847:射出されよう。
若干死んだ感じの目で歩いていくお兄さんを見送る。
お兄さんって魔法系の筈だし防御力は高くなさそうだけど、あっちはどう見ても前衛ですって感じの鬼のお姉さんとかも居るなぁ……
まぁうん、ちゃんと手加減してくれるでしょ。多分。
さて、それじゃ……
「ささ、どうぞ」
「ひわっ!?」
くそぅ、いきなり脇腹に手を添えられて変な声が出たじゃないか。
またしてもいつの間にか、下に居たはずのカトリーヌさんが私の上……というか背後に回り込んでるし。
やっぱりちょっと遊んでるでしょ、この人。
っていうか人のお腹を挟む様に触っておいて、どうぞって何なんだ。
妙にしっとりというか、吸い付いてくるみたいな触り方をしてくるし。
いや、まぁそれはこの人だからしょうがないか。
普段からなんかそんな感じだし。
ん、わずかに斜め上に向けて力が込められてるのか?
……あー、なるほど。
「別に補助は要らないっていうか、そこに居られると翅がぶつかっちゃうよ」
「どうぞ?」
「飛びづらいでしょって話だよ」
カトリーヌさんに対して、ぶつかるのが申し訳ないって話はするだけ無駄でしょうに。
場合によってはするだろうけど、これくらいなら放っとくよ。
「まぁまぁ、せっかくですから」
「別に良いけどさ……」
まぁ翅は動かさなくても飛べるから、ぶつけてはあげないけどね。
んじゃ、前方に飛び出す感じで……
「はっ」
いや、気合は要らないでしょ。
確かに投げ上げるみたいに加速は付けてくれたけどさ。
っていうかカトリーヌさんが凄い力で私を射出したみたいな絵面になってそうなんだけど。
……いや、もしかしてそれが目的か?
カトリーヌさん、ちょいちょい変なボケを狙おうとしてる感じがするし。
真面目なんだかなんなんだか、本当に掴めない人だ。




