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第67話 戦いの感想

「ほぉ、想像以上だな」



俺様達4人は目の前で繰り広げられるエリシアの戦いを眺めていた。

最初はどうなることかと思っていたが、エリシア達は俺様の想定を超える戦いをドラゴン2体相手に演じていた。


口ではあぁ言ってみたがヤバそうなら少しは手助けするつもりだった。

だが、この分ではまったく手を出さないで済みそうだ。


というか、本人たちはどう思っているかは知らないが、俺様から見てもドラゴン2体はエリシア達4人相手にまったく勝負になっていなかった。



「魔法障壁か。魔法は使えないと聞いてたんだがな」



「セラのを見て使えるようになった可能性もなくはないけど、使えていたんでしょうね、最初から。剣聖と同じようなモンなんじゃない? 強くあろうとした剣聖は肉体強化魔法を。仲間を守ろうとしたエリシアは魔法障壁をって感じかしら。本当はそんなあやふやな事で片づけられるような魔法じゃないんだけどね」



正確に言えば、肉体強化魔法も魔法障壁もただ行使するのはそれほど難しいものではない。

流石にただ火を放つだけのファイヤーボールよりは難易度は高いが、エメルが言っているのは実践レベルで使えるようになるのはかなり難しいという話だ。


肉体強化魔法は実際の戦闘で実感を得る程の強化を行うには効率よく自身の肉体に流れを意識しながらのコントロール技術が要求され、魔法障壁では実践で敵の攻撃を確実に防ぐほどの強度を得るには強いイメージ力とそれを実行するための魔力とそのコントロール技術が要求される難しい魔法なのだ。


それを魔法を知りもしないエリシア達は見事にドラゴン相手に使えていた。

あえて使いこなしていると言わなかったのは、それを効率的に使えていないからだ。


エリシアは戦闘が開始されてから最大強度で常時魔法障壁を本人含む4人全員の周囲全体に球体上に張り続けていた。

セラのように魔法障壁を使いこなせている魔法使いならそんな無駄な事はしない。

攻撃を受ける箇所にタイミングよく適切な強度で張るのが魔法障壁の本来の正しい使い方だ。


もちろん、セラでも全て完璧にそれらをコントロールできているわけではないが、少なくともエリシアのように常に全てを最大強度でということはしない。


そのような使い方をすれば魔力消費が大きくなってしまうからだ。


だが、そんな使い方をしているというのにエリシアには披露している様子を全く見せてはいなかった。



「なかなか化け物だな。魔力の変換効率といい、使い方といい無茶苦茶の一言だが、魔力量だけで言うなら魔王のやつといい勝負なのではないか?」



「確かにね。でもそれだけじゃないわよ」



「と言いますと?」



セラが尋ねると、エメルがエリシアと戦っている3人の女共の間の空間を指差した。



「エリシアからあの3人に魔力が流れている。多分、あの子達が肉体強化魔法を使っているんじゃなくて、エリシアがあの子達の身体能力を外から強化しているのよ」



「なに? 付与魔法か? アレはかなり難しい魔法なのではなかったか?」



確かによくよく観察してみると、エリシアから女共3人に魔力が流れているのが俺にも分かった。

だが、付与魔法は習得が難しく、俺達がいる人間界全体で見ても使える物は少なく、使えても大して強化できない者が大半だったはずだ。



「らしいわね。一時期私も覚えてみようと思ったんだけど、魔力効率が悪すぎて実践じゃ使い物にならなかったからすぐ断念したわ。理屈はよく分からないけど先天的な物が大きいわね。あの魔法は」



実際見たことがないので、アレが付与魔法だと断定はできないが、教えてもいないのに3人共がレイのように肉体魔法が使えるわけがない。

ドラゴン相手に圧倒している所を見ると、アレが付与魔法に近いものだと判断する以外は考えにくかった。



そんなエリシア達の戦いを食い入るように見つめていたケインが後ろからしがみついているセラの方に振り返った。



「でもなんであのトカゲたちは空に逃げないのですか?」



「ふふ、流石はケイン君、良い所に気が付きましたね。実際、彼らは一度空に逃げようとしていたのですけど、私が頭上に魔法障壁を張ったので上空には逃げられないと気付いているのですよ。空に逃げられたら試験になりませんから」



「なるほど。もう一つだけいいですか? セラさん」



ケインが再度質問すると、セラはなぜかケインの事を一層強く抱きしめた。

ケインもこいつが只の変態だという事にそろそろ気付いてほしいものだ。



「僕もいつかアレくらい強くなれますか?」



「無理だな。アレとお前とでは元々の魔力の差がデカすぎる。まぁ他の3人なら3年後と考えればいい勝負ではないか? 流石にお前もチビのままではないだろうしな」



実際問題、騎士の女共は単純な戦闘技術ではそれなりだが魔法はからっきしなので3年後の実力は未知数だし、ケインにしたってファイヤーボールは覚えてこそいるがまだほとんど初心者に近く、身体能力に至っては今は只のチビなので3年後の能力など判断のしようがない。

少なくともどう転んでもエリシアを超える魔法使いになる事は不可能だが、それなりに魔法の才能を見せたケインならばあの女騎士共3人に勝てるくらいの可能性は十分にあるというのが俺様の見解である。



「……そうですか」



「まぁ心配せんでもあのドラゴン共を複数相手にでも一方的にボコれるようにはしてやる。セラがな。——さてそろそろ試験はいいな。アイツらの今の実力は大体分かった。時間も惜しいからさっさと終わらすか」



このまま続けたとしてもエリシア達が最終的に勝つのは間違いないだろうが、そろそろ見飽きてきたし、時間もないので俺は立ち上がり、戦っているエリシア達の方へと歩き出した。


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