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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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975/3920

975:召喚獣に挨拶しよう。

 特に抵抗する様子もなく、大人しく撫でられてる。

 あれ、妙に気持ち良いもんなぁ。


「なるほど……」


 いや、何が?


 まぁ、怖い相手ではないって認識にはなったっぽいから、何でも良いか。



 おや、アヤメさんの頭の上でラキがアピールしてる。

 せっかくだから挨拶したいのかな?


「あ、はい。クモさんもよろしくお願いします…… おや?」


 小さく丁寧に頭を下げてくれたけど、何やらラキはご不満の様子。

 あ、アヤメさんの頭をてしてし叩いて、何かを要求し始めた。


「ん、何だ?」


「納得がいかない様子で、首を振られてしまいました」


「……あー、名前か? 『私はクモ(・・)さんじゃなくてラキ(・・)さんだ』って言いたいんじゃないかな」


 あぁ、そういう事ね。

 ラキが良くやったとばかりに頷いて足下の頭を撫でてるし、アヤメさんの推測で合ってたんだろう。


 ぴーちゃんもだったけど、召喚者に付けてもらった名前に拘るものなのかな。

 好いてもらってるっぽい感じで悪い気はしないけど、名前を知らなかった事にまで抗議するのは行き過ぎじゃない?

 ネームプレート付けとけとか言われちゃうよ?


 ……どうでも良いけど、訂正の方にまでさん付けだと、ちょっと偉そうに聞こえなくもないな。

 「さん」は付けろって言ってるみたいで。



「なるほど、それは失礼しました。では改めて…… よろしくお願いします、ラキさん」


 お、シャルロットさんの再度の挨拶に、今度は笑顔でお辞儀を返した。


 ……真面目にやると優雅な礼も出来るんだな、あの子。

 顔がにぱーって感じのままだから、あんまりお嬢様感は無いけど。



「あぁそうだ、一応他も。このデカい子がシルクで」


 アヤメさんが親指で背後のシルクを示す。

 大きいって言っても、普通のサイズに比べれば二割ちょっとしか無いけどね。


「あっちでアホを仕留めたハーピーの子がぴーちゃんだ」


「ひどい」


 ……お姉ちゃんの抗議に元気が無いと思ったら、追いかけ回されて疲れたのか、床にぐでーっと伸びてた。

 汚……くはないだろうけど、どうかと思うよ?



「ぴゃっ」


 呼ばれたのに気付いたぴーちゃんが、お返事しつつこっちに戻ってきた。


「ええと、ちゃん(・・・)まで含めてのお名前なんでしょうか?」


「あぁ、そうそう。省いたら不機嫌になるから気を付けてな」


「はい」


 自分で付けておいて何だけど、やっぱり罠みたいな名前だよなぁ。


 まぁ目隠しを付けてさえいれば、むすっとされたって程度で済むからまだマシなのか。

 流石に、怒って自分で外して睨んだりまではしないだろうしね。


 というか、やったら叱らないといけなくなるし。

 その前に多分、私が飼い主としての責任で叱られるだろうけど。




「あ、はい」


 ん?


 あー、ラキが握手を要求したのか。

 差し出された人差し指を、両手で掴んでぶんぶん上下に揺さぶってる。


「おお、お強いのですね」


「とんでもなくな……」


 実感がこもってるなぁ。

 まぁ消し飛ばされたの、ついさっきの事だもんね。



「ぴっ」


 ラキが手を離すと同時に、私もとばかりにぴーちゃんが声をかけてきた。


「ぴーちゃんさんも、よろしくお願いします」


「ぴぅ」


 ……やっぱり「ちゃんさん」なんだ。



「ぴぴっ」


「はい? ……えーと、こうですか?」


「ぴ」


 なんか気を付けの姿勢にさせられてる。

 何をするつもりだ。



「ぴゃーぃ」


「むぶっ」


 ……なんで抱き着くんだ。

 胸元に顔を抱えて羽で包んだから、シャルロットさんの上半身がほぼすっぽり隠れちゃったぞ。


 っていうか、なんか小さく「んむー」って聞こえてくるんだけど、ちゃんと息出来てる?



 あ、大丈夫っぽい。

 少し落ち着いたのか、シャルロットさんの側もぴーちゃんの背中に手を回してる。


 ……背面の羽毛部分を撫でたと思ったら、なんか小さく「ふかふかです……」って聞こえてきた。

 確かに羽毛は気持ち良いけれど、シャルロットさん、順応性が高すぎやしないかな?


 いや、良い事だとは思うけどさ。



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