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リクルーター  作者: 海星
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四十一話

 「『オオワシ』じゃダメなの?」

 「天然記念物はちょっと・・・」

 「そっか、天然記念物を捕まえたら生態系が・・・」

 「いや、天然記念物って事は個体数が少ないじゃん?

 出会える可能性が低すぎるんだよ。

 生態系とか知った事じゃない。

 生態系って言うならトラだって相当ヤバくない?」

 「『ヤバくない?』じゃないわ!

 最悪じゃない!」

 「だから言ってるじゃん。

 『別に正義の味方じゃない』って。

 むしろ暴力を振るうんだから悪に近いよ。

 でも暴力振るいまくった挙げ句に『正義は勝つ!』とか言わない程度には正しい心は持ってるよ。

 俺は『知り合った人らが不幸になったらご飯が不味い』っていうのが、行動の動力源なんだ。

 ・・・そんな話はどうでも良い。

 この『ハクトウワシ』ってヤツを捕まえに行こう!」

 「『捕まえに行こう!』ってどこに行くの?」

 「この動画の所だよ。

 どこかなんて知らない。

 どこなんだろうね?

 画像があってイメージ出来る所だったら多分どこにでも行けるよ。

 多分アメリカだね。

 言葉が通じないなんて事はないよ、俺も凛火さんもスキルで翻訳は出来るからね」

 「何かテキトーね!

 でも早く捕まえに行きましょう!

 早くしないとカレーに間に合わない!」

 全く、凛火さんはブレないな。

 一度は拉致されたんだからそれどころじゃないだろうに。


 「やっぱりアメリカっぽいね」

 ワープしてきて第一声で俺は言った。

 「何でわかるのよ?」と凛火。

 「風がハンバーガー臭い」

 「本当にそんな事わかるの!?」

 「ウソだよ。

 そんな事わかる訳ないじゃない。

 季節が夏っぽいからね。

 南半球だったら今は正反対で真冬なんだよ」

 本当に凛火は騙され易い。

 メイドだからカモには出来ないが、ホストだったら多分ケツの毛までむしれている。


 「じゃあ、歌ってよ」

 「何でいきなり歌わなきゃいけないのよ!?」

 「鳥を集めるんだよ。

 鷲をテイムするんだってば。

 鷲が集まったらテイム頼むね、ケイ」

 「うん、わかった」ケイは言葉少ない。

 凛火に人見知りしているんだろうか?

 なんでこんなへなちょこに緊張しているのかな?

 「・・・何か今、失礼な事を考えてなかった?」と凛火。

 へなちょこだけど勘だけは良いらしい。

 「・・・何を歌えば良いかわかんない」

 「『コンドルは飛んで行く』で良いんじゃない?」

 「『コンドルは飛んで行く』って歌詞あったかしら?

 実はあんまり知らないのよ」

 「俺も知らない。

 ついでに『コンドル』と『鷲』の違いもわかんない。

 鷲が集まって来たら何でも良いんだよ。

 あ、小学校の時に音楽の教科書に載ってた『とんび』って歌あったじゃん?

 あれ歌ってよ!

 知ってるでしょ?」

 「知ってるけど・・・。

 でも良いのかしら?

 『とんび』の歌で『鷲』を集めても」

 「良いんだよ。

 なんなら『カラス』の歌でも『すずめ』の歌でも問題ないはず」

 「そういうモノかしら?

