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リクルーター  作者: 海星
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二十四話

 「木の実が必要だったら『デビルナッツ』狩りをするのが良いぞ」とギルドマスター。

 『デビルナッツ狩り』か。

 『イチゴ狩り』『ブドウ狩り』『梨狩り』みたいな感覚か?

 「どうせ『狩り』をするなら『デビルナッツ』の『討伐依頼』を受けてみないか?」

 「へ?討伐?

 『デビルナッツ』てモンスターなの?」

 「当たり前だろう?

 木のモンスター『トレント』の木の実が『デビルナッツ』だ」

 「それって食えるの?」

 「毒はない・・・らしいぞ。

 トレント自体、あまり人間に敵意のあるモンスターではないから、『討伐依頼』自体が少ないんだ」

 「今回『討伐依頼』が出てるんだよね?」

 「実は今回の依頼、お嬢ちゃんと関係ある、と俺は踏んでるんだ。

 お嬢ちゃん、倒したモンスターをどうしてる?」

 「どう、って討伐の証明になる部位を切り取ったら放置・・・かな?」

 「やっぱり。

 トレントはモンスターの死骸を肥料に育つ植物モンスターなんだよ。

 だから、急にモンスターの死骸がそこら辺に転がるようになってトレントが異常繁殖するようになったんだ。

 トレント自体は増えても大した害はない。

 ただ、トレントが成長する時につける木の実、『デビルナッツ』もトレントになっている時はうるさいだけでそれ以外には害はない。

 問題は実が地面に落ちた時だ。

 実は遠くへ運んでもらおうと近くに通りかかった動くモノに噛みつく。

 噛みつかれたら無茶苦茶痛い。

 でも痛いだけだ。

 食い千切られる訳じゃない。

 しかし『デビルナッツ』が地面に大量に落ちているとなると笑い話じゃない。

 全身を『デビルナッツ』に噛まれる被害も続出している。

 噛まれた魔物が発狂し狂暴化する事例も報告されている」

 「つまり俺が倒したモンスターを放置していたせいでパニックが起きている、と言う事か?」

 「いや、パニックとまではいかない。

 お嬢ちゃんのおかげでモンスターの数は明らかに減っている。

 特にゴブリンの集落を潰したのは称賛に値する。

 ただ、ゴブリンの死体を放置したのは不味かったな。

 トレントがおかげで大量の養分を得て大量の実をつけた」

 「そのトレントの実、『デビルナッツ』を回収して戻って来れば良いんだよね?

 その後、ナオミさんのいる小屋に戻れば良いし」

 「そういう事だ。

 よろしく頼んだぞ!」

 「でも『デビルナッツ』食べさせちゃうから。

 討伐証明部位が残らないかも」

 「倒した証明が出来れば何でも良いんだ。

 『デビルナッツ』の食べかす、殻でも全然構わないぞ!」

 聞けばどうもデビルナッツは胡桃(くるみ)みたいな木の実らしい。

 魔獣でも殻は吐き出す、との事だ。

 それに割らないとやかましいし、ところ構わず噛みつくそうだ。

 割らずに口の中に入れたら口の中で噛みつく、と。

 「デビルナッツは『魔力回復薬』の原料よ」とベガ。

 デビルナッツは魔力、魔素の塊らしい。

 そんなモノをゴリラに食べさせて大丈夫だろうか?

 小山のように大きくなったゾウを思い浮かべて連想する。

 まぁ、今は他に食べさせるモノも思い浮かばない。

 俺とケイは『世界旅行』でゴブリンを討伐したかつて集落があった場所にワープした。


 何だ、これは?

