982:運ばれる練習をしよう。
「よーし、動かすよー」
「は、はいっ」
転ばない様に身構えさせてから、ゆっくりと台車を押し始めた。
流石に乗せたら慎重にやるんだな。
いや、やらないと多分、普通に周りから叱られるだろうけど。
「どう? 揺れるー?」
「多少の揺れは有りますが、問題の無い範囲です」
結構揺れてる様に見えるけど、まぁさっきのに比べればね。
っていうかここの床って結構綺麗だったと思うんだけど、なんであんなに揺れてるんだ?
あぁ、ジェイさんがわざわざ地面と同じくらいデコボコにしてくれてるのか。
「左へ曲がります。ご注意ください」
「はい」
……なんでいきなり敬語なのかと思ったけど、あれ大型トラックか何かの真似か。
無駄に上手いな。
「おっ、と」
「もうちょっとゆっくりの方が良いかな?」
「いえ、今ので解りましたから、言っておいていただければ大丈夫だと思います」
ちょっと横に転びそうになったけど、何とか持ち直した。
いっそ止まって方向転換した方が良いんじゃないかと思うけど、大丈夫だって言うんだから問題無いんだろう。
「あ、どもでーす」
ん?
あぁ、ジェイさんが石畳を再現してくれたのか。
「んじゃ、もっと揺れるだろうから気を付けてねー」
「はい」
お、行った。
タイヤが大きめだからマシなんだろうけど、それでもガタガタ揺れてるなぁ。
……落ちたり滑ったりはしてないんだけど、自分で走る時とは違う小刻みな揺れは、地味に辛そうだな。
「おぉおおぉぁあぁー」みたいな声が出てる。
っていうかあれ、ちょっと楽しんでる気がするぞ。
後ろのぴーちゃんもあえて軽減せずに一緒に揺れて、声出して遊んでるし。




