一話目を読まれるようにしようとして心が折れた
とりあえず、第一話をもっと読まれるものにしようと思った。
人気作を読み漁って、冒頭一話目を研究する。
「なるほど。最初に主人公が何をするのかを、ちゃんと見せているんだ」
「ここで次の話への引きを作っているんだな」
そんなことを考えながら、AIにも相談して、自分の第一話を何度も読み返した。
そして――心が折れた。
「……弱いな」
思っていた以上に、読者を引き込む力が弱かった。
文章が下手とか。
設定がつまらないとか。
そういう、単純な話ではない。
もっと根本的な問題だった。
人気作では、第一話の最後に、主人公の「次の行動」が決まっている。
新しい能力を手に入れる。
強敵が現れる。
行き先が決まる。
新しい問題が起きる。
形は違っても、読者に、
**「じゃあ、この先どうなるんだ?」**
と思わせる何かが残っている。
だから、そのまま次の話を開いてしまう。
そこまで分かってから、改めて自分の第一話を読み返した。
すると――嫌になるほど違いが見えた。
私の第一話では、主人公は歩いている。
困っている。
新しい場所も見つけている。
ちゃんと出来事は起きている。
なのに――。
読み終わっても、
**「で、次は?」**
が残らない。
「……ここか」
初めて、自分の第一話の問題がはっきり見えた気がした。
私は、第一話の中で起きていることばかり考えていた。
世界観を説明できているか。
設定は伝わっているか。
主人公の状況は分かるか。
そんなことばかり気にしていた。
でも、読者が知りたいのは、
**「分かった。その先は?」**
なのだ。
そう思ってから、もう一度、最初から読み直す。
「……ここも弱い」
すると、今度は別の問題が見えてきた。
一か所を直せば、別の問題が見つかる。
説明を削れば、今度は情報が足りない。
情報を足せば、説明臭くなる。
キャラクターを立たせようとすれば、今度は話が進まなくなる。
冒頭を直せば中盤が気になる。
中盤を直せば、今度はラストが弱く見える。
直しているはずなのに、直せば直すほど、自分の作品の弱さが見えてくる。
正直、辛かった。
最初は、第一話を少し良くすればいいと思っていた。
でも、どうやら違った。
私は今まで、
**「第一話を改善する」**
つもりだった。
けれど、本当に向き合わなければならなかったのは、
**「そもそも、この第一話には、続きを読ませる力があるのか?」**
という、もっと根本的な問題だった。
そして、ここまで見えてしまった以上――。
もう、誤魔化すわけにはいかない。
第一話を、最初の一行から分解してみる。
どこで読者を引き込めていないのか。
どこで「次」が消えているのか。
人気作と比べて、何が足りないのか。
たぶん、見たくなかった答えが出てくる。
それでも――見るしかない。




