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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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843/3917

843:交渉してみよう。

「『だいじょぶ?』って感じで、呆れと心配が半々の顔で入り口から覗き込んできてたけど、それだけでも結構なプレッシャーだったしねー」


「まぁ顔だけでこっちの体と同じくらいあるんだろうしな」


 ん、ちらっと見られたのはサイズ差の確認か。


「まぁ見え方ってのも有ったけどねー。私サイズの入り口越しに覗いてるから、顔の半分くらいしか見えてなかったし」


「んー…… 確かに」


 ちょっと間が有ったのは、どう見えるか想像してたのかな?

 まぁ巨人に家を覗き込まれるなんて経験、普通はあんまり無いだろうしね。



「それにあの部屋、出入り口がそこだけだったから逃げ場も無いしね」


「あー、しかも奥まで素通しの間取りだっけ? 視線からも逃げられないのか」


「んだねー。まぁお風呂が有るんだし、一応遮る物くらいは用意できるんだろうけど」


「けど?」


「おねーさんには色んな意味で無駄だろうねー。端末を操作して撤去も出来そうだし、単純に指で突き破る事も出来そうだし」


「……ああ。まぁ確かに、出てこない奴が居たら引きずり出す事も有るんだろうしな」


 あんまりよろしくないタイプの施設なんだろうし、そういう事も有るだろうなぁ。


 本来の用途で送られる様な人なら、少なくとも最初から素直に従う事も無さそうだし。

 いや、サイズ差(見た目)の時点で諦めて素直になる人は居るかもしれないけど。




「んで話を戻すけど、覗き込んできてるおねーさんに『大丈夫だよー』って手を振ったら、『そっか、よかった』って顔で頷いて」


 普通に良い人なのか、お客様に怪我をさせちゃマズいだけ……ってのは無いか。

 どうせそのすぐ後で溶かす相手だし。


 というかその前にもツッコミでツンツンしてるし。

 いや、そっちは怪我をさせない様に注意してやってたみたいだけどさ。



「それから『あ、そうだ』って顔で、入り口の膜をむにっと押してきたんだよね」


「何の用だったんだ?」


「おねーさんの私への気遣いかな。『最初のガス、どうするー?』って、ジェスチャーで聞いてくれた」


「……あー、そういやどういう奴かは確認してたんだったか」


 あぁ、最初に来た経緯を調べて、ちょっと引いてたんだっけ。



「うん。まぁ当然ながら『無しでお願いしまーす』って返事したんだけど」


「当然か?」


「当然だよね」


「当然ですわ」


「そいつが同意するって事は普通じゃないって事だな」


 言いたい事は解るけど、カトリーヌさんって割とまともな事も言うから、そうとも限らないんだよね。

 まぁこれに関しては普通じゃないって判断で良いと思うけど。



「ありがとうございます」


「褒めて……ないから逆に良いのか、こいつの場合……」


「どうせ褒めたら褒めたで普通にありがとうって言われますよ」


「そうだよな」


 顔に面倒な奴めって書いてあるよ、お兄さん。

 否定する材料が無くて私には何とも言えないけど。




「ついでにじっくり楽しみたいから、消化液を薄めに出来ないか聞いてみたんだけど」


「ふーん」


 あ、お兄さんがとうとうツッコミを放棄した。

 私は引き継がないぞ。


「おねーさんの反応を要約すると『出来るけど今はダメです』だったね」


「出来るのか……」


 あ、結局反応しちゃった。



「うん。『だめー?』って重ねて聞いてみた時の反応をまとめると、『あなたはご主人様をお待たせしてるんでしょう』って感じかな」


「……ん? いや、それはそうなんだろうけど……」


「うん、『帰っちゃうのー?』って顔してた人の言う事じゃないのは確かだよね」


 ……どういう基準なんだろうな。

 さっさと帰れって言う割に、事前に処理方法を一回見せてもいるし。

 そこの説明は必要な手順だっていうルールでも有るのかな。



「要するに、今度遊びに来た時にいくらでもやらせてあげるから、今日は大人しく帰っときなさいって事かなー」


「まぁそれなら少しは納得が…… いくか?」


 お兄さんが首をひねっている。

 まぁ、何も無いよりはまだマシなんじゃないかな。

 ツッコミ所が解決されてない事に変わりは無いんだけど。




「やー、次が今から楽しみだねー」


「それ、私の体の中だからね?」


 一応「多分」ではあるけど。


「だいじょーぶだいじょーぶ、ちゃんと解ってるよー」


「本当かなぁ……」


 いや、解ってるから入ろうとしてるのは解ってるけどさ。

 もうちょっと遠慮とかしようよ。



「ゆっくり溶けちゃうのもだけど、お話してる時の角度次第で、入り口からおねーさんの綺麗な口元だけが見えたりしてるとさー。ほら、そっちにも飛び込んでみたくなっちゃってきてさー。解るでしょー?」


「解りま」


「解らないよ」


 同意しなくて良いんだよ、カトリーヌさん。

 別に気を遣ったんじゃなくて本心から同意してるんだろうけど、しなくて良いんだよ。

 あとエリちゃんは少し落ち着きなさい。


 というかおねーさんのためにも、エリちゃん(この人)は送り込まない方が良いんじゃって気がしてきた。

 どうせなんやかんやで送らされるんだろうから、考えるだけ無駄だけど。



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