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リクルーター  作者: 海星
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十三話

 避けてはいる。

 素早さも上がった。

 そう簡単には当たらない。

 当たらないがしかし・・・。

 「あいつら苦し紛れでウンコ投げてくるんだぞ!」

 「大丈夫でしょ?

 石を投げて倒すんだから。

 石だとしてもゴブリンの射程限界の遥か遠くから攻撃するんでしょ?

 アイツらが投げるモノがコッチに届く訳ないじゃない。

 杏奈がウンコ投げてもゴブリンまで届かないでしょ?」

 「先ず訂正させてくれ!

 俺はウンコは投げない!

 それにゴブリンが近づいてきたのに気付ない事も有り得るんだよ!

 気付いたら近付いてた場合、ウンコ投げが届くかも知れないし!

 しかもアイツら、落とし穴の中にウンコ仕掛けてるんだよ!

 バカじゃねーか!?

 小学生か!?」

 ゴブリンの集落に向かう最中、俺は悪態をつき続けた。


 小石を集めて服のポケットの中に詰めるだけ詰める。

 小石が武器になるからだ。

 それ以外の武器は棒っ切れしかない上に棒っ切れはナオミさんが『護身用に』と強奪していった。

 つまり、俺は小石以外に武器がない。


 ゴブリンの集落が見えるところまで来た。

 見張りのゴブリンがいる。

 ・・・見張りなのか?

 居眠りしてるぞ?

 俺はゴブリンの頭目掛けて小石を投げる。

 ゴブリンの頭が破裂したように砕ける。

 スプラッターな光景だ。

 『レーザービーム』のスキルレベルがレベル5になって威力が以前と比べモノにならなくなった。


 パーティはそんなに離れられない。

 つまり、俺はナオミさんを連れて歩かないといけない。

 何が面倒臭いってナオミさんがビビりすぎで動かない事だ。

 普段であればもう少し敵に近付くのだが、今日は外野の定位置からホームベースくらいの距離で小石を投げて攻撃しなきゃいけない。

 小石だって有限だ。

 一撃でとどめを刺さなきゃいけない。

 『亀の歩み』とはこの事だ。

 完全に足枷だ。

 俺は好きに動けない。

 でも俺も慣れるまではこのくらいビビってた。

 ナオミさんを責める事は出来ない。

 ゴブリン達を着実に仕留めながら集落に少しずつ近付く。


 何故襲撃がバレないなんて思ったんだろう?

 アホとは言え、ゴブリンにも少しは知能がある。

 そりゃ集落の中に仲間の死体がいくつも転がっていたら敵襲に気付く。

 ゴブリンの集落が途端に騒がしくなる。

 「ど、どうしよう!?

 どうやらバレたみたいだよ?」とナオミさん。

 そりゃバレるだろう?

 俺だってナオミさんやベガがバタバタ倒れ出したら真っ先に敵襲を疑うよ。

 どんだけゴブリン、バカにしてるんだよ。

 バレてから『見えない狙撃手』に怯えさせるんだよ。

 上手くすりゃパニックを誘発できるし、同士討ち、逃亡させられる。

 敵に回す数を減らせるんだよ。


 だから大きい声を出さないでよ。

 『見えない敵』は恐怖なんだよ。

 見えちゃったらゴブリンはこちらに集団で突っ込んで来ちゃうじゃん。

 ゴブリンに気付かれたらどうすんのさ?

 こっちがパニックになってどうするのさ?

 草むらから立ち上がっちゃだめだってば!

 言わんこっちゃない、見つかったよ。

 何でわかるか、って?

 そりゃあんだけ指を差されたら『こちらを意識してる』って思わない方が変だよね?

 ・・・しょうがない。

 一旦逃げるよ!

 「勝てないの?」って?

 多分勝てるよ?

 ナオミさんを犠牲にして良いなら。

 ナオミさんを守らなくて良いなら多分泥仕合に持っていけるよ。

 で最後に立ってるのは、おそらく俺だろうね。

 ナオミさんもきっと倒れてると思う。

 何で泣きそうな顔してるのさ?

 見捨てるなんて言ってないじゃん。

 だから『逃げよう』って。

 あ、どうやら逃げられないみたいだ。

 『どうして?』って顔してるね。

 モタモタしてる間に逃げ道塞がれたからだよ。

 確かに勝てる確率は減ったけど、可能性が消えた訳じゃない。

 『囲まれてる』ったって、敵の配置が薄いところを突破して逃げる可能性が無いわけじゃないよ。

 ・・・しかし全方位に向かって石は投げられない。

 完全にナオミさんを庇いながら闘うのも多分無理だ。

 ナオミさんは自分の身をまもりながら闘ってね。

 大丈夫。

 ナオミさんはゴブリンごときの攻撃、五回は防げるくらいレベル上がってるから。

 それに棒っ切れの攻撃も多分ダメージ与えられるよ。


 それより気になる事があるんだよ。

 ゴブリンが俺らを取り囲むのが手際良すぎだよね?

 ゴブリンにそんな知恵があるとは思えないよね?

 恐らく、ゴブリンを指揮してる存在がいる。

 その存在が弱けりゃ良いけど。


 持っている小石も尽きる。

 俺は小石を拾いながら闘う。

 どうやらゴブリンには司令官がいるらしい。

 その司令官にゴブリンは『ウンコ投げ禁止』を言い渡されているようだ。

 囲まれた時点で一斉の『ウンコ投げ』は覚悟していた。

 『ウンコ投げ』は心理的ダメージにはなるが、肉体的ダメージにはならない。

 ある意味助かったが、ある意味恐ろしい。

 そして、ゴブリン達はナオミさんを集中的に狙う事にしたようだ。

 棒っ切れを振り回すナオミさんは明らかに素人だ。

 モンスターに素人を見分ける頭脳はない、はずだ。

 なのにゴブリン達はナオミさんを集中的に狙う。

 俺は小石による攻撃を諦めて、ナオミさんを背にゴブリン達に立ち塞がる。

 「ナオミさん、後ろだけカバーできないからそこだけ攻撃してね!」

 「わ、わ、わ、わ、わ・・・・」

 ナオミさんは動転しているが『わかった』と言いたいらしい。

 今まで、小石か棒っ切れかで闘ってきた。

 素手で闘うのは初めての経験だ。

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