 集落の周りの木がウネウネ動いている。

 ・・・というか、木の根がタコのように動き、足になっている。

 「これがトレント。

 枝には魔力をため込みやすい。

 だから武具屋で売ってる『木の棒』とか『棍棒』みたいな安い武器は大体トレントの枝を使うんだよ?」とケイ。

 やけに詳しいな・・・って思ったけど、よく考えたらケイは元々、武具屋で働いてたんだった。

 トレントはたわわに実をつけている。

 確かにトレント自体は大人しい。

 でもトレントについている実がとにかく喧しい。

 「ヤンノカー?」

 「イテマウゾー?」

 「カカッテコイヤー!」

 「ゼッテーダヨ?」

 「ボケー!」

 胡桃のような実の大きさはリンゴ大で、シワだらけ。

 実には人面疽(じんめんそ)のような顔がついている。

 その顔はどれも憎らしい顔をしてメンチをきっている。

 うるさいし憎らしいが、トレントになっている限りは害がない・・・と思っていた時期が俺にもありました。

 俺達の存在に気づいたトレント達は一斉に枝を揺すって実を地面に落とし始めた。

 地面に大量の『デビルナッツ』が落ちる。

 地面に落ちた『デビルナッツ』がこちらを見上げながら「ケンカジョウトウダー!」とか叫んでいる。

 「何で『デビルナッツ』こんなに喧嘩腰なん?」と俺。

 「『デビルナッツ』の言ってる事がわかるの!?」とケイが驚いてこちらを見る。

 どうやら『デビルナッツ』の言葉は日本語だから俺にはわかるらしい。

 ケイやベガの言葉は翻訳して伝わってはいるが、元々異世界の言葉だ。

 ベガやケイが時々日本語を話していると錯覚するが、彼女達はテレビの言葉を全く理解出来ない。

 それはともかくトレント達が俺達を取り囲むように動いたせいで、周りに足の踏み場もないほど『デビルナッツが地面に落ちている』

 ちょっとでも動こうとすると実は威嚇するように噛みつこうとする。

 ガチンガチン、デビルナッツが歯噛みする音が木霊する。

 「ボンタンガリジャー!」

 デビルナッツ達が叫ぶ。

 もううるさいなんてモノじゃない。

 本当はもう少し慎重に事を運ぶべきなんだろう。

 しかし我慢は限界だ。

 「ケイ、ゾウを召還して!」

 「え?

 でも噛まれちゃうんじゃない?」

 「大丈夫。

 ゾウの皮膚は分厚い。

 デビルナッツの歯は通らない」

 「わ、わかった!

 ワンダ、出番だよ!」

 ケイはゾウを召還する。

 いつの間にかケイはゾウに『ワンダ』と名前をつけたようだ。

 『ワンダって巨ゾウ』どこかで聞いた事があるぞ?

 それはともかくワンダはデビルナッツの実を踏みつけまくる。

 デビルナッツはワンダに噛みつきまくる。

 だがワンダにとっては痛くも痒くもない。

 ワンダに踏まれたデビルナッツはパカッと真ん中から割れる。

 粉々になるかと思いきや、デビルナッツは結構硬いらしい。

 しかし構造的に真ん中からパカッと開く力には弱いらしい。

 そりゃ実が簡単に開かなきゃ種として中から芽が出ないか。


 ワンダは実にはあんまり興味がないらしい。

 ひたすらトレントの葉っぱばかり食べている。

 トレントだって無抵抗で葉っぱを食べられている訳じゃない。

 トレント達はワンダに抵抗の攻撃を仕掛ける。

 だがワンダにとってトレント達の攻撃は『そよ風が吹いた』程度の認識だ。

 別に実を踏もうとはしていない。

 "歩き回っていたら勝手に木の実が割れていた"というだけの話だけだ。

 「これだけ『デビルナッツ』が割れたならゴリラのエサが出来たんじゃない?」

 「じゃあ『ドンキー』を呼ぶね!」

 ゴリラの名前はドンキーらしい。

 ケイはゴリラを召還する。

 うん、普通のゴリラだ。

 唯一まともな獣だ。

 他の獣はどいつもこいつもバケモノじみた大きさだ。

 「ドンキー、割れた木の実を食べて!」

 ケイがゴリラに変な命令をだす。

 ゴリラがデビルナッツを拾ってムシャムシャと食べる。

 どうやらデビルナッツはドンキーにとって絶品らしい。

 命令なしでもデビルナッツを拾って食いまくっている。

 ワンダが全てのデビルナッツを踏み割った訳じゃない。

 ドンキーが噛みつかれても気にせず地面を掌で叩いてデビルナッツを割っている。


 ゴリラは二倍くらいの大きさになった。

 しかしゾウがすぐに小山ほどの大きさになった事を考えれば『魔素の塊』というデビルナッツの実を食べまくった割にはそれ程巨大化していない。

 その代わり、ゴリラのマッチョ化がエグい。

 元々ゴリラはマッチョだ。

 そのゴリラが筋肉の塊になっている。


 ワンダとドンキーの凄まじい食事が終わりかつてのゴブリンの集落はトレントの死骸とデビルナッツの殻だらけになった。

 でもコレをこのままにしておいちゃダメなんだよな。

 この死骸を栄養として新たなモンスターが沸いちゃう。

 俺はマジックボックスの中にトレントの死骸とデビルナッツの殻を全部入れた。

 「こりゃ手間がかかるぞ」と思っていたが、ワンダとドンキーが手伝ってくれて、あっと言う間に終わった。


 ケイのステータスを見ると『テイムビーストは20匹まで』になっていたので、後15匹捕まえに地球へ行くのも良いかも知れない、が必要か?

 獣今の時点でアホほど強いんだが? 

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