965:お手入れを切り上げよう。
「さて、このままやっていても私は良いのだが、そういう訳にもいかんだろう」
「そうですねー」
お、アリア様が自分で言った。
……でも二人とも、言いつつも手は止めないんだな。
「少しくすぐったいのですが……」
「あ、ごめん」
……お姉ちゃん、なに指でちょいちょい乱して模様を描いてるんだ。
しかし皮膚は頑丈でも、体毛をいじられるのはちゃんと感じ取れるんだな。
髪の毛を触った時みたいな感じで、意外と細かく認識出来てるのかな?
「ま、今が一番やりやすいタイミングではあるがな」
「あー、足場が必要ですもんね」
まぁそれはそうだろうなぁ。
今ならジェイさんにお願いすれば、好きな場所に動かしてもらえるんだし。
外なら色んな高さの足場を用意したり、シャルロットさんに細かく動いてもらう必要が有りそうだ。
……まぁそもそも、そこまで綺麗に整える必要は有るのかって話になるけど。
いや、そりゃまぁ汚れてるよりは綺麗な方が良いと思うけどさ。
「この辺にして、話を進めるとするか」
「はーい」
お、やっと戻ってきた。
「ありがとうございました」
「あぁ、それはあげるから、シャルロットちゃんに渡してあげてね」
「あ、はい」
ブラシを返そうとして断られてる。
こうしてまた借りが増えていくんだな。うん。
っていうかあれ、ジェイさんじゃなくて本物だったんだな。
「というわけで、はい」
「ありがとうございました。と、ありがとうございます」
毛づくろいと譲ってもらう事にそれぞれお礼を言って、ボックスに放り込んでいく。
「これも、だな」
「はい。ありがとうございました」
まだ微妙に緊張気味だけど、アリア様からも普通に受け取って頭を下げてる。
だんだん反応が柔らかくなってきて、アリア様も満足げだ。




