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三番目の淫魔姫  作者: 素浪臼
CHAPTER Ⅰ Day One
24/34

023 花三輪よれば姦しい ~Ring-a-Ring-o' Lilies~ 7

(第三人格(ソフト)意識回復(リブート)――)


 ……??


肉体(ハード)への実効支配権(アクセスキー)を第三人格(ソフト)へ――)


 …………!?――「うがーーーーっ、そのネタはもうええっちゅーの!!」


「――うひぁっ!?」


 って、あれ? ここはどこ? オレは誰? それともオレがお風呂で気絶してから、ずっと夢見てただけ? いやそれどころか、転生したとか思っていたのも全部夢の中の出来事だった……!?


(あはははっ、そんな訳ないよねー? 今のおねえちゃんはー、美少女淫魔サキュバスのフィリアちゃん――三番目のあたしたちなんだよー!)


(そしてここはベッドルーム(閨房)ね。つまりわたくしたちの部屋で……)


 そっかぁ……ひんぬーゴスロリ淫魔サキュバスに転生してしまったことは現実だったのか。


(ひんぬー言うなー!)


(失礼ね。これはまだ小さいだけなのよ!)


 で五月蠅い雑音ノイズが中にいるのも現実だったと――『オッパイに貴賎なし』だとか『巨乳も良いが、貧乳もまた良し』とか言うし、そんな些末なこと気にすんな! 

 もっとも巨乳派のオレにはちっぱいの価値がちっとも分からんがな。因みに巨乳は好きだが爆乳はパスな!……んっ? あれっ? ひょっとしてオレってばまた意識を堕としてシャットダウンしまったのか?


 えーと……確かデスクワークを延々とやっていて、最後の書類の内容を確認していたんだっけ?――



    ★★★LAST-PRINCESS or LUST-PRINCESS★★★



 『フィリア姫様の大浴場の利用頻度についての改革』の意見書?――なんじゃこりゃ?


 大浴場とは言わずもがな、今朝フィリアオレが入った場所のことなのだが……フィリアたちの説明によると――ここは本来は宮殿に住まう家臣や使用人たちの為の公衆浴場なのである。

 通常フィリアはベッドルームに併設された浴室で入浴しているものの、今朝のように定期的に大浴場も利用する――月に十回……つまり三日に一度、朝一であそこで入浴しているのだそうだ。


 これに加えて、月に十回の内三回は男湯の方に入っており、さらにフィリアが入浴した日の浴場は月に二回女湯と、月一回男湯でそれぞれ住み込み以外の一般へ向けて解放されているのだとか。

 はて、なんでこんなことすんの? 確かに広い湯舟に手足を伸ばして浸かるのは気持ちいいかもし知れないけど……。


(……わたくしたちの体って、特殊な体臭フェロモンを発散してるでしょ?)


(あたしたちの流す体液って、美容効果があるってー評判らしいんだよー)


 おいっつま、り、それって……。


(そうお察しのとおりよ。この体から流れた体液……主に汗が養分エキスとして溶け込んだ湯に、わたくしたちが入った一番風呂の後は、皆がこぞって入りたがっているっていう訳ね)


(つまり入浴剤的なー? それとも湯の花かな? あ、フィオリトゥーラには花って意味があってねー……)


 そんな蘊蓄いらんわ!……っていうかそれ入浴剤と全然違うし、養分エキスっていうより出汁だしじゃねーか!


(しっかもー、自分ではよく分かんないんだけどー、この体の匂いスメルってー、柑橘系の甘酸っぱい香りが微かにするらしいよー?)


 ほう、つまりこの体の匂いスメルは芳香剤代わりってワケか。ああ、だから浴場内は無臭だった訳だな。なるほどねーこれで納得……って出来るかー!

 

(しかもしかもー、一番風呂の日は入浴希望者が多いから整理券が発行されててー、予約待ちのヒトも多いらしいんだー)


(それどころかわたくしたちが入った直後のお風呂は二番湯セカンドフラッシュと呼ばれて特に人気があるらしいの。倍率も高い上に利用券チケットが裏で売買されているのだとか)


 紅茶かよ!


(外来の場合、五〇年先まで予約で埋まっているみたいよ。あと使用人は福利厚生の一環として無料で利用出来るけど、外来客には入湯料を頂いているわ)


(金貨十枚まいどありー!)


 ここでも長命の魔族デーモニヌらしい時間スケールが炸裂! しかもお金まで取って、その上ぼったくり価格だと!? ブルセラかよ! 


(因みにわたくしたちが着古したドレスや下着も――)


 ワーーッ、それ以上言うなーーー!……マジでブルセラだったのかよ!! 

 あれ?……ってことはこの『利用頻度についての改革』の意見書って――


(ええ、ご理解して頂けたかしら。そこに書いてあるように、従来の月に十回から月に一五回……つまり二日に一度に頻度を増やして欲しいという要望なのよ)


 はぁっ、呆れ過ぎてもういい加減突っ込む気も失せたわ――って、あれっ? 下にもう一枚あるぞ? 

 えーと、なになに『フィリア姫様の大浴場一番風呂後における外来開放日についての要望』? あー、うん。読まなくても内容は理解したぞ……ってことで却下、どっちも『不可』だよ!


(そうね。これは『不可』にしておきましょう)


(えーっ!? どしてー? これ絶対『可』だよ『可』! 外来カイホー日の回数を増やせばそんだけ、あたしたちのお小遣いが増えるんだよー!?)


