024 花三輪よれば姦しい ~Ring-a-Ring-o' Lilies~ 8
フィリアの私用バスルームに据えられたこのお風呂は、大浴場にあったような掘り下げ式の広い浴槽ではなかった。
海外の高級ホテルにあるような横長の楕円形で、しかもヒト二人が横たわって入ってもまだ余裕があるくらい大きい、猫足の付いた据え置き型バスタブだった。
そんな瀟洒なバスタブには本来であれば、今頃はホノカと一緒に入って百合百合してたハズなのに――現実はどうだ。
何故か相手は幼女で、フィリアたちは姉妹仲良く一緒に入っていたワケだ……どうしてこうなった?
(食べることに夢中で聞いてなかったのね? 昼食の時、ルーチェと夜は一緒にお風呂に入るって約束をしていたのよ?)
(そーそー。ルーチェとの先約があったから、ホノカの方はキャンセルになったんだー)
なんですとー!?……だが約束してたんなら仕方ないな。それにホノカとはまだこのあと褥台で――
(あっ、ごっめーん。そっちもちょっとワケあってー、キャンセルになっちゃったからー)
じゃあ他のコにチェンジで――
(それもないよー)
(今晩は夜伽なしだから。大人しく一人寝してちょうだい)
(その代わりー。今晩は面白いものが見れるかもよー?)
なんでやねん!
(だって貴女、まだこの体に慣れてないでしょ? いきなり刺激を受けたらおそらく精神が持たないわよ?)
(そう思って気を使ってあげたんだー)
大浴場であれやこれやの快楽を散々経験した……いや無理矢理に経験させられたあとで、そんな尤もらしいことを言われても納得出来ないのだが?
(それともラテア兄様を呼ぶ?)
野郎は要らん!! まあいいだろう。御預けを喰らえばその分、逆に燃えてくるというもの。
愉しみは明日に持ち越されただけなんだ。そう明日の晩にな、くっくくくくく……。
ところで兄ィと言えば、前回と今回どっちも入浴中に目覚めたワケで。しかも今回は逆にフィリアがつるぺたを揉む役とか……。
まっ何はともあれ、今は一緒にいる愛妹の相手をしないとな。百合百合を愉しむとしよう。
ロリ好きの★★君や。オレ今、洋物幼女と一緒にお風呂入ってるんだぜ! どうよ羨ましいだろ?
とは言えオレ自身は幼女趣味ではない(多分)。
だから幼女の裸体を目にしようとも触れようとも、我が心のうちにしかとあるオトコ魂がチンピクすることはない! だと言うのに……。
くにくにくにっ。
くにくにくにっ。
「……ぁんっ、いやぁ……またぁ!」
ほう、我が体と同様に、サクランボの感度がいいところは流石は姉妹というべきか。
くにくにくにっ。
くにくにくにっ。
「ね、姉さまぁ……ぁっ、やぁ……もうやめ、てぇー……!」
あかん駄目だ……愛妹の啼き声が愛くるし過ぎるのが悪いんや!
ついつい意地悪をしてしまいたくなるぞ。指が止まらん……このまま喰愛ってしまいたい衝動に駆られそうになる!
(それ以上はダメー! 魅了が発動しちゃう!)
(気を抜かないで。呼吸をしなさい!――吸って吸って吐くよ!)
お、おう?……フィリアは平原に載ったサクランボへの攻撃を止めると――「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー、ヒッヒッフー!」
ふうっ、やっべー危なかった-!!
(まあ尤も、この体の体臭は湯の中ではかなり希釈されるから、そこまで気にしなくてもいいのだけど)
おいこら! だったら吸って吸って吐くなんてさせんなよ……っと気を取り直して、呼吸を整えて意識が正常な状態に戻ったので、今度は落ち着いてだな……。
くにくにくにっ。
くにくにくにっ。
そう落ち着いて だ。平常心を保ったまま、ルーチェのサクランボへの攻撃を再開させた。
「……ぁん、またぁ!――もう、いい加減にぃ……して下さいぃー!」
ガンッ!――「……あいたっ!?」
ルーチェの後頭部からの頭突きを、鼻に喰らってしまった。
「うう~~っ、姉さま酷いですぅ~……」
「ゴ、ゴメンね? ついうっかり、思わず出来心で? 調子に乗って?」
そう謝りながらフィリアは、ルーチェの白みを帯びた桃色の小さな頭を撫でた。
「ぷうぅ~、そうやって撫でれば簡単に、ルーを誤魔化せると思わないで下さいぃ」
前にいるルーチェの横顔を覗き込んでみると科白とは裏腹に、本気では怒ってはいないようだ
それどころかちょっと喜色と恍惚のもれた表情を浮かべており、実は満更でも無かった?
