868:耳の上で遊ばれよう。
揺さぶる手を止めると、アヤメさんのウサ耳に登ろうとしてたラキに残念そうな顔をされてしまった。
「むしろラキはもっとやってほしいみたいなんだけど」
「勘弁してくれ。ってかちょっとくすぐったいぞ」
ああ、まぁそうだろうね。
ただでさえ耳は敏感な上に、ちょっと尖り気味なクモ脚でカサコソ登られるわけだし。
「こらこら、揺らすんじゃない」
ウサ耳の上の方にしがみ付いたラキが、ゆっさゆっさと揺らして文句を言われてるな。
「あ、ちぇーって顔してる」
「まったく…… のぁっ!?」
苦笑しながら掴んで捕まえようとしたら、ぴょいっと反対側の耳に飛びついて逃げられたな。
うん、楽しそうで何よりだ。
アヤメさんは楽しそうっていうかくすぐったそうだけど。
「アヤメちゃんは仲良しで良いなー」
「あんたはもう少し落ち着きってものを持つんだな」
「むぅ」
アヤメさんの一言だけで口を噤むお姉ちゃん。
まぁ一応自覚は有るもんね。
「それにあんたも、ぴーちゃんには好かれてるだろ?」
「ぴゃ」
「それは嬉しいんだけどねぇ」
アヤメさんに話題に出されて、ぴーちゃんがお姉ちゃんの肩に乗りに行った。
指で頭を撫でられて、ご満悦って感じの顔をしてるな。
「……まぁぴーちゃん、自分を怖がらない人はそれだけで好き好きーって感じもするけどね」
「ぴ…… ぴぅ?」
口を挟んでみたら、なんか『いや、そんな事は…… でもそういう所あるかも……』みたいな声がぴーちゃんの口から出てきた。
自分でも割と否定できないらしい。
「うぅ、そこは違うもんって言ってほしかったよ」
「ぴゃぅ……」
言えないってのはどうでも良いとして、ごめんよぅって感じでスリスリしてる。
まぁ一応それだけじゃないだろうし、良いんじゃないかな。
言った私がそういう事を言うのはどうかと思うから、黙っておくけど。




