↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三番目の淫魔姫  作者: 素浪臼
CHAPTER Ⅰ Day One
21/34

020 花三輪よれば姦しい ~Ring-a-Ring-o' Lilies~ 4



 フィリアオレたちの一人脳内女子会ガールズトークは、絶賛継続中だった。

 しかもその間、本体は――ゴスロリ美少女が御不浄トイレの個室に一人籠り、床の上で女の子ぺたん座りして惚けたままの状態という、客観的に見ればちょっと残念で可哀そうなコだったりするワケだが……。


(でもー、便座の上で正座よりはマシな姿なんじゃないかなー?)


 いや、どっちでも変わんないから!


(さっきまでアヘ顔ダブルピースやってた人がなんか言ってるよー!)


 ほう今度は、ま●●り返しをご所望かね?――でんぐり返しではないぞ。その上位互換(大人向け仕様)である『まん●●返し』だからな。


(じゃあー、それに相応しくパンツも脱ぐといいんじゃないかなー)


(はいはい、静粛に!――脱線は止めなさい) 


 まったくだな……やれやれ、さっきから話が全然進んでいないじゃないか。


(それを貴女あなたが言うの!?――っと話を戻すけど。面倒臭いだの、五月蠅いだのと言ったけれど……いくら貴女あなたに送った基礎知識スターターキットの記憶があったとはいえ、わたくしたちの助言も無しでどうにかなると思っていたワケ?)


 いや、実際ここまでどうにかなっただろ?


(それはわたくしたちが最悪の事態を予想して、眠る前にホノカと兄様に保険を掛けておいたから、無難に済んだっていうだけの話よ)


 予想してた最悪の事態か……そういえばオレがこの体フィリアで目覚める前に、三つのことを予想していたと言っていたな――

 一つ目が、フィリアたち二人の内どちらかが消えてしまうこと。

 二つ目が、フィリアたち両方の人格が消えて新しい人格が生まれること。

 そして三つ目……第三の人格が生まれ、フィリアたちを抑え込んで体を支配してしまうこと。

 でその結果、三つ目の予想が現実のものとなって、現在に至る……っていう訳だ。


(ええ、そうね……でもわたくしたちが一番恐れていた最悪の事態は――どちらか一方或いは二人とも人格が消えてた上で、わたくしたちが培ってきた記憶や思い出が全て消えてしまうことだったのよ。だからこの結果は最悪の予想よりはだいぶマシ……っていうところかしら)


(でもぶっちゃけー、あたしたちにとっては『何も起こらない』ことが最良の結果だったんだけどねー!)


 つまり、だ……フィリアこいつらにとってオレは――フィリアV3(仮)はいらんコだった、と。


(ま、実際そうなのだけど――こうなってしまったからには、いつまでも悔やんでいても仕方ないわ)


(そーそー、前向きにかんがえよーよ。仲よく仲よくー)


(これって賽は投げられたっていうのかしら?――なにはともあれ事故だったとは言え、実効支配権(アクセスキー)を得た貴女あなたが、わたくしたちの体の支配人格(メインパーソナル)となってしまったのだから、しっかりして頂戴)


 そうそれ、それだよ!――ずっと気になってたんだけどさ……その『双方向意識回線(ネットワーク)』だの『支配領域リソース』だのって何なの?

 確かオレが気絶から目覚めた時も、『意識覚醒(スタートアップ)』だの『譲渡(アサイン)』だの『完了(コンプリート)』だのと妙なことをボソボソ言っていたよな?


(三番目のおねぇちゃんの記憶にあった前世知識? こんぴゅーたぁ?)


(そうそのコンピュータとやらね。貴女あなたの僅かに残っていた記憶を覗いてみたところ、面白そうな情報があったから、ちょっとした言葉遊びをしているだけよ)


(そー、それだけー!)

 

 それだけかよ! あと記憶と言えば……オレさ意識が回復してから……。


(アタマの中が軽くなったー?)


(スッキリしたでしょ?)


 やっぱりか! お前らがオレに何かやったんだな!?


(そだよー。こーゆーのってなんて言うんだっけ? 洗脳? 脳改造? 記憶そーさ?)


意識操作マインドコントロールかしらね?)


 ああ、なるほどね~。

 どおりで気絶から目覚めた後、アタマん中が明瞭クリアになって、意識が体の感覚に馴染んでいたワケだ……って、ちょっと待てい! 意識操作マインドコントロールですと-!?

 お前ら、何勝手にヒトのアタマん中を弄り回してくれちゃってんですかー!……こ、このド外道どもがぁーー!!



     ★★★LAST-PRINCESS or LUST-PRINCESS★★★



 ヒトの脳に蓄積された記憶は――その膨大な情報データは、コンピュータのようにキレイに整理整頓(マルチタスク化)されている訳ではない。

 フィリアたちはコンピュータごっことやらで散々に戯れていた訳だが、実際のところヒトの脳が持つ情報(データ)は合理的に処理するなんて不可能……ってことらしい。


 一人のヒトが内包する記憶の海は広大だ――言語などの重要かつ基本的な情報、勉学で蓄えた知識、喜怒哀楽を喚起させる思い出、起きてから寝るまでの毎日の定まった生活習慣ルーチンワーク、朝昼夜に何をどんな順番で食べたか等々の……普段本人ですら直ぐに忘れてしまうような、或いは特に強く意識していない些細な出来事の数々。

 それら雑多で膨大な情報(データ)が脳に蓄積されており、その大小の記憶の全てが玉石混合された状態で存在している……のだそうだ。


 それで、だ……オレの中に入れられた基礎知識スターターキットというのは、フィリアたちの全記憶の内、一〇百分率ペルケントゥムにも満たない情報量だった。

 だがその内容も――フィリア自身の基本的な個人情報から『昨日の朝、何を食べたか』みたいなレベルの、どうでもいいようなゴミ情報まで盛り込まれていたワケだ。

 その一方で重要そうな事柄どころか、基本的な個人情報すら欠如していた……そう例えばこの体フィリアBWH(スリーサイズ)とか――


(そもそもわたくしたちだって、始めからそんなの知らないわよ?)


 えっマジで? だがオレの視診と触診によると、このちっぱいのサイズは七十んセンチ……おっと今はそんな話をしている場合じゃなかったな。


 まあ兎に角、色々と基本的な情報が部分的に欠落しまくっていたりと、かなり雑な代物だった訳だけども――基礎知識スターターキットについて、送った当人たちは『テキトーに見繕って(チョイスした)』などと言ってはいたが、これは事実ではない。

 本人たちですら記憶の中から、正確に必要な情報だけを選別ピックアップする作業など、端から不可能だったのだ――記憶は『整理整頓(マルチタスク化)されている訳ではない』ので、記憶の中から部分的に必要な情報を抜き取るだけで精一杯だったのだそうだ。そもそもあの時は、時間的にも余裕の無い状況だったしな……。

 オレに与えられた情報が『記憶のほんの一部』だけだったのも、これは前にも言ったように『一気に記憶情報(データ)を送ったら自我が崩壊(パンク)』してしまう恐れがあった為の措置だ。


 現にその一〇百分率ペルケントゥム程度のものでさえ、深く覗こうとした際にオレの情報処理能力を超える情報の洪水ラッシュに――仮にもこの身体フィリアの基幹を為す魂魄の、その半分以上の支配領域リソースを持つに至った支配人格(メインパーソナル)たるオレの意識ですら、あっさり圧迫されてしまったのだ……その時は自我崩壊の危機はなんとか回避出来たが、二度目の危機は直ぐに起きてしまった――大浴場の時だ。


 あの時は膨大なフィリアの記憶に触れた直後であり、また確固として存在する男性性としてのオレの自我と、突然に変わってしまった慣れぬ異性の体との間で起きた軋轢――それらの過負荷ストレスがオレの精神へ一気に襲い掛かった結果、気絶という方法で意識を堕とした訳だが……これは自我を守る為に起こした自己防衛本能的なものだった、らしい。


 でこの二度にも渡る許容量が決壊(オーバーフロー)はオレにとって、いやフィリアにとって大変危険な状態だったのだそうで――支配人格(メインパーソナル)たるオレの自我が崩壊すれば、魂魄レベルでオレの意識と紐付けされた状態にある二人の人格まで、巻き添えを喰らって一緒に消滅してしまう可能性が高いのだとか。


 これは今教えられて知ったことだが――最初の危機の時、オレの自我は崩壊(パンク)しかけていたらしい。 

 それをフィリアたちが内部から記憶の洪水ラッシュを即座に堰き止めて、回避させてくれたのだという……そこまではいい。問題は二度目の方なのだ――



     ★★★LAST-PRINCESS or LUST-PRINCESS★★★



(……ま、そんな訳で貴女あなたが大浴場で気絶した時に、その隙に心的過負荷ストレスの原因である基礎知識スターターキットの中から半分以上、記憶を削除したのよ――)


(そーそー、だからアタマがとってもスッキリしたでしょー?)


 基礎知識スターターキットの情報が削られたのは、まあ致し方ないとしても……でも、ヤったのはそれだけじゃないんだろ?


(そだよー、この体に対するてーこー感? いわ感?……をゴリゴリ削ってあげたんだー?)


(要するにこの体のせい或いはさがに対して、その軋轢の原因となっている貴女あなたの自我……つまり男性性としての貴女あなたが抱いてる拒否感、抵抗感、違和感といった感情や意識を少しだけ減らして、自然なものとして受け入られるようにほんのちょっと意識操作マインドコントロール……いえ調整チューニングしてあげたっていう訳よ)


(すっごく気持ちよかったでしょでしょー?)


 おう、アレは凄く気持ちよか……じゃねーよ! そーゆー問題じゃない。人の断りなく勝手にアタマを弄ったことをオレは怒ってんだよ!!


(仕方ないでしょ。調整チューニング貴女あなたの自我崩壊を阻止する為だもの)


(おねぇちゃんの心が壊れちゃったら、あたしたちも巻き添え喰らって消えちゃうかも知れないしー)


 ぐっ、それを言われると反論出来ない――いや、だとしても……これからも不都合が生じる度に、オレの記憶や感情を勝手に弄り回すつもりじゃないだろうな?


(それを心配していたの? であれば問題ないわ。記憶を消したり意識の調整チューニングを出来たのは、目覚めたばかりだった貴女あなたの意識が、この身体や魄との繋がりがまだ不安定だったから可能だったのよ。今のわたくしたちには、貴女あなたの心にはもう二度と手出し出来なくなったから安心なさい)


 本当だろうな? その言葉を信じてもいいのか?


(目覚める前――最初に言ったでしょう? わたくしたちは貴女あなたの意思を尊重するって)


 誓えるか?


(誓うわ。今後もう二度と貴女あなたの心を弄ばないことを――我が魂にかけて!)


(あたしもー、混沌なる存在ものにかけて誓うよー!)


 二号(仮)が言うと誓いの言葉が軽いなぁ――まあ、そこまで言うのなら一応信じておくよ……。

 でも、この件の問題はまだ終わりではない――あれはなんだったのかな? 自分の意志で身動きが出来なくなった、あの……あの悍ましい自動行為オートモードは!?

一人脳内女子会ガールズトークINトイレはまだ続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。