802:観念しよう。
あ、触手がエリちゃんの手足を解放した。
そのまま引きずり込みはしないんだ。
「ふー。あの姿勢、地味に辛かった」
「地味にっつーか普通にキツいだろ」
お兄さんが律儀にツッコんでる。
うん、まぁエビ反りでずっと居るのはなかなか辛いだろうね。
「よーし。さーさー、観念して食らうが良いぞんぬ゛っ」
……正面から触手に頭を叩かれて、語尾がおかしな事になってる。
まぁ食べるとは言ったけど怒らないとは言ってないな。
うん、言ったって表現が正しいかは置いておこう。
「硬くないけど打撃が重い……」
「調子に乗るからだろ」
頭をさするエリちゃんに、お兄さんが無情な言葉を投げかける。
まぁ否定は出来ないよね。
「謝るからさー、機嫌直してよー」
警戒している触手に軽いノリで近づいて、ポンポンと叩こうとして避けられてる。
「むぅ。解ったよ、大人しくしてるからさー」
あ、ゆっくり近づいてきた。
エリちゃん、あんなのにそこまで嫌がられるって、ある意味で凄いと言えるのではなかろうか。
「お? ……あ痛っ!」
あ、足首に巻き付いて素早く引きずり倒した。
咄嗟に反応して後頭部の強打は防いでたけど、地味に痛そうだなぁ。
いや、痛いって言ってたけどさ。
「もうちょっと優しくしてよーぅ。でもまぁ、贅沢は言えないか」
ずりずりとパネルの方に引きずられながらボヤいてる。
まぁあれだけ暴れれば、ある程度はしょうがないと思う。
「行ってきまーす」
「とりあえず、帰ってくるのを待ってれば良いのかな」
「復活したらすぐ走ってくるよー」
「はいはい、頑張ってね」
「おほー、やわらかー…… ごめんなさい」
膝の辺りまでパネルに飲み込まれたエリちゃんが、なんかごそごそ動いたと思ったら謝ってる。
大人しくしてろって感じで締め付けられでもしたんだろうか……




