806:ぺりぺり剥がそう。
「同調率を高めるって書いてあったし、私が機能してる時なら他の効果も上がったんじゃないかな?」
「へぇ…… でもなんか、その代わりに吸い取る経験値も増えそうですね」
「あー、そうかもねー」
あくまでも寄生してる側の言う共生だしなぁ。
なんていうか、素直に良い事ばかりとは思えないよ。
……思えないよというか、信じないからな。
【妖精】関連の良い事は、どうせ何かしらの裏が有るのだ。
「っていうかこれ、ちゃんと剥がれるんですか?」
「そりゃ妖精さんがやってくれないと判んないよー。試して剥がせたら私たち死んじゃうじゃん?」
「あぁ、それもそうか。んじゃ、痛かったら言ってくださいねー…… いや、無いか」
「ん?」
「いや、そもそも私にそんな腕力が無いから、その心配は要らないなと」
剥がす為とかじゃなくて本気で殴りかかったとしても、ぽこぽこ当たってる感触くらいしかしないだろうしなぁ。
まぁ針とか持てば別だろうけど、先端が刺さった瞬間に「痛っ」って反射で動かした手に当たって砕け散る未来しか見えない。
「あー。まぁなんか変な補正は有るかもしれないし、気にしとくに越した事は無いでしょー」
「それはそうですけどね」
うん、まぁ何が有るかは解らないし、それは言えてるんだけどね。
この開発を相手に、油断は良くない。
いや、別に何が相手でも良くはないか。
「まぁとりあえずやってみよう」
「がんばるぞー」
いや、そっちはじっとしてるだけじゃないか。
じっとしてるも何も、顔としっぽくらいしか動けないんだけどさ。
とりあえず、羊さんの手と猫さんの間に爪を刺す感じでブスッと行ってみよう。
お、なんか簡単につぷっと刺さったけど、別に痛くは無いっぽいな。
我慢してる様な反応さえ無いし。
なんか思ったより簡単に剥がれそうだな。
とりあえず一応猫さんの形に沿って外側をぐるっと一周、刺した爪を滑らせて切り離しておこう。
「おー、結構簡単っぽい?」
「痛みとかは無いですか?」
「全然。どっちかっていうとかゆい所を掻いてもらってる様な、妙な気持ち良さが有るかな」
……なんでだって気持ちは有るけど、まぁ痛くないなら良いか。
「なんか、かさぶた剥がしてるみたいな感じですねー」
「跡が残るから、あんまりやらない方が良いよ?」
「解ってますよぅ」
上から聞こえる羊さんのコメントに、少し離れたお兄さんからの素早い忠告が。
うん、まぁああいうのはなるべく触らない方が良いよね。
治ってる最中とか、なんかむずむずして気にはなるけどさ。
「んじゃ、めくってみますね」
「よろしくー」
一応声をかけてから、猫さんの両手の先を少しだけ剥がして摘まみ持つ。
とりあえず、このまま上に引っ張っていけば多分大丈夫だよね。
「おぉ……」
やっぱり冷却シートみたいな感じで、ぺろーんと剥がれていって感覚だけなら面白い。
状況は全く面白くないって言いたいけど。
「ばんざーい」
いや、うん、確かに両手を上げてる格好にさせてるけどさ。
少しは静かにしててほしいんですけど。




