807:剥がして離れよう。
おー、やっぱり体の前側はまっ平らというか、手の甲にぴったりフィットする形になってるなぁ。
よく見たら微妙な歪みは有るね。
「やーん、はずかしー」
「真顔の棒読みで言われても、反応に困るんですけど」
「あっはっは」
いや、というかなんでそれを言う時だけ真顔なんだ。
まぁ確かに、本気で言ってないのは解るけどさ。
「それにしてもこれ、服まで綺麗に変形してますね」
「まぁ初期服は体の一部みたいなとこ有るよねー。ほら、さっきあの子が吹っ飛ばされた時も脱げてなかったし」
「あー、そういえば」
言われてみれば、あれ普通の服だったらアヤメさんは全裸になってた所だったのか。
いろんな意味で危険なパンチだ。
ん?
でも、自分の意思で脱ぐのは大丈夫なんだよね。
脱いで着替えて、初期装備をどこかに捨ててきたらどうなるんだろう?
……知らないうちに鞄の中に転送されてきてたりしそうで、ちょっと怖いな。
「よっ、と」
「ぶらんぶらーん」
「いちいち言わなくて良いですってば」
剥がしきって両手でぶら下げた猫さんにツッコミを入れておく。
これ、毎度誰かしらが律儀にツッコむから言うのではなかろうか。
まぁつい反応しちゃうんだけどさ。
無視するのもなんか感じ悪い気がするし。
というか羊さんは、なにちょっとスッキリした顔になってるの。
……あー、かさぶた剥がす感じって言ってたし、そういう事か。
「それじゃ、戻しますかね」
「あいあーい。あ、一応ちょっと離れた方が良いんじゃない?」
「あ、そうですね」
まだ試した回数も少ないから何があるか解らないし、障害物は無い方が良いだろう。
戻る時の光に人が巻き込まれて、なんやかんやでお互いに死んだりしたら大問題だし。
……いや、まぁそれは巻き込まれる側の人がボーっとしてないで逃げなさいよって話だけどさ。




