考えてるのはわかる!」と凛火。

 期せずして、三人の女の子の進路が決まったっぽい。

 でもこの子ら、日本語全く理解出来ないからな。

 『異世界』でデビューするしかないか。

 まあ、今はそれどころじゃない。

 俺と凛火とケイの三人は手を繋ぐとナオミさんの部屋へワープした。

 部屋に置いていった凛火のスマホで日付と時間を確認する。

 「本当にここにいた時間の直後なのね」

 「嘘はついてないよ。

 つく理由もないしね。

 こちらの世界じゃ俺はしがないアルバイター。

 メイド喫茶で働く野郎だよ」

 「『野郎』て。

 それはともかく、鷲を捕まえに行かないとね」

 「その事だけど・・・鷲と鷹ってどう違うの?」

 「まだ言うか」

 「大事な事だよ。

 苦労して捕まえてみたら『実は鷲じゃなくて鷹でした』とかあり得るからね」

 「じゃあサッサと検索しましょう。

 コラ!人の検索履歴を勝手に見ない!

 このパソコン、借り物なんでしょう?」

 「いや、でも気になるじゃんねえ?

 時にこのBLのマンガとか・・・」

 「・・・・・」

 「凛火さん?」

 「ちょっと静かに!

 良いところだから!」

 結局、それから30分近く凛火はBLに没頭した。


 「衝撃だったわ!」と凛火。

 「あぁ、まさか『オオワシ』と『オオタカ』が同じ種類の生き物だったなんて。

 違いは大きさの違いだなんて」と俺。

 「何の話?」と凛火。

 「何の話?」と俺。

 どうやら俺達は違うモノに衝撃を受けたようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