(ま、これくらいのじゃれ合いはー、あたし達の間では日常茶飯事みたいなー? いつものことだからー)
(それは貴女だけの場合でしょ?)
あー、なるほど。つまり『嫌よ嫌よも好きのうち』ってヤツなのかな?
「ハシバミ色の姉さまはいつもそうやって……あらぁ?」
そう言ってルーチェがこちらに目を向けると、フィリアの顔を覗き込む。
「虹彩異眼の姉さま? いつの間に代わっていたのですかぁ?」
「はは……ついさっき、かな?」
ってことで痴力の2号(仮)のお墨付きを貰った訳だし、イヤじゃないのなら遠慮なく続きをいざ!
くにくにくにっ。
くにくにくにっ。
「……ぁん。またぁ。もう許しません。だったらぁルーもぉ。えいっ!」
…………ぁっ!!――脳天から貫くような電気が身体に走った!!!
それは未知の、いやこれは大浴場で受けた、あの刺激!?――下腹部から感じるこの刺激は……。
我が体の下半身に目を向けると、そこにはルーチェの淫魔尾針が突き立っていた――我が体の栗と栗鼠に、だ……。
それを見た瞬間、記憶にあった映画『E.T.』のことを思い出した。
本編では描かれて無いことで有名な、映画ポスターに描かれたあのシーンのことをだ――そんな場違いな記憶を抱きながら、フィリアはアタマの中が真っ白になって脱力し、ビクンッビクンッと体を痙攣させながら、その身をぶくぶくと湯の中に沈めていったのだった……。
★★★LAST-PRINCESS or LUST-PRINCESS★★★
その後――浴室に控えていた数人のメイドたちの手で、フィリアは湯の中から無事救い出された。
放●露●プ●イのポーズで、だ……なんでやねん!
そんでフィリアはルーチェと一緒にバスタブを出て、洗い場へと移動。
っていうかメイドたちに囲まれた中……つまり衆人環視の元でフィリアたちは百合百合していたのかよ。もうっフィリアったら恥ずかしい!
この時になって初めてオレは、ルーチェの全身を――つまり生まれたままのその姿を確認出来たワケだが……一番目立つのが、出るべきところが全く出ていない平坦な胸だ。
我が体のちっぱいをパンケーキに例えたが、ルーチェのつるぺたの場合さしずめクレープの皮生地といったところか。
ストンとして括れのない胴体と、見事なイカ腹と鮑の稚貝……それはまさにTHE幼女な体型だった。
そしてそのイカ腹には我が体のものと同様の呪痕が印されており、ぷりっとした愛らしいお尻には淫魔尾針が生えていて……といった身体的特徴は、幼いながらこのコもまた女性淫魔であることを証明するものだった。
余談だが地球の西洋式バスタブの場合、体を洗うのも洗髪するのも全てバスタブの中で済ますのが正しい入浴スタイルであるらしい。
だがこの世界のお風呂文化は日本式に近いようで、バスタブは純粋に入浴のみに使われ、大浴場と同じ形式で洗い場が分けられていた。
入浴のお世話役としてその場に控えていたメイドは、ルーチェ番の冥徒組三番隊の者たちと……フィリアの方は担当はホノカではなく、その直属の部下に当たる二番隊次席のフローワルツァだった。
彼女の種族は【獣人種】の一種で【亜猫族】だ。
和風の小袖を着た女中スタイルで、真夜中にこっそり行灯の油を舐める姿が似合いそうな貌……ま、つまり化け猫だな。そんな感じで頭部がまんま猫そのものの魔族だったのだ。
オレが今日出会った者たちの中では、ヒト形態で最も人外度の高い見た目の種族でもあった。
「ホノカはどうしたの?」
「隊長は特別任務で留守にされています。ニャ」
(ニヤニヤ……)
(フフフフ……)
おい何だよその意味深な笑いは? うーん……特別任務とやらの内容は気にならないでもないが、この場はスルーしておくとしよう。
(あら? 聞かないの。残念)
なるほど……これは触れたらヤバい案件だとオレの魂どもが囁いているので、やはりスルーしておくのが正解のようだ。
さて気を取り直して……フィリア自身のことは後回しにして、ルーチェのお世話をフィリアが手ずからすることになった。
オレ自身は前世においておそらく、大人の女性どころかちっちゃい子の風呂のお世話をしたことがない……と思うのだが――基礎知識から抜けていた、これらに関する記憶を中のフィリアたちが送ってくれたお陰で、ルーチェの洗髪と石鹸洗いを滞りなくこなすことが出来た。記憶共有様様である。
何度も言っているようにオレは幼女趣味ではない(多分)。
だから幼女の裸体を目にしようとも触れようとも、我が心のうちにしかとある男子魂がチンピクすることはない!
