854:お礼をしよう。
さっき私にやってた様にぴーちゃんの真下で横になって、爪から土をぽろぽろと落としていってる。
……それ、真下からやるべき事じゃないよね。
「えーと、ちょっと待った方が良い?」
「いえ、大丈夫ですわ」
あ、もう終わるんだ。
なんか人差し指の先から極細のシャワーを噴射するとかいう、妙に器用な事をやってるな。
落ちた水と土が全部自分の顔にかかってるけど、まぁ本人が気にしてないんだからスルーしておこう。
「ぴぁぁぁぁ」
……ぴーちゃんが羽をぷるぷるさせながら弱々しい声を上げてる。
爪の付け根に詰まってる土を落とすために少し強めにかけてるから、結構くすぐったいのかな?
あ、でもなんか意外と嫌じゃなさそうだ。
くすぐったいのと気持ち良いのと、半々って感じっぽいな。
「さ、綺麗になりましたわ」
「ぴゃー」
濡れた爪をカトリーヌさんが小さな布でぽんぽんと拭いてあげると、ぴーちゃんが嬉しそうに声を上げた。
嬉しそうというかお礼を言ったのか。
……ん?
なんかぴーちゃんの足が、さっきの布で顔を拭いてるカトリーヌさんの顔の前に動いた。
絶対別の布も持ってるでしょとは思うけど、今はそれは置いておこう。
「ぴゃっ」
……なんで拭き終わって手が退いた途端に、頭……というか顔面を鷲掴みにしたんだろう。
あ、気付けば反対の足はお腹を掴んでる。
「あちらまで運んでくださるのですね。ありがとうございます」
「ぴぅ」
良い子なんだかなんなんだか、お礼にカトリーヌさんが喜びそうなお返しをしようとしてるのか。
……うん、まぁ双方が納得してるなら口出しは不要だな。
ぱっと見た感じ、くすぐられた仕返しにしか見えないけど。
っていうか仰向けで掴まれて脱力してるせいで、腰から下が垂れ下がってすっごいのけ反ってる。
結構苦しそうだけど、まぁカトリーヌさんにとってはそれが良いんだろうから、それもスルーだな。
「……あー、まぁ行こうか」
「ぴっ」
「んぎっ」
「ぴーちゃんぴーちゃん、足下に気を付けよう」
元気にお返事するのは良いんだけど、カトリーヌさんがちょっと変な曲がり方してるよ。
折れたりする前に、両足を元の所に戻そうね。
「ぴぅー」
「いえいえ、お気になさらず」
「……まぁ良いけど、あんまり怪我はさせないようにね?」
「ぴゃ」
本人は構わないどころか望む所だって言うだろうけど、変なタイミングで死に戻られても困るし。
……多少のブレーキはかけておかないと、この人はそのまま開脚して引き千切れとか言っても不思議じゃないからなぁ。
あとぴーちゃん、今のお返事でまたちょっと曲がってるぞ。




