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三番目の淫魔姫  作者: 素浪臼
CHAPTER Ⅰ Day One
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019 花三輪よれば姦しい ~Ring-a-Ring-o' Lilies~ 3

 フィリアオレ御不浄トイレに籠って、かれこれ半刻(七分強)が経った頃――出入口のドアからノックが響いた。


「フィリア様……少々長いようですが、もしかして漏ら――」


「漏らしてないから!」


 漏らしこそしなかったがな――ホノカよ……貴様がパンツの紐を本結びなんかにするから、危うく漏らしそうになったけどな!


「……ではお腹ポンポンの調子が悪いのでしょうか?」


「ち、違うよ! お通じでもないから……あとポンポン言うな!」


「あっ……ひょっとしてご●淫ソロプレイをお愉しみ中でしたか?」


「そ、そう、実はそうなの……!」


「宜しければ、お手伝いしましょうか?」


「い、要らない!……今、凄くいい感じのところだから邪魔しないで!」


「……それは残念。次は是非お呼び下さい。では引き続きごゆっくりお愉しみを」


 とホノカが言うと、ドアの前からその気配が消えた――っていうか何なのさ今の会話!

 何が「凄くいい感じのところだから」だよ!

 うっかり話の流れで、フィリアオレ手●ソロプレイをお愉しみ中っていうことになってしまったが……こんなのナチュラルにしていい会話ではない。フィリア(お前ら)は普段、一体どんな淫らな日常生活を送っているんだっつーの!



 さてフィリアオレは今、御不浄トイレの個室にいる訳だが――蓋が閉められた便座の上で、正座していた……いや、させられていた。

 便座の上で正座しているゴスロリ美少女だなんて、かなり奇ッ怪(シュール)な姿だろう……しかもこの状態にさせられてから、ずっと沈黙状態で、だ。


 そもそも物理的には無力な彼女たちの言うことなんぞに、オレがわざわざ従う必要なんかない――なのだが、この体フィリアの先住所有者たる彼女たちに対する後ろめたさと、目覚めてから散々好き勝手やらかしたことの罪悪感とが相まって、彼女たちの有無を言わせぬ威圧的な命令に、大人しく従ってしまった訳である……。


 で、この正座いつまで続けさせるワケ?


(…………)


(…………)


 君たちのこと無視したことは謝るからさ、お願いだから無視シカトしないで……女子社会の無視シカトはマジきついから!


(…………)


(…………)


 あのー、フィリアさん方や? そもそもこれって美少女がしていい格好ではないと思うのですが?


(…………)


(…………)


 さっき石抱ルーチェの拷問を受けたばかりで、脚が痛いんですけど!


(申シ訳ゴザイマセンガ、オ客様ガオ使イニナッテイルおーえすノさぽーとハ、終了シマシタ)


  あっ……やっと喋ってくれた――っていうか始まる前に終わってる!?


(ったく……そうね、無視してたことも勿論腹立たしいのだけど――何よりも一番許せなかったのは……)


(あたしたちの愛妹ルーチェを泣かせたことだよー……つまりー、これは罰なんだよー!)


(あと恰好なんて、今更気にしなくたっていいんじゃないかしら? ここには誰もいないし、誰も見ていないのだから……なんならさっきの膣洗浄ビデの続き――ご手●ソロプレイに耽ってもいいのだけど?)


(アヘ顔ダブルピースをやってもいいよー?)


(正座が辛いって言った? だったら便座の上で一刻(約一五分)くらいずっと、ま●ぐ●返しをしたままでもいいわよ?)


 ぐっ……口を開いたと思ったら、今度はガンガン責めてきやがった!――薄々感づいてはいたが、お前らひょっとしてオレの行動を最初から全部見てたのか?


(うん。それはもうバッチリとー!)


(ま、それは兎も角……色々と聞きたいこともありますし――いいでしょう。床に座って脚を崩してもいいわよ?)


 床って……御不浄トイレに敷くには勿体ないくらい、綺麗なカーペットだからいいんだけどさ――ってことで、遠慮なく脚を崩してカーペットの上にちょこんと座ってやったぞ。


(あっ、さっそく女の子ぺたん座りしてるねー、意識が体になじんできたのかなー?)


 い、いいだろ別に!……この体ではこれが一番楽な姿勢なんだからさ!――っていうかさ、冷静になって考えてみたら、御不浄トイレの床に女の子ぺたん座りして、ゴスロリ美少女が一人惚けている姿とか、便座の上で正座と同じくらい残念な姿だよな。


(そう思うならアヘ顔ダブルピース止めてくれないかしら?)


 やってもいいって言ったのはそっちじゃん……。



     ★★★LAST-PRINCESS or LUST-PRINCESS★★★



 あー……さて唐突だが、ここらでオレたち自身の――フィリアたちの人格キャラクターついて整理しておこう……とは言え、この体フィリアの先住人格たるこいつらには、互いを名前的な区別はしていなかったのだそうだ。

 ま、そりゃそうか。元々居たのが二人きりだったのだし、互いを――『わたくし』と『貴女あなた』、『あたし』と『おねえ』……とお互いの存在を認識出来ていればそれで問題が無かったってことらしい。でまあ、それを踏まえた上で区別するとだな――


 両眼がスミレ色ヴァイオレットで、周囲にも『スミレ色ヴァイオレットの』とその存在が周知されている、この仕切り屋の委員長気質の如何にもなクール系お嬢様は、一人目の人格――性技ワザのフィリア1号(仮)としておこう。

 もう一方の……両眼がハシバミ色ヘーゼルナッツで、『ハシバミ色ヘーゼルナッツの』と周知されている、この無邪気でちょっとアホっぽい感じの幼げなコが、二人目の人格――痴力チカラのフィリア2号(仮)としておく。

 そしてこのオレは――


(『虹彩異眼オッドアイ』のー……そうつまり痴力チカラ性技ワザのフィリア3号(仮)だねー!)

