910:食べる量を聞いてみよう。
んー、食費がいっぱいかかるって事は、さっきのお仕事で稼ぎづらいってのが地味に痛いのか。
外の敵から何か集めて来ようにも、あの巨体で踏み潰しちゃったら毛皮もお肉も使い物にならなくなってるだろうし。
「そんな恥ずかしがらなくても、いっぱい食べるのは良い事だよー」
「そ、そうですか……?」
そりゃまぁ悪い事じゃないと思うけど、エリちゃんはなんでそんな親し気に両肩をポンポンしてるんだ。
あんまりグイグイ来るから、ちょっと戸惑い気味じゃないか。
っていうかあんまり乗り出したら落ちるよ?
手摺りの方で支えてくれるだろうし、落ちても拾ってくれるだろうけどさ。
「んっと、ちょっと興味が有るんだけど、どれくらい必要なの? あ、言いたくないなら良いんだけど」
聞いてどうするんだお姉ちゃん。
うん、でもまぁ気にならなくもないな。
これだけ大きいんだから、それを維持する為の食事も相当な量だろうし。
「量ですか…… 言うのは構わないのですが、どう言ったものでしょうか」
あぁ、まぁ重量とかを計って食べてるんじゃないだろうしね。
というかまだ食べたとしても、普通のペースならお昼ご飯に当たる一回くらいなのかな?
「あ、そうだ」
良い例えでも思いついたのか、ぽふんと手を打った。
……なんか逆に難しそうなくらい、パンって音が鳴らなかったな。
いや、そんな事はどうでも良いんだけどさ。
「大体ですが、干し草を軽トラックの荷台一杯分くらいでした」
「多っ!? ……って程でも無いのかな……?」
「このサイズですと、そこまで不思議では無いと言った所でしょうか」
うん、まぁそうなのかな……?
いや、でもやっぱりかなり多いな。
というか、やっぱり体が馬だし草食なのか。
「そうね。一回に大体、三百キロくらい上げたかしら」
「そうですね……」
なんかシャルロットさん自身が、そんな食べてたのか…… みたいな顔してるけど。
まぁ改めて重量を聞かされると、ちょっと思う所も有るのかな。
「人間で言うと五、六人分くらいかしらね」
「ほほー」
「何で人間で言うんだよ……」
……唐突なジェイさんの言葉に、エリちゃんが目を輝かせてアヤメさんがげんなりとツッコむ。
うん、聞かない方が良い気がする。
「うふふ。お肉も食べられるから、かしらねぇ」
……えー。
いや、それでもわざわざ人間で例える理由にはならないでしょ。
これ絶対エリちゃんに聞かせるためじゃないの。
「ほほーぅ」
エリちゃん、そんな嬉しそうにしないの。
っていうかシャルロットさんが「そうなの!?」って顔してるけど、初耳だったのか……
まぁほぼ全部馬の体って言っても良いくらいだし、草食だと思ってても不思議じゃないよね。
私もさっき普通にそうなんだって思ったし。




