心外だよ
今日の放課後は、次のデート決めから始まった。
「やっぱ秋っぽいところに行きたいなって私は思うんだよね。無難なのは紅葉かな?」
「ここはどう? 十月桜が咲くらしいよ」
「え、いい! きれいだね」
スマホで見せてくれた十月桜は春のような淡い美しさがある。
「花びら、持って帰りたいなぁ」
「……持って帰ってどうするの?」
君は神妙な面持ちで、ひとりごとに反応した。
「んー、押し花とか? 栞にしてもいいかも」
「作っても枯れると思うけど。……あ、ごめん。いちおう他にも候補があって、この前SNSで見たんだけど――」
その表情と口が、私の目にはチグハグに映るのだった。
すぐに謝ってくれたし、今も空気をよくしようと優しく話しかけてくれる。だけど、さっきの言葉と拒絶の色を含んだ眼差しはナイフのように鋭く、まるで別人が話していたみたいだった。この違和感は、なんだろう。
そっちが本当の性格だったら?
下校時間になっても、私は手をつなぐことができなかった。君も求めてこないので無言を貫く。
「星奈」
――君のほうから声をかけてくるまでは。
「何?」
「ぼくのこと好き?」
「……うん、好き」
初めてきかれたことに、戸惑いながらもうなずいた。今この瞬間、私たちはお互いを思いあっていると実感してほしかった。何度もそうしてくれた君に。ほかの誰でもない、君に。
でも、君は「ありがとう」と口角を上げるだけ。その瞳に私を入れたくないとでも言いたげに目をそらした。
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Day22お題 楔




