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人気ファンタジーは、なぜ「もう一話読みたい」と思わせるのか

 さて。


 前回、私は「ファンタジーを書いてみたものの、思ったほど読まれない」という話を書きました。


 人気ジャンルだから、もっと読んでもらえるだろう。


 そんな甘いことを考えていたのですが、現実はそう簡単ではない。


 作品数が多い。


 無名の作者が新作を投稿しても、すぐに新着欄の下へ流れていってしまう。


 じゃあ、どうすればいいのか。


 文章力を鍛える。


 設定を練る。


 タイトルを工夫する。


 もちろん、それも必要でしょう。


 でも、それだけではない気がする。


 そこで私は、自分の作品を見直す前に、ランキング上位のファンタジー作品をいくつか読み比べてみることにしました。


 そもそも、人気のある作品は、どうして続きを読みたくなるのか。


 実際に読んで調べてみよう、と。



 というわけで。


 最近は、ランキング上位に入っている作品や、長く読まれている作品をいくつか読んでいます。


 ジャンルはかなり違います。


 異世界転生もあれば、現地人が主人公のものもある。


 冒険ものもあれば、領地経営ものもある。


 それでも、読み比べているうちに、いくつか共通しているものが見えてきました。


 それは、設定やキャラクターが豪華だから、という話ではありません。


 むしろ気になったのは、


**「その設定やキャラクターが、実際に物語の中で働いているか」**


 ということでした。


 ここに、人気作と自分の作品の違いがあるのかもしれない。



 たとえば、主人公に特殊な能力があるとします。


 それだけなら、ただの設定です。


 でも、その能力があるからこそ、主人公が何かをする。


 その結果、周囲の状況が変わる。


 そこから、新しい出来事が始まる。


 こうなると、設定が物語の一部として機能します。


 実際、読んでいて印象に残った作品では、主人公の特殊な能力が紹介されると、それで終わりませんでした。


 その能力を使って問題を解決する。


 それを見た人物が主人公を評価する。


 その評価をきっかけに、新しい仕事や人間関係が生まれる。


 最初に見せられた設定が、その後の展開にまでつながっていく。


 ここが面白い。


**設定が、説明で終わっていない。**


**ちゃんと物語の原因になっている。**


 私はそこに気づいてから、人気作の読み方が少し変わりました。


 設定を「覚えるもの」として見るのではなく、


「この設定は、主人公に何をさせるために置かれているんだろう?」


 と考えるようになったのです。



 主人公の性格や欠点についても、見方が変わりました。


 たとえば、戦闘では強いのに、人付き合いが苦手な主人公。


 その欠点があるだけで、戦闘とは別の問題が生まれます。


 仲間と衝突する。


 誤解される。


 それでも関係を築いていく。


 すると、その性格が人間関係に影響し、主人公自身も変わっていく。


**できないことがあるから、物語に余白が生まれる。**


 主人公の欠点も、物語を作る材料になるのだと思いました。



 周囲のキャラクターについても、見方は同じです。


 主人公が何かをしたとき、周囲がどう反応するか。


 そこには、単なるリアクション以上の役割があります。


 たとえば、主人公が町の問題を解決したとします。


 それを見た人物が、


「あの人に、別の仕事も頼めないか?」


 と考える。


 そこから、新しい依頼が始まる。


 この時、その人物は主人公の活躍を見届けるだけの存在ではありません。


 次の展開を生み出す側に回っています。


**キャラクターが、物語の中で役割を持っている。**


 人気作品では、こうした積み重ねが多いように感じました。



 「ざまぁ」のような分かりやすい展開も、考えてみれば同じです。


 追放される。


 ↓


 主人公の実力が認められる。


 ↓


 新しい場所で活動を始める。


 大事なのは、そこで終わらせないこと。


 その後の生活や人間関係まで描けば、「追放」という出来事が新しい物語の入口になります。


**一つの展開を、次の物語の土台にする。**


 そう考えると、派手な展開を用意することより、その出来事をその後につなげられるかどうかの方が重要なのかもしれません。



 こうして人気作品を読み比べているうちに、だんだん一つの形が見えてきました。


 設定がある。


 その設定によって、主人公が動く。


 主人公が動けば、物語が変化する。


 その変化によって、新しい問題や目的が生まれる。


 そして、また物語が動き始める。


 つまり、


**設定が物語を動かし続けている。**


 私は、これが「興味のバトン」なのではないかと思いました。


 一つの出来事が終わっても、そこで物語を切らない。


 その出来事によって生まれた変化を、次へつないでいく。


 そうやって物語が止まらなくなる。



 そして、この考え方を自分の作品に当てはめてみることにしました。


 すると――。


 かなり耳が痛い。


 自分は設定をいろいろ考えてきた。


 主人公にも能力を持たせた。


 世界観も作った。


 登場人物も用意した。


 でも、それらは本当に物語の中で働いているだろうか。


 設定を説明しているだけになっていないだろうか。


 主人公がその設定を持っていることで、


「だから、この行動をする」


 という場面がちゃんとあるだろうか。


 キャラクターが登場することで、


「だから、この出来事が起こる」


 という変化が生まれているだろうか。


 考え始めると、かなり怪しい。


 もしかすると私は、


**設定を作ることと、物語を作ることを混同していたのかもしれません。**


 世界の歴史を考える。


 魔法の仕組みを考える。


 種族や国を考える。


 どれも楽しい。


 でも、それだけでは物語にならない。


 その設定によって主人公が何をするのか。


 その設定があることで、登場人物との関係がどう変わるのか。


 そこまで考えて、初めて設定が物語の中で生きるのだと思いました。



 人気作品を読んで、


「なるほど、勉強になった」


 で終わってしまっては意味がありません。


 せっかく研究したのだから、自分の作品に当てはめてみる。


「この設定は主人公を動かしているか」


「このキャラクターは物語を変えているか」


「この出来事は、その先につながっているか」


 そこを一つずつ確認してみたい。


 もちろん、これをやったからといって、すぐに人気作を書けるようになるわけではないでしょう。


 それでも、


「面白そうな設定を考える」


 だけではなく、


「この設定があるから、主人公は何をするのか」


 まで考えながら書くほうが、きっと前には進める。



 さて。


 次は、自分の作品を読み返してみることにしましょう。


 人気作を研究したあとで、自分の第一話を読んだら――。


 主人公は何者なのか。


 設定は、主人公を動かしているか。


 キャラクターは、物語を動かしているか。


 各話の出来事は、その先につながっているか。


 そして――。


**「この先も読んでみたい」と思えるだけの理由が、本当にあるのか。**


 人気作を読んで見えてきたのは、設定の多さでも、展開の派手さでもありませんでした。


**設定が、物語の中でちゃんと働いていること。**


 では、自分の第一話は――本当に動いているんでしょうか。


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― 新着の感想 ―
前後の脈絡を途切れさせないことと伏線とその回収の話ですね。 とっても大事!
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