996:顔の違いに気付こう。
くるくるとジルさんの周りを下って行きながら、ふすーっと吹きかけて癒していく。
【妖精吐息】が良い感じに効いてるのかは判らないけど、最初よりはちょっと力が抜けてるっぽいな。
もふもふしっぽの誘惑に耐えながら背後を抜けて、前に回って終了だ。
顔の前に飛んで行って、一応終了を告げておこう。
「終わりましたー」
相変わらずの顔のまま、ゆっくりと頭を下げてくれた。
……いや、なんか凄く微妙にだけど、ちょっーとだけ目と口の角度が変わってる……のか?
そんな差を見分けられるほどの付き合いはまだ無いし、気のせいかもしれないな。
「ジル、良かったね。でも顔が緩み過ぎだよ?」
「ジル、良かったね。でもアリア様の前だよ?」
……え、いや、本当に変わってたらしいんだけど、これで緩んでるの?
失礼だとは思うけど、どう見てもカッチカチじゃない?
「なに、構わんよ。いつもより念入りに吹いていた事だしな」
「かなり体を動かしてくれてたみたいですしね」
本人には問題ない程度だとしても、まぁそれはそれ。
あの運動量を考えたら、その辺の人だとヘバっちゃう位には遊んでくれてただろうからね。
……というかアリア様、やっぱりというかなんというか、ジルさんの表情もちゃんと判別できるんだな。
双子さんの言葉に雰囲気で答えただけって可能性も有るけど。
「あ、そうだ。お二人にもやりますよー」
多分だけど、双子さんたちも同じ様に…… なのかはともかく、ちゃんと遊んでてくれただろうし。
ん、そういえば二人まとめて呼んじゃったけど、順番はどうしようか。
「ありがとう。僕たちは二人まとめてで良いよ」
「ありがとう。私たちはセットで扱ってくれて良いよ」
……むぅ、一瞬迷ったのを気付かれたかな?
アリア様がそんな双子さんの頭をもふっと撫でて、優しい笑顔のままで顔をこちらに向ける。
「ふむ。ではこのままで問題ないな」
「なんでちゃっかり相乗りしようとしてるんですか」
「はっはっは」
「いや、まぁ全然問題は有りませんし、別に良いんですけど」
周回半径がちょっと増えたくらいで辛くなる様な事でもないし。
むしろアリア様には、隙を見てはちょこちょこ恩を返していきたいくらいだし。




