837:綺麗に処理しよう。
「まーあれに沈められれば、そこに居たって痕跡すら残せずに消えちゃうだろうねー」
「嬉しそうに言うなよ」
うん、まぁエリちゃんだもんね。
そこは仕方ない。
「あー、そっか」
「ん?」
「【妖精】に食べられた事、無いもんねぇ」
「いや、普通は無いだろ」
「うん」
私は加害者側だけど、お兄さんの意見には頷くしかない。
「まぁデスペナはみんな嫌だよねー。でも、めっちゃ気持ち良いのは本当だよ?」
「ええ。私たちの様な特殊な嗜好が無くとも、何度も味わいたくなる魅力が有る事は保証致しますわ」
「ねー」
「ねー、ですわ」
「いや、保証されてもな……」
お兄さんが反応に困ってる。
というか、そこに『ですわ』は要らないと思うよ。
「まぁそれは置いといてー」
あ、サックリ流した。
まぁそこに話を持って行かれて、「じゃあ試してみよう」とか言い出す人が出てきたりしたら困るから良いか。
「例によって手が溶ける時も痛みなんかなくて、気持ち良いーって思ってたらもう無くなってたって感じだったね」
「……まぁ苦しむよりは良いのか?」
「そうそう、プラス思考で行こう」
エリちゃんは前向き過ぎだと思うよ。
「ん? つーか右手が無くなるって、痛くなかったとしても出血とかヤバいんじゃないか?」
「あー、普通はそうなんだけどね」
「普通じゃなかったって事か」
「うん。なんか無くなった右手が繋がってた部分、元からそこで終わりだったみたいに綺麗になってた」
「……綺麗に?」
「断面なんて見えなくて、綺麗に丸っこくなってた上に皮膚で覆われてて、試しに触ってみたらちゃんと触覚も機能してた。なんていうか、肘とか指先とか触ってる感じ?」
「なんなんだよ、本当に」
「まーユッキーのやる事だし、よく解んないのはいつもの事だよねー」
「いやちょっと待って。私のせいにしないでほしい」
悪いのは私個人じゃなくて、【妖精】って種族だから。
っていうか開発の人たちだからね?




