974:主の所へ向かおう。
おっと、私が正面に居たら動けないな。
さっさと横にずれるとしよう。
おー、本当にかなり揺れるんだなぁ。
いや、嘘を吐く意味が無いけどさ。
「……それ、大丈夫なの?」
聞いてはいたものの、めっちゃ上半身揺さぶられてて心配になるんだけど。
「このくらいであれば平気ですね。歩く訓練はそれなりにしてありますので、もう慣れました」
「そっか。なら良いんだけど」
半日も訓練出来てないだろうに、慣れるの早いなぁ。
まぁ元々、あそこまでじゃないにしろ揺れる動物に色々と乗ってた下積みも有るのかな?
どのくらい歩くのかと思ったら、アヤメさんの所に向かってるっぽいな。
「……なんでこっちに来るんだ?」
「接近しても大丈夫そうな相手をと思いまして」
あー、普通サイズの人に近付くのは、まだ危なく感じるよね。
まぁここに居る人達は慣れてるから迂闊に触ったりはしないだろうし、今の状態だと触られてもぐにゅって歪むだけで済むけどね。
ある程度は、だけど。
別に誰かの所に行かなくちゃいけない訳じゃないけど、分かりやすい区切りって事かな。
「到着です」
「お疲れさん」
いや、歩いただけだけどね。
「異常は感じられなかったので、問題無いかと思います」
「はーい」
上半身を捻って振り向いたシャルロットさんの報告に、手を振って応えておく。
……箱を漁ってた時もちょっと思ったけど、体柔らかいなぁ。
「しかしまぁ、同じサイズになってもデカいもんだな」
「私はむしろ、この子の大きさに少し怯んでいます」
「飼い主を馬鹿にしない限りは、優しい良い子だよ」
あー、シルクは私たちに比べたらでっかいもんね。
いや、全体で見ればシャルロットさんの方が倍近いサイズなんだけど。
「む……」
あ、なでなでの餌食になってる。
シルク的に「ちっちゃい生き物」の内って判定なんだろうか。
いや、別にそういう意味では無いのかもしれないけど。
単に「わたしこわくないよー」って事かもしれないし。