 じゃあ歌うわね」


 ♪飛べ、飛べ、とんび、空高く~

 本当にこの子は乗せれば何でもやってくれるな。

 アメリカの荒野に文部科学省唱歌『とんび』がこだまする。

 何ともマヌケな光景だ。

 ハクトウワシがゾロゾロと集まって来る。

 他の鳥も集まって来るかと思いきや、凛火が集めようとした鳥だけが集まって来るみたいだ。

 『歌姫』のスキルレベルを上げたら集める鳥を選ぶ事も鳥を集めない事も自由に出来るらしい。

 そりゃ歌う度に鳥まみれになってたら不便でしょうがないもんな。

 レベル上げをした意味があったってモノだ。

 しかし集まり過ぎだ。

 ハクトウワシだらけだ。

 「これ、テイム出来るだけテイムした方が良い?」戸惑いながらケイが聞く。

 そんな鷲ばっかりいてもケイも困ってしまうだろう。

 「三匹テイムすれば良いよ」と俺。

 本当は一匹で良い。

 でも鳥をテイムするのは初めてだ。

 もしかしたら哺乳類、爬虫類と違って鳥は弱いかも知れない。

 テイムする数が一匹じゃちょっと心許なかったのだ。

 三匹のハクトウワシをケイがテイムする。

 よし!ミッションは次の段階だ。

 「♪ピーヒョロロ~」凛火はまだ歌ってたんかい。

 「凄い美声だね!」とケイが感動しながら凛火の事を言う。

 「アホだけどね」俺は次にしなきゃいけない事を考えててつい本音が漏れてしまった。


 俺とケイと凛火は再び、森深くにやって来た。

 でも先ほどとは陣容が全く違う。

 ケイがテイムしたのはハクトウワシ三匹だった。

 そして、モンスターと闘うのは先ほどとは違い俺だ。

 俺が倒したモンスターをハクトウワシ達が(ついば)む。

 元々鷲はデカい。

 でも魔素を身体に取り込んだ鷲は怪鳥といったデカさになった。

 「グリフォンか!?」俺が思わず呟いたが「ぐりふぉん?」と凛火はわかっていない様子だ。

 異世界ファンタジーでグリフォンなんてスゲーメジャーなのに。

 そこから3日間、凛火と鷲達のレベル上げを森の中で行う。

 「だ、だから早くお風呂に入りたい・・・」やはり最初に弱音を吐いたのは凛火だった。

 しょうがない。

 これで教団を襲撃するとしよう。

 俺は日本のナオミさんの部屋へワープした。


 「お願い、お風呂に入らせて!

 今、私は女子高生にあるまじき体臭を放っていると思うわ・・・」凛火の懇願で俺はしょうがなく30分の入浴を許可した。

 「貴女達はお風呂入らないの?」と凛火。

 「私は良い」とケイ。

 「俺も戻ってからで良い」と俺。

 「良くないわよ!

 貴女達、しょうがなく半年に一回のシャワーに入れられる前の猫みたいな臭いがしてるわよ!

 貴女、客商売のアルバイトしてるんでしょ?

 だったらお風呂くらい入るべきよ!」

 「だから帰ってから入るってば」

 「貴女達、一回の入浴で汚れが落ちきらないほど汚れてるのよ!

 良いからお風呂に入りなさい!」

 「そうは言っても一人一人風呂に入ってる時間なんてないし。

 晩御飯までに帰りたいんでしょ?」

 「だったら三人一緒にお風呂にはいりましょう!」と凛火。

 「それなら別に良い」とケイ。

 もうグチグチ悩んでいる時間はない。

 多数決で『みんなで風呂に入る』って事になっちゃってる。

 アニメだったら『お風呂回』決定だ。

 覚悟を決めて俺は脱衣場へ行く。

 メイド喫茶で女の子の下着姿は見慣れたんだ。

 女の子の裸くらい・・・。

 ・・・やっぱり下着姿と素っ裸って違うね。

 「自分の裸見てるじゃん」って?

 だったらオメーら、自分の裸見慣れてるからってオッサンの裸見ても何とも思わないのかよ!?

 みられたくなくて腰にタオル巻くだろ!?

 何にも思わない訳ねーじゃん!

 女の子同士だって同じだよ!

 恥ずかしいモノは恥ずかしいんだよ!

 ましてや俺は女の子初心者なんだから!


 「風呂に入っておいて良かったわね。

 全然泡がたたない。

 それだけ汚れてるって事ね!」何故か凛火が得意気だ。

 俺は女の子と風呂に入る事に罪悪感がある。

 例えば俺が「心は男だ」って男風呂に入るとする。

 ・・・男は別に何とも思わないか。

 いや、むしろ「ラッキー!」って俺なら思ったかも。

 でも今は何か女の子の裸を見るのは卑怯な気がする。

 俺はひたすら目を瞑っていた。

 ケイは俺が男だった事情をベガから聞いている。

 と言っても、ケイは俺の事情を完全には理解出来ていない。

 おそらくベガも正しくは理解出来ていない。

 俺が男だった時を知らない彼女達は「別に気にしない」と言っている。

 異世界にも稀に前世の記憶がある者がいるらしい。

 でも『ふーん、だから何?』って言う扱いをされるのが普通だ。

 「前は男でも、今は女でしょ?」とケイは言う。

 そうなのかも知れない。

 拘っているのは俺だけかも知れない。


 三人でナオミさんの部屋にあるシャンプーをほぼ空にした。

 三人とも泡立ち悪過ぎ。

 頭汚れ過ぎ。

 結局『お風呂は30分』って言ってたのに、髪の毛を乾かしたり色々するのに大体一時間かかった。

 身体も洗うべきなんだろうが、今回そこまで徹底していると、今日の予定は風呂で終わってしまう。

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