だがそれはそれ。なにせ相手は、かわゆすぐるルーチェなのだから……くっくくくくく。ちっちゃい体を隅々まで、思う存分堪能してやったぜ!
ルーチェのお世話を無事全て終えた後――ルーチェは一足先にメイドに手を引かれて退場した。
一方残されたフィリアはフローワルツァの手で……ぷにっとした肉球なその手で髪を洗われて、そしてそれが済むと全身を隈なく洗われたのだった。
★★★LAST-PRINCESS or LUST-PRINCESS★★★
入浴の全過程を終えて、浴室を出たあとは――大浴場の時と同様、メイドたちの手で甲斐甲斐しくタオルで全身を拭かれ、全身を丹念に香油を塗られつつマッサージを、されて……?
…………。
…………。
…………。
はっ? どうやらマッサージの心地よさのあまり、ちょっとうたた寝してしまっていたらしい。気が付くとフィリアはベッドルームにいた。
しかもまるで時間を巻き戻したかのように、今朝目覚めた時と寸分違わぬ同じ姿で……ノーブラ、透けパン、そして透け透けのベビードールというエロ可愛い寝間着姿にされていたのだ。
フィリアが寝ぼけている間に、この如何わしい官能的下着を着せられて、非常に不本意な恰好になってしまったワケだが……ちっぱいを締め付ける矯正拘束具や、あの重くて嵩張る忌々しい『幼女性愛者を殺すドレス』からやっと開放されたので、ここは由としておこう。
「ではフィリア様。おやすみなさい。良き夢を、です。ニャ」
フローワルツァがそう言って灯りを消して退室すると、ベッドルームにはフィリア一人だけになった。
今日目覚めてからずっとフィリアの側には、ホノカを始め常に誰かがいた。この一日の終わり。就寝間際になってようやく一人になれたワケだな。
(あはっ。あたしたちはいるけどねー!)
(でも御不浄の個室では一人になれたでしょう?)
(ここでなら●●ぐり返しも思うぞんぶんできるよー?)
はあ~っ……どうやらオレは孤独になれる権利を永久に失ってしまったらしい。
もうヤだ。何も考えたくない。せめて夢の中だけでも孤独になりたい。寝よう……っとその前に、寝る前に確認しておきたいことがあったな。
素足でトコトコと窓辺の方に行くと、分厚いカーテンを捲ってみる。大きくて高い長方形の窓の外にあったのは、雲一つない星々が輝く満点の夜空だった。
そしてそのど真ん中に浮かぶのは――さっき浴室でフィリアたちと雑談した際に教わったとおり、それは確かにあった……左右対称となって浮かぶ、そっくりな二つの月。
鏡合わせの双面月――その名が示すとおり鏡合わせのカタチで……。
しかもまるで眼鏡のように横並びになって向かい合い――つまりそれは、上弦と下弦の姿で夜空に浮かんでいたのだ。
その不条理で神秘的な光景を見て、オレは改めて実感したのだ……前世の地球とは異なる世界に自分は転生したのだと。
1章終了じゃないぞよ。もうちっとだけ続くんじゃ(Byカリ仙人)




