838:贄を捧げられよう。
「まぁまぁ」
「いや、まぁまぁじゃなくてさ……」
「……まぁ傍から見りゃ、『変な事をよくやってる妖精』ってのは間違いでは無いかもしれないけどな」
「え、あー、んー…… うん、否定できない……」
普通ならきっぱりと断ってるだろって事をやってるという自覚くらいは有る。
でもそれをやらせてるのは、エリちゃんとかそっちの猫さんとか、もっと変な人達だと思うんだよ。
いや、猫さんは変な人って程でも……あるか。
普通にしてればまともな人って事は、普通にしてなきゃ変な人って事なんだし。
「まーそれも置いといて」
……訂正する気は無いんだな。
まぁおかしな生き物の一人だって事は事実だから、別に良いけどさ。
「おねーさんの方は、あの消化液に完全な耐性が有るみたいだったよ」
「触ってたのか?」
「うん。私の手が溶け込んだ桶の中身を、指でくるくるかき混ぜてから別の部屋の排水溝に注いでた」
「……混ぜる意味は有るのか?」
「さぁ? まぁそうするって事は何か有るんじゃない?」
まぁ完全に無意味なら、わざわざやらないだろうしね。
……いや、まぁ特に意味が無い事をやる人も一杯居るし、一概には言えないけど。
「あ、あと注ぐ時は真面目な顔っていうか、お仕事モードみたいな感じになってた」
「ん? 処分してるだけって感じでは無かったって事か?」
「うん。多分だけど、『ご主人様に捧げます』っていうか『どうぞお召し上がりください』っていうか」
「……あー、まぁ『エサが溶けた液体』ではあるのか……?」
「そういう事だろねー」
……いや、捧げられてもなぁ。
私は別に、好き好んで人を食べてるわけじゃないぞ。
まぁそりゃ、無駄にするよりは意味が有る方が良い事なんだろうけどさ。
……意味、有るのかな?
知らないうちにちょっとだけ回復してたとか、有っても気付きづらいからなぁ。
よく解らないな。




