970:全体像を忘れよう。
まぁそんなヘコむ現実は置いといて。
自分で歩いてもらう事になるだろうし、なるべく大きくしておいた方が良いだろう。
流石にこのサイズで人間についていこうと思ったら、全力疾走でも足りないかもしれないし。
約二十分の一って事は、時速八十キロくらいで走り続けないといけないのか。
うん、多分無理だな。
……倍の大きさになっても四十か。
どっちにしろ厳しそうだけど、頑張れば何とかなるかな?
ならなかったらその時に考えよう。うん。
「とりあえず大きさを調整するから、じっとしててね」
「はい、お願いします」
一応了解を得てから、正面からシャルロットさんの肩に両手を乗せる。
……向こうから見ると、サイズ差もあって凄い威圧感だろうな。
やるのがカトリーヌさんだったら、私よりはマシかな……?
いや、あの人がこうすると別の意味でとんでもない圧迫感が有りそうだな。
……深く考えるとまたヘコみそうなので、心の隅に追いやるとしよう。
そんな事は良いとして、さっさと魔力を流そう。
触られたのに何も起きないから、シャルロットさんがちょっと「あれ?」って顔になり始めてるし。
んじゃ、サクッと……
「んぶっ!?」
「ぁだっ!? す、すみません、大丈夫ですか?」
ちょっと大きくしただけなのに凄い勢いでこっちに伸びてきて、シャルロットさんのおでこが私の顔面に叩き込まれた。
「だ、大丈夫。びっくりしただけだから」
実の所結構痛かったけど、どう考えても自分のせいだから大丈夫って言わざるを得ない。
血も出てないみたいだしね。
考えてみれば全体のサイズはとんでもなく大きいんだから、ちょっと倍率が変わるだけで凄く大きくなるのは当たり前だもんなぁ。
こっちの考えが足りなかっただけで、シャルロットさんは何も悪くない。
「っていうか、シャルロットさんは大丈夫?」
「はい。歯も当たりませんでしたし、問題有りません」
「なら良かった。あ、でも一応治療しておくね」
「いえ、大丈夫…… でしたが、これは気持ち良いですね。ありがとうございます」
「いえいえー」
遠慮するのをスルーして、ふーっと吹いておいた。
元はと言えば私がうっかりしてたせいなんだから、お詫びくらいはしないとね。