 『不可』だっつーの! オレはそんな変態行為には絶対に加担せんぞ……ってか入湯料がお小遣いの財源なのかよ。


(短期的に見れば確かに儲けは出るでしょうね。でも……希少レア感? 高級感プレミアムというのかしら? 提供する回数が多くなれば飽きられるのも早くなるし、価値が暴落するでしょう。今まで通り少ないままであれば長期間、価値を維持出来るというものなのよ。だから安易に安売りに走るべきではないと思うの)


(なるほどー! 流石おねえ、よく考えてる。策士だね-!)



 ……とまあ、そんな風にゲスいやり取りを交わしながら、デスクワークを無事終わらせたことまではよく覚えている。

 でその後に――


「フィリア様、お疲れのところ、申し訳ないのですが……お耳を――」


 公務終了の報せと同時に、フィリアオレは|執務机の上にぐでーんと上半身を投げ出してしまった。そこへ側で控えて作業を手伝っていたホノカが、顔を寄せてきて耳元で囁いた。


「あの……夕食後のことなのですが」

 

 ぁん……吐息がくすぐったい……。


「湯浴みの世話役と今宵の夜伽ぎを……私に御寵愛をお授け下さいませんか?」


「御寵愛……!?」


「はい」

 

「湯浴み? つまり一緒にお風呂?」


「はい」


「裸のお付き合い!?」


「そのとおりです」

 

 そして夜伽ですと!? 夜伽とは即ちエッチのこと!

 それを聞いたフィリアオレはガバッと身を起こすと――


「ん。いいよ。お風呂一緒に入ろう! あと夜伽ぎもしよう!!」


 全力で何度も首を縦に振ってお誘いに乗ったのであった。

 そうオレは欲望に忠実なオトコ。据え膳は逃さない主義なのである。

 この身が例え女体に変わり果ててマイサンを喪ってしまったとしても、オレのオトコ心は未だに健在なのだ。もうすくあの我儘ボディをこの我が手でほしいままに弄べるのかと思うと、もう今からオレの心の中で幻欲勃起ファントム・エレクチオンが起動してしまいそうになる。

 マイサンが無いと楽しめないだろうって? 否々ノンノン! 百合上等である。寧ろ女の子同士のエッチという未知の体験に心が躍るというものよ。

 ピクピクッ――ん? おおっ、マイサン二世よ。お前も滾っているようだな。くっくくく……。


 目覚めた直後は、ホノカに先手を取られて押し倒されてしまい、そのままなし崩しでエッチに突入してしまいそうになってしまい、しかもあの時はそれを拒絶してしまったワケだが……オレはするのは大好きだが、一方的にされてしまうのはイヤなのだ。

 あくまで主導権イニシアチブはこちらにないと、好きであってもエッチなど出来ない。

 そして駄蛇っ子メイドのホノカには、オレに行った数々の舐めた態度をとった罪状がある。その報復として褥台ベッドの上でひぃひぃ啼かせると心に決めていたのだから。そんな訳で早速チャンスが到来した訳だ。わっははははは……!


(ムリだと思うけどなー)


(――とした昼食の時の約束を聞いてなかったのかしら?)


 などと今夜迎える百合エッチに思いを馳せつつ……中のフィリアたちになんか色々話し掛けられた気もするが、ま、どーでもいい。

 小さな胸ちっぱいをワクワクさせながら、上の空のまま、ラテア兄ィに手を繋がれて執務室を出て、それから――


 ダイニングルームに入って、家族が揃ったところで、豪勢な夕食を前にして――



    ★★★LAST-PRINCESS or LUST-PRINCESS★★★



 ……ってあれ? そこから記憶がない?――ってことはつまりオレは、夕食を食べる前に気絶してしまったってワケなのか?


(気絶じゃないよー)


貴女あなたは単に疲れて寝落ちしてしまっただけよ)


(そのあとはー、あたしが代わってあげたから、夕食はちゃんと食べたんだけどねー!)


 なんですとー? 御馳走を目の前にして寝落ちしてしまっただと!? でもまあ一回ぐらい、いっか……ところであれから、オレはどれくらい眠っていたんだ? 今はどこで何をしているんだ?


(えーとね、六刻(約九〇分)くらい経ったかなー?)


(聞いてなかったの? 今さっきも言ったけど、ここはわたくしたちの部屋の……その隣に併設された浴室で、そして――)


 くにくにくにっ。

 くにくにくにっ。


「……ぁんっ!」


 ん?――くにくに? ぁんっ……?


(今は入浴中よ)


 そうか入浴中だったのか。どおりで体がポカポカしている訳だ。

 そんでフィリアオレの目の前にはホノカ(?)の白みを帯びた桃サクラ色の小さな後頭部が……って、あれれ? これホノカじゃない!? 


「ね、姉さま。どうしたんですかぁ?……いきなり大声で『うがーー』なんて叫ぶから、ルーびっくりしましたぁ」

 

 そこにいたのはホノカではなく愛妹ルーチェだった。しかも我がちっぱいをルーチェの小さな背中に密着させて――


「そ、それにぃ……そんな風にお胸を何度も抓らないで下さいぃ、ルー痛いですぅ」


 ルーチェがフィリアオレに膝抱っこされた格好で、姉妹仲良く一緒に入浴していたワケだな。

 おまけに我が二の指は、ルーチェのつるぺたの上に載ったサクランボをくにくにと摘まんでいたのだった……っていうかホノカはどこ行ったのさ!?

「長過ぎる一日を終わらせたければ、主人公を気絶させて強制終了させればいい」……と某メイド(仮)さんが教えてくれました(笑)

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