 

(1号、2号って――随分失礼な呼称ね……あとチカラとかワザとか意味が分からないのだけど?)


 1号(仮)が何やら一人だけご不満のご様子だが……いや待てよ、『痴力チカラ性技ワザの3号』とか言われてしまうと、まるでオレがビッチを極めているみたいじゃないか!

痴力チカラとか性技ワザとかナシな、今の取り消し! ま、そこは兎も角、取り敢えずしばらくは1号、2号でいこう。



(コホンッ……仕切り直して――ホノカ(邪魔者)も去ったことだし、これで落ち着いてゆっくり話が出来るわね?)


(おっはなしー、おっはなしー!)


 お、おう……よりにもよってこんなトコでお話とか。


(古人曰く、御不浄トイレは女子の社交場……らしいわよ?)


 は? それは何か化粧メイク直しをしながら、合コン相手の男子の品評会でもすんのか?


(あっ、それいいねー。今度三人で好みのチ●コの品評会しよーよー!)


 してたまるか!――っていうかそもそも、今ってゆっくり『落ち着いて話が出来る』時間なんてないだろ。これから公務とやらの仕事があるんだけど?


(それならダイジョーブだよー。ホノカが去ってから、まだ四半刻(四分弱)の半分のそのまた半分も経っていないんだからー)


 何それ、どゆこと?


(気付いていなかったの? 貴女あなたさっきからわたくしたちと、声を口に出さないで会話しているってことに)


 は? そんな莫迦な……って――あれっ? ホントに喋ってない!?


(そもそも普通ヒトっていうのは、耳で聞き、脳で考えて、口に出して話す……っていうプロセスを経て会話する訳よね? 本来これだけで無駄な時間を浪費するところなのだけど……わたくしたちの場合――)


(同じ魂を共有する存在だからー、耳で聞いて、脳で考えて、口に出して喋るっていうムダな工程を端折ってー、思念?で直接会話できるってワケー。でそーすると――)


 ああ、なるほど分かったぞ……つまり脳内で直接会話出来るオレたちの場合、互いの会話のプロセスを端折れる分、タイムロスも殆ど無い――故に体感時間にして四半刻(四分弱)程の会話であっても、瞬きを数十回する程の時間も要さない……っていう訳だな?


(そうよ。理解が早くて助かるわ)


(むー、あたしが全部説明しようとしてたのにー!)


(はいはい、貴女あなたは少し黙ってて頂戴。わたくしたちの間に実質的なタイムロスが無いとは言え、無駄話をしていられるほど余裕もないわ。さっさと本題に入るわよ――さっき薄々って言ってたわね?……それに関して気になっていたんだけど、貴女あなたいつから、わたくしたちの声が聞こえていたのかしら?)


 えーと、大浴場で気絶から目覚めた辺りから――目覚めたらいきなり御立派様に乗っ……って、ギャーーーーッ! 

 イヤなこと思い出しちまった!!……ってそれは早く忘れるとして――目覚める前に変な話し声が聞こえて……そこからハッキリと、かな?


(はぁっ……やっぱりね)


 でもさこれ、お前たちが最初に言ってたことと違わなくないか?――『オレたちの間の双方向意識回線(ネットワーク)が丸一日くらい不通のままだから、しばらくそちらからの助言は出来ない。だからしばらくはこっちだけでテキトーにやってくれ』みたいな話だったよな?


(ええ、確かにそう言ったわ。わたくしたちと貴女あなたの間には双方向意識回線(ネットワーク)が未構築のままだったのは事実よ)


(まる一日フツーになるっていうのもホントだったんだよー)


(そうなのよね。どうしてこんな簡単に繋がってしまったのかしら?)


 支配人格(メインパーソナル)の強権的な何かが作用したとか?


(……かも知れないわね。そもそもわたくしたちの場合、支配領域リソース分割共有シェアしていただけで、どちらが支配人格(メインパーソナル)といった区別はしていなかったわ。だからこの支配人格(メインパーソナル)による支配体制が及ぼす影響は、わたくしたちにとっても結果の分からない未知の事態なのよ)


(つまりー、どっきどきわっくわくの初体験ー!)


(それはまあいいとして、話を戻すけど――ではどうしてわたくしたちの声を無視していたの?)


 いやぁー、お前らを相手にすると、なんか面倒臭いことになりそうな気がしたから――五月蠅そうだしさ……まあ実際、五月蠅かったワケだが?


(そんな詰まらない理由で無視してたなんて、全く呆れるわね……あと五月蠅いのはそっち・・・のコだけよ)


(むーっ……おねぇ、ひょっとして今あたしの悪口言った?)


(悪口も何も事実でしょ?)


(そんなことないよー、おねぇだってじゅうぶん五月蠅いよー、お兄ちゃん……じゃなかった三番目のおねぇちゃんもそー思うよねー?)


 三番目のおねぇ・・・ちゃん、ね――いやどっちも五月蠅いから!……っていうかオレのアタマの中で、二重音声ステレオで喧嘩すんのやめてくんない? マジ鬱陶しいから!


(とか言いつつまたアヘ顔やってるしー!)


(そこ! アヘ顔ダブルピース止めなさい!……また正座したいの?) 


 ちぇっ、やってもいいって言ったくせにーー